第28話 ナポリタン、旨し‼️

 「あー、そうかぁ。

 日本でのキャリアを活かす方法があったのかぁ……

 気付かなかったわぁ。」


 頭を抱えるわたしに、発見者のくせに今1つ分かっていないらしい。

 いちごがキョトンとして首をかしげた。


 いや、似合わないぞ、格闘娘‼️


 全身打撲のすりの男を官権に預け、わたし達は食堂に来ている。


 朝晩は世奈に作って貰うから、昼は外食にしている。


 ちなみにわたし達召喚勇者は、国から十分な……の3倍くらい、現金が出ているので資金ならある。


 もう1つちなみに。

 すりは恐らく、強制労働(下水道掃除とか重めの荷運びとか)半年くらいです❤️

 未遂だったし。


 「お待たせしました‼️」と、店員が運んできたのは。


 この国の、少し太めのモチモチした麺を使った、トマトパスタ……って言うか、完全にナポリタンだよね、これ。


 アルスハイドの食事情は、召喚勇者が絡んだせいで、実はかなり良いのである。


 「うわっ‼️旨そう‼️」


 『爆食王』の称号に違わず、いちごのテンション、爆上がり。


 1日目は、オークカツの店に行った。

 

 ……

 うん。確実に召喚勇者絡んでる。

 要はトンカツ。


 「どーせなら、米で食いたかった」と、愚痴られた。


 まあ、同感。


 2日目は、オークのモツを使ったトリッパ?なのかな、洋風モツ煮込みの店で、これはパンで文句無し‼️


 「旨い、旨い‼️」と、がっついていた。


 で、肉が続いたので、今日はパスタだ。


 「後天的にスキルが貰えるなんて、想像もしなかったよ。」


 食べながら話す。


 「そうなのか?」

 「うん。

 しかもいちごの『気配感知』とかは、多分格闘技の経験に対してだよ。

 わたしの『薬品合成』も、医者の知識に対してだし……」


 最近の勇者達は、『異世界召喚』と言う異常事態に親和性が高い。

 何か、流行っている?らしいのだ。


 なら、ここ数年の召喚者達は、気が付いている可能性が高い。


 「ん?なら、私もいけないかな、『薬品合成』?」

 「ん?」

 「看護大卒だし、一応『薬学』習ってるし。」


 「ん?……んん?……」


 しばらく脳内で戦っていたいちごが、急にガクンと肩を落とす。


 「どした?」

 「獲得、出来た、けど。」

 「ん?」

 「マイナス、付いてた。」


 『薬品合成マイナス』‼️


 ついつい吹いたら睨まれた。


 いや、面白いな、この子。


 「で?どの辺まで作れそう?」

 「うーん。風邪薬や胃腸薬、栄養剤や鎮痛剤とかいけそう。

 そっちは?」

 「抗生物質とか抗ウイルス薬もいけそう。」

 「おう。」


 これは朗報‼️

 回復魔法は病気を根治することが出来ない。

 瞬間の苦痛は和らげられるも、治せないものだから、助かる。


 でも?


 日本での経験が活かせるなら、懸念事項が1つある。


 「ねぇ、気になることがある。」

 「あん?」


 いちごさんや、頬っぺたにソース飛んでるよ。


 じゃなくて‼️


 「多分ここ数年で召喚された人は、後天的にスキルが取れるのに気付いてる。」

 「うん。」

 「で、18号だけど。」

 「うん。」

 「向こうで苛められてたって聞いたことがある。」

 「あ?」

 「『気配遮断』とか持ってそうじゃない?」

 「げっ‼️」


 人探しが更に難航しそうな、件。



 

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