第99話 魔法がたくさん使えると、どう使うか分からないものが紛れ込むものだ

 魔法がたくさん使えると、訳の分からないものが紛れてくる。


 俺は、『真実と嘘が判断出来る魔法』を持っている。


 魔物相手に『ホントかウソか?』なんて、意味がないと思っていたが。


 まさか、ここで役立つとは思わなかったよ。


 翌朝、目を覚ましたラナとレオと、朝食にした。


 肉はウサギで、米は麦の『鶏雑炊』。

 すでに原形がない💦


 それでも、自分の分だけのつもりで、小さく作った麦畑に『緑の手』を使いまくった。

 掛け合わせ、掛け合わせを繰り返して、米に比べ柔らかくなりにくい麦を、理想の形に近付けた。


 まあ、旨いと思うよ。


 子供らも、ひたすら夢中で食べているし。


 腹がふくれ、また眠くなった2人をベッドに戻す。


 圧倒的に『寝』が足りていないのだ。


 昼は、たくさん作ってある鶏雑炊を、温めて食べるようラナに言った。


 「チカラさんは、どこかに行くのですか?」

 「ん?仕事だ。夕方には帰るよ。」

 「はい。」


 万が一に備え、農地ごと結界をはる。


 俺の結界など、15、6時間しか持たないし、小型の魔物及び人くらいしか防げない。

 でも、一先ずは安心だろう。


 俺はリリムの町へ向かう。


 ラナに聞いた、東区にある彼女の家を目指した。


 家の前まで来ると、

 『ガッチャーン‼️』

 『バリバリ‼️』と、何かを壊す音がする。


 かなり激しい家捜しをしているらしい。


 もう良識も、警戒心も麻痺しているのだろう。

 「あったぞ‼️あった‼️」

 「タンスの奥だ‼️」

 「面倒かけやがって‼️」

 「やはり溜め込んでいたみたいだな‼️」

 と、2人の輩の声がする。


 「おい‼️」

 踏み込むと、

 「おっ⁉️」

 「なんだ、貴様‼️」と、凄んだ。


 勇者の、魔物を当たり前に倒す力は、人に使うとどうなると思う?


 容赦なんかする気もないから、力を込めたローキックが膝辺りに炸裂、左右一気に叩き折る。


 「ぎゃっ‼️」

 「え?」

 

 足がついていただけ喜んで欲しい。


 そのままもう1人の膝も壊し、泣き叫ぶ男2人の襟を掴んで引きずって、家の外に放り出した。


 「まず言っておくが、俺は勇者だ。」

 「え?」

 「⁉️」

 「嘘を見抜く魔法も持っているし、心して質問に答えろよ。」


 宣言し、尋問を続ける。


 輩2名、若い方に聞く。


 「お前らは何の権利があって、あの家を荒らす?」

 「それは、あの家の男が借金をしていなくなった……」


 そこまで言うと、男の輪郭が赤く光る。


 「はい、嘘ぉ‼️」

 「ぐわっ‼️」


 思い切り、折れた膝を踏んでやった。

 痛過ぎると声さえ出ない。

 男は、パクパクと口だけ動かす。


 恐怖の光景に縮み上がる、もう1人に言う。


 「見ての通り、嘘をつけば体が光る。

 嘘ならそれなりの躾をする。」

 「……」

 「ああ、ただ合っていても、どうしようもないクズなら殴るなぁ。

 心して答えろよ。」

 「う……うう……」

 「貴様らは、借金なんて無いと知っていた。

 何故こんなことをした?」


 

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