第128話 16.5号はウォー〇ーより探しにくい

 勇者ホンの存在を思い出したので……


 地図作り夫婦の嫁の方、香澄に連絡をとってみる。


 『思い出した‼️』と、何だか千夏が得意気にしているが……


 私を含め、

 『電話(スマホ)を忘れる』時点で、現代人としてどうかと思うわぁ。


 だいぶ異世界に毒されている件。


 ……

 いや、別に今は異世界に悪感情は無い。


 ただ、必ず別れるこの世界に、深入りすべきでない、それだけだ。


 「おーっ‼️久し振りじゃない⁉️いちご‼️

 え?まさか、出来た⁉️」


 開口一番これだから、香澄も帰りたい側の人間とわかる。

 

 キレイにこの世界と別れるためにも、地図作りを頑張っているのだろう。


 「え?いちごさん?」とか聞こえる声は、栄太だな。


 「ん。もうちょいって感じ。

 そっちは?」

 「こっちもあと少しだね。フィールドワークは残り1週間くらい。

 清書したりで……

 あと一ヶ月くらいか。」

 「そっか。で、その関係なんだけど?」


 16.5号のことを聞いてみる。


 「あー、私達じゃ答えられないわ。」


 うん、予想通りの返事だった。


 3年前から地図作りを始めている、栄太と香澄。

 最初は王都、そして周辺に広げていったから……


 16.5号の召喚は2年と少し前で、100パーセントこの国を歩き回っている2人だが、

 『いなかった』時間の情報は無い。


 「まあ、そう言う噂は聞かなかったし、可能性が高いのはやっぱり近場じゃないかな?」


 終と意見が揃った。


 ダメ押しで、もう1組意見を聞いた。


 午後から貴族街孤児院に行く。


 オーガの里から命からがら帰還したヤンキー勇者2人組だ。


 彼らは何故か、孤児院を根城にしていた。


 いや、ほんと。何でだよ?


 「そう言う噂は聞いたことがないです。それに僕らは、アルスハイドを隈なく歩いていた訳じゃないし。」


 そう答えたのは鳩君(大)の方、九八であり、スキルの影響を抜ければ『気は優しくて力持ち』系の男だし、意外と子供らに慕われている。


 今もジャングルジム扱いで、年少者によじ登られながらの会話である。

 勇者の力によって異世界言語が話せるだけで、『読み書き』は教えられないが、簡単な算術などは子供らに教えてくれている。


 「そ。わかる訳ない。帰れ帰れ。」


 かわいくない言い方が(小)の方、勇作で、彼はスキルを自覚し、努力でパッシブスキルである『魅了(微)』を、漏れ出ないよう押さえつけた。


 『自分自身で勝負する‼』と、なかなか青臭いことを言って、しかしそうなると絶望的に人気の無い男ではあるが、ふと気が向いて、壊れていたクローゼットを修理していたところ流れが変わった。


 (小)、器用だったんだよね。


 以来ちょろちょろと、弟子よろしく付きまとう少年たちが現れ、まあまあ、お馬鹿達もうまくやっている。


 けれど、16.5号についての情報はない。


 これは……


 うわぁ、やるしかないのかな?ラッキーレイン。


 異世界水戸黄門だよ⤵

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