第111話 終のことが気になるのは、少しはフラグになっているのか?

 ずっと気になっていたことがある。


 「んじゃ、千夏。

 雨月と、朔夜達も集めて来てくれよ。」

 「ああ。」

 「今回は、しっかり情報共有した方がいいだろ?」


 このまま間をおかず、鳩君達を急襲することになりそうだから。


 「あのさぁ。1つ聞きたいことがあるんだけど。」

 思い切って手を上げる。


 「ん?」

 「どした、ほむら?」

 「あ、あのさぁ。

 鳩君(小)の方、なんかおかしな力……って言うか、スキルなのかな?

 人を操るような何か、持ってないかなぁ?」


 思い出すのは、やたら申し訳なさそうだった、鳩君(大)の顔。


 とても『好き』でやっていると思えなかったのだ。


 「ああ。」


 同じく、接触したことがある世奈が、納得の溜め息。


 「鳩君(小)って、16号?」


 千夏が確認する。


 「ごめん。番号だとわからない。」

 「でかい図体で、気弱そうなのが15号。なよなよしたのが16号。」

 「あ、なら、そう。」

 「んー、ってことは……」


 もう引退だと言いながら、千夏はほとんどの勇者召喚に関わっている。


 頼まれれば出てくるのは、アルスハイドへの義理では無く、多分新たに召喚される同じ仲間に対しての思いだろう。


 だから、鳩君(小)のことも記憶していた。


 「16号は……

 確か和泉っていったか?和泉勇作?

 馬鹿ヤンキーの基本と言うか、何かにつけて『俺が‼️俺が‼️』の子だったからな。」

 「そうなんだ。」

 「うん。あの頃は今みたいに、『鑑定無双』なんていなかったから。」

 「誰が『鑑定無双』だし。」

 「16号は基本目立ちたがりだし、何かあれば聞かなくても話したと思う。

 でも何も言わないし、だからスキルとか無いと思っていたんだ。」


 「でも、アタシのラッキードレインとかの例もあるでしょ?」


 本人にさえ見えなかったスキル。

 特定の条件を充たさないとわからない。


 本当に意地の悪い、この世界のシステムの管理者から考えると……


 「あり得ない話じゃないな。」

 と、千夏が頷く。


 「16号が15号を意識してか、無意識なのか、操っているなら……

 こっちには常識が通じる可能性があるし、会ったら鑑定してみるよ。」


 いちごが確約してくれた。


 結界の教会は、保護するという意味を込めてリーシャとハイを含めた、朔夜、健介、正直、そして世奈が担当する。


 「その教会に鳩君達が現れる可能性はほぼないけど……」


 それは彼らを捕えられず、逃した場合のみだから。


 「でも、もしその万が一が起こったときは、世奈は何重にも『鉄壁』を張って時間を稼ぐ。朔夜達は遠慮せず全力で戦う。わかった?」


 いちごの言葉に、みんな大きく頷いた。


 アタシと雨月さんが貴族街孤児院担当。


 人質を取るという最悪の本性ならば、知ってさえいれば勇者達が保護している孤児達を新たな人質にする、その選択もあり得るからだ。


 そして、襲撃を担当するのが、千夏、いちごの武闘派医療系勇者コンビ、プラス終。


 なんで終?


 疑問に思ったアタシだが、実は最重要なんだと後で聞いた。


 

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