第123話 30号、都市伝説化する⁉️
「ねえ、いちご。」
部屋でトレーニングをしていたら、急に千夏が来て言った。
「ん?」
「なんか、あんた、向こうで『都市伝説』?になってるみたいだよ。」
は⁉️
何を言い出した、千夏さんや。
ジョークにしても、千夏らしくないと思って顔を上げると、千夏の後ろに雨月が見える。
千夏はかなり小柄だから、その後ろに隠れても全部見えてる。
「何こそこそしてんの、雨月?
らしくないな。」
「いや、こいつは遊んでるだけだけど……」
「米俵3俵乗せて、無言で腕立てしてる人は普通怖いからね‼️」
千夏に突っ込まれた。
いや、『素』が強いプラスや普通の勇者ならともかく、私はマイナス。
「ちゃんと鍛えないと切れが悪くなる。」
米俵1俵60キロ。
180キロの負荷でちょうどいいあたり、まあ、だいぶ常人ではないけれど。
「どこ目指してんだか。」
ため息混じりで千夏が言った。
「入ってもいい?雨月に説明させるから。」
「うん。」
「先にシャワーでも浴びる?」
「あ、ああ。」
『仕方がない子』みたいに見られた。
うーん、解せぬ。
雨月によると、勇者返還の方法を探す過程で、私の腕時計を探したらしい。
あの、千年饅頭と入れ換えた腕時計‼️
雨月と朔夜、混ぜるな危険‼️だったかもしれない。
発想は雨月、製作はスキル持ちの朔夜で、魔道具もドンドン改良している。
『覗き見君』、いつの間にか防犯カメラみたいと言うか、過去映像も見られるようになっていた。
スゴいな、この2人。
で、そうして調べた過去映像によると。
目の前で饅頭が消え、腕時計と入れ替わった土産物屋は、一応警察に届けたらしい。
「……
なんか、違くない?」
「まあ、超常現象の届け先なんて知らないし、取り敢えず警察じゃない。」
「そんなもんか。」
訴えを受け警察は、腕時計のシリアルナンバーによる持ち主の照会、時計そのものの鑑識作業に入る。
「で、電池を抜いても動いてたよ、時計。」
満面の笑顔の雨月の報告。
いや、笑ってる場合か⁉️
「はっ⁉️世界の壁効果⁉️
あっ‼️無限スマホ⁉️」
「多分それ。」
鑑識員がパニックし、最終的には中身を全て引っ張り出した。
「でも液晶は動いてた。」
「……怖かったろうな、鑑識の人。」
「卒倒してたよ。」
「うわっ……」
同じ頃、シリアルナンバーで持ち主が判明。
「テレビで特集組まれてたってさ。」
はい⁉️
「はっ⁉️なんで⁉️」
私は総合格闘技の選手だったけど、そこまで一般に知られているとは思わない。
訳がわからないでいると、千夏と雨月は顔を見合せ……
仕方がないと、答えをくれた。
「ねえ、いちご。」
「ん?」
「あんた、万座の席で召喚されてない?」
「あ……」
私がこの世界に来たのは、看護大の卒業式でナースキャップを被った瞬間で‼️
「ああ‼️」
人体消失、映像付き。
……
そら、都市伝説にもなるわ。
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