第54話 神様のイタズラ

 「じゃ、今から見てみるね。」


 似合わない、真顔で宣言するいちごに、アタシも大きく頷いた。


 ドラゴン事件の後、世奈の部屋に集合で晩御飯にした。


 アタシの歓迎会なので、

 「何を食べたい?」と、聞いてくれた。


 「ポテチ‼ケーキ‼チョコレート‼」

 「おう、そうきたか。」

 「なら、晩飯は世奈決めな?」

 「昼ががっつりだから……

 あ、じゃあ豚しゃぶで。」

 「肉は料理長にもらえばいいか。じゃあ、本格ツケダレを召還しよう。」

 「やったぁ‼うち、ゴマダレがいいです‼」

 「了解。」


 食事は軽く済ませて、今目の前にあるのはピザ味のポテチ、サワークリームのポテチ、のり塩のポテチ、生クリーム系のホールケーキと、チョコレートのホールケーキ、煎餅とか大福も出して、ここまでジャンクに決めたらいっそと、コーラやフルーツジュースなども並べてくれた。


 パーティーだ。

 カロリー的にも糖分的にも、脂質的にもギルティな、パーティー。


 このはっちゃけた雰囲気で『鑑定』って、カオス過ぎる。

 

 「ん、と……」


 いちごが、紙にステータスを書き始める。


 ……ユウキホムラ(18)……

 職業  勇者(マイナス)


 体力  B

 魔力  A

 力   B 

 知力  B


 魔法  ステータス

     アイテムボックス

     光魔法

     風魔法

     生活魔法

 

 スキル  ……


 称号   ……


 「んー?」と、いちごは首をかしげた。


 「ほむら。ここまでは知ってたんだよな、自分で?」

 「うん。」

 「適正魔法は光と風、ね?

 ただ、色がついてるんだよなぁ。」


 色?


 「他はどうか知らないけど、私が誰かを鑑定すると、パソコンみたいなイメージで黒文字でステータスが浮かぶんだけど、ほむらのは赤字になってる」らしい。


 「待てよ……ここを鑑定して……」


 二重鑑定したいちごが、

 「お⁉️」と、小さく驚いた。


 「何⁉️」

 「MAXだってさ。」

 「?」


 「ああ」と、話を千夏が引き受けた。


 「ある意味器用貧乏なプラスと違って、使える魔法は限定されるけど、頂点まで極められるって言う……」


 「え?それって千夏がドラコン倒した魔法も、アタシ、使えるってこと?」

 「だろうね。下手すりゃそれ以上だ。」

 「嘘……」


 ちょっとだけ嬉しい自分が、意外で驚く。


 アタシは、成り行きと言うか、引っ込みがつかなくて引きこもっていたと思っていた。


 気が付かないまま、けっこう気にしていたんだ、マイナス。

 国に結界が張られた今、まったくの『今更』なのにね。


 少しニヤけてしまう。


 「ん?でも、スキルや称号は最初から無いんだよね、ほむら?」

 「うん。」

 「にしては、スペースはあるんだよね。ちょっとここも。」


 いちごが鑑定を続行し……


 「ねぇ、千夏‼️」

 「ん?」

 「明日、トイレットペーパー兄さんの所に行くんでしょ?」

 「うん。」

 「じゃ、ほむらも連れて行こう。けっこうギリギリだわ。」

 「「「?」」」


 よくわからないアタシ達に、いちごが苦笑いで伝える。

 「神様のイタズラだ。」

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