第110話 日本人は平和ボケしている案件(←幸せなことです)

 「あの馬鹿ども……」


 瞬間、千夏から……

 『オーラ』とか言っちゃうと、ファンタジーよりか?

 圧力みたいなものが立ち上がる。


 格闘技経験者だし、わかっている。


 大きな試合の前、『やる気』みなぎる相手から感じる『圧力』……


 『こいつ、強いな』とか、

 『かなり必死だな』とか、判断材料にしていた。


 これくらい出来る人だと気付いていたよ。

 初代勇者だしね。


 たとえ『ハリセン剣法』だとしても。


 でもまあ、このまま放っておくのも不味いか。


 「はい、ストーップ。」

 なるべく軽い言い方を選んで、脳天にチョップ。


 いや、千夏、チビだからね。

 この手のちょっかい、かけやすくていいや。


 気が逸らされたのだろう。

 瞬間、圧力が霧散した。


 「いちご‼️

 あんた、毎度毎度年上に⁉️」

 文句を言うから、

 「お?戻った?」

 と、なるべく大袈裟な仕草で肩をすくめる。


 それで気付いた。

 

 「あ……」

 「ん?」

 「我を忘れた。悪い。」

 「いや。」


 気が付けばコントロール出来る。

 やっぱ、さすがだな、千夏さんや。


 「でも、千夏。

 人質に心当たりあるの?」

 「あー、たぶん。

 力って、素っ気ないけど優しいって言うか、1年くらい前にこっちの人と揉めた時、被害者だった中学生くらいの女の子と、その子が助けようとしてた幼稚園児くらいの男の子、引き取ってたから。」

 「へー。」


 1番大事にしている者、だからこその弱点に手を出したのか、鳩君達。


 「かなり可愛がってるくせに、『居着かれた』ってボヤいてたよ。」

 「へー。」


 うわっ。

 ムカつくな、鳩君達……


 確かに、これはキレたくもなるわ。


 気を付けよう。

 やり過ぎそうだ。


 私までキレたら、世奈とほむらが縮みあがる。


 気付かれないように小さく息を吐き……


 「んじゃ、魔力感知で場所はわかってるから、今すぐ捕まえない?」


 提案したら、驚かれたよ。


 「えっ⁉️」

 「もう、夜だよ⁉️」

 「いいの?」


 いや、全く……


 全員(敵含め)見事な、平和ボケした日本人だったよ。


 「敵対してきてるわけだし、人質もいるなら早い方がいいでしょ?」


 ニヤリ笑うと、全員納得。


 「「「ああ‼️」」」

 「まあ、平和ボケと言うなら鳩君達も同じだし。警戒してない内に急襲しよう。

 千夏。終、呼んできてよ。

 あいつも多分油断してるから。」

 「ああ。」


 わかったのだろう。

 ニヤリ笑った千夏が『移動魔法』で消えて、直後、今回もズボンを下ろしかけていた、トイレットペーパー兄さんが呼び出されたよ。


 「もう‼️なんで毎回こう言うタイミングなんだよ⁉️」

 

 終が喚き、世奈とほむらが苦笑い。


 一応終の名誉のために‼️


 今回は『着替え中』だったみたいだ(笑)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る