7章 王宮と元の世界と召喚勇者達

第122話 千年饅頭と腕時計

 ヤンキー勇者事件も片付いたし……

 異世界召喚について、少し考えてみた。


 いや、『返還』を狙っている以上、正確な理屈が知りたい。


 決して興味本位じゃないよ。

 自分の愛はモフモフしたものに9分9厘向いているのだ(自慢)。


 まず、『異世界』って存在だが……


 これは、パラレルワールドでいいと思う。


 この世界は少しずつ違った、または似ても似つかない世界が重なりあっていて、日本から飛行機にのって世界中くまなく探しても、行き着かない場所が、アルスハイド……


 だから異世界。

 だからパラレルワールド。


 宇宙空間の、銀河みたいな存在かもしれない。


 間には普通なら行き来出来ない、宇宙空間が広がっていて、世界は並び合い、重なりあう。


 異世界召喚と言うのは、ロケットや、せめて宇宙服が必要な宇宙空間に似た、謎空間……『世界の壁』を飛び越える事を言うのだ。


 うん、宇宙に放り出されれば、普通死ぬ。

 これは、当たり前だと思った。


 だから代替えと言うか、某かの価値と等価交換する。

 理屈は知らない。

 けれど、正式に交換することこそ、謎空間を『無事』に通り抜けるための要件なのだ。


 勇者は魔力と交換した。


 正式な対価があったから、普通なら命を落とす謎空間を、自分達は無事に抜けてきた。


 人間を宇宙に放り出したら……

 まあ、死ぬだろうけど、もし生き残れば?


 特殊な進化を得るかもしれない。


 そして、『世界の壁』でも同じことが起こり、自分達は勇者になった。


 ……

 なら、『返還』は?


 自分達は普通の人間ではない。


 特殊な能力を持ち、あの日日本から連れてこられる前の、普通の人間では既に無い。


 今度の対価は、今までと同じ程度では済まないだろう。


 ただ、対価を払えば正式に『返還』される。

 勇者の力は勇者のままで、下手をすれば某かのプラス要件までついて、『返還』される。


 今より強い力や魔力で、当たり前の日常が、日本で送れると思わない。


 なら対価を払わなければいいかと言えば、あの『千年饅頭』の例がある。


 魔力でごり押し返還したら、千年食べれる饅頭が腐った。


 マイナス要因がわからない。

 『千年分の時の流れ』なら、人は生きて戻れない。


 そうでなくても、自分達が自分達のまま、何の問題もなく戻れるかなんてわからないのだ。


 さじ加減が肝になる上、生き物で実験なんてやりようもないし……


 悩む内に、思い出した物がある。


 あの日、千年饅頭と交換された、いちごの時計。


 饅頭ばかりに注目したが、正に異世界からの『返還』を果たした、あの腕時計はどうなったのか?


 『覗き見君』を起動させた。


 日本で、今どうなっているかわからない、時計の行方と現状を知ろうと‼️


 お陰でとんでもないことに気付いてしまったよ⤵️

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