第33話 魔力感知を極めよう
「さすがに疲れたぁ。」
王宮の、自分の部屋のベッドにダイブした。
やばい……
髪乾かさないとさすがに……
でも、動くのめんどい……
今日は1日、『魔力感知』を使って18号……山田朔夜達を探した。
最終的にはたどり着けたが、最初は地獄だった。
『魔力感知』は、辺り全ての魔力を感じ取ってしまう。
そしてこの国の人は、勇者召喚に協力した魔力なしのイレギュラーを除けば、全員魔力を持っている。
情報過多で吐くかと思ったよ。
ただ中で、特に大きな魔力を感じた方へ、移動しつつ練習した。
雑多な魔力は遮断できるように、範囲を狭めたり広げたりしながら、やっと使えるまでになった。
この世界、レベルの概念は無いようだったが、習熟度とか絶対ある。
ゲームみたいだ。
まあ、少年漫画的努力の世界は、格闘技経験及び看護師になるための慣れない勉強編で習得済みなんで、いいや。
王宮に戻って、世奈とハイと夕ご飯。
今日はカマスの塩焼きだ‼
「普通こういう場合、サンマじゃないの?」とブツブツ言っていた千夏も、がっつり食べた。
だってカマスが食べたかった。サンマは今度出してあげるよ。
『食料召喚』が、生ものもいけると分かった件。
と言うか、このアルスハイドに魚はいない。
『いない』と言い切ると語弊があるが、周囲は魔の森で海はなく、国土を流れる川もない。
川が流れていれば、それは即ち魔の森からの水棲魔物を引き寄せる道だ。
無いから国が作れた。
水資源は、基本湧き水と雨、魔法が頼り。
国のどこかに湧水を水源とする湖や泉は数か所あるものの、魔物が入り込む可能性を恐れ誰も近付かないでいる。
イコール、魚はいない、だ。
部屋に戻り、風呂に入った。
魔力を介在すれば、川もないのに水使い放題の不思議。
1日の汗を流す(←今ここ‼)
「駄目だ……せめて髪乾かさないと……」
じゃないと、明日朝苦労する。寝ぐせどころか爆発する。
私は体を起こしてベッドに座る。
この国には魔力で動くドライヤー的なものまである。
さすが、10年前から召喚者のいる国‼
けれど、元よりマメな方では無いので、乾くまで起きていようと思っていた。
せっかくなら『魔力感知』の精度をさらに上げよう。
薄く薄く、感知の範囲を広げていく。
弱い魔力は拾うことなく、大きな魔力のみを。
王宮にあるのは、3つの魔力。
馬鹿みたいにでかい光として感じる千夏と、ハイ(さすがプラスだ)。
そして世奈。
広げていくと、今日訪ねた市民街の一角に、大きな魔力を4つ感じた。
4つ?
朔夜と健介、正直と……
同じ場所にいるってことは、あのリーシャって言うこっちの子かな?
魔力あるんだ?
本人も知らないかも、だな。
大体王宮魔導士10人分以上あるはずの、私達召喚勇者に負けず劣らずすごい。
「ふーん。」
1人感心する私の耳に、ノックの音が聞こえた。
「いちご。今いい?」
千夏だった。
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