第6話 召喚勇者の黒?歴史

 「犠牲って⁉️まさか、生け贄なのか⁉️」

 わたしの言葉に、いちごが勢い込む。


 いや、マジで最近の子は理解が早い。

 異世界知識ましましで、ちょっと引く。


 「んにゃ。まあ、生け贄っちゃ生け贄だけど、命までは取られないよ。」

 「ん?」

 「まあ、犠牲になるのは魔力ね。」


 この世界の人間は、多かれ少なかれ、必ず魔力を持って生まれる。

 

 足が速い人、歌が上手い人みたいに、力の程はまちまちだ。

 しかし、周囲一面を魔の森に囲まれたこの国のこと、水1つ取ってみてもその量に限界があり、生活魔法を使えないと話になら無い。


 「勇者召喚は、国民の中でも特に魔力の高い、王宮魔導師……ああ、これは攻撃魔法とか使える人ね。彼ら10人の魔力を余すことなく使いきって行うの。」


 魔力は、2度と回復しない。生活魔法も使えない。

 つまり、10人の魔力的要介護者を作ることになるのだ。


 「まあ、それでも、犠牲と結果を比べれば?勇者を召喚した方が何10倍もお得?らしいけどね。」


 昨日まで王宮魔導師としてもてはやされた存在が、たかがトイレを使っても流せない。

 超絶大変だと思う。


 ああ、この国は魔力による水洗です。


 「もちろん彼らには、一生暮らしていけるだけの保証はするよ。

 だから、召喚は凄く経費がかかる。

 だから、年2回ね。」

 「世知辛いな。」

 「まあ、3号……トイレ兄さんまでは王宮魔導師10人だけど、4号からは一般人100人ね。」

 「……トイレいじり、止めてやんない?」


 召喚に必要なのは、一定の魔力量と推察した。

 この世界は魔力量を数値化していないが、大体の差異は分かる。

 王宮魔導師は、一般人の10倍程度の魔力を持つ。

 一般人100人と王宮魔導師10人の魔力量はおおよそイコール。

 ただし、収入は王宮魔導師が一般人の50倍強だから、召喚費用は5分の1で済む。


 「せこいな、饅頭。」

 「まあ、そうそう魔導師を失えないと思ったんだろうけどね。」


 ただ、だんだん勇者の質が下がる問題が出た。

 一般人による召喚になって、最後の方は道に寝ていた食いつめものまで混ぜていた。

 そりゃあ、質は下がるさ。

 

 で、17号までは一般人による召喚、18号からは?


 「ね。これ、魔力の問題なら、魔石でもいいんじゃない?」


 7号の提案から、魔石召喚が始まった。

 魔石なら、わたしが八つ当たりで成敗したドラコン初め、たくさんある。


 魔石とは、魔物の体の中にある、魔力が石状に固まったものです。


 「で、召喚した18号が凄く優秀だったんで、人的犠牲も無いし、この1年で召喚しまくったんだよね、大福のヤツ。」

 「千夏が1号で、年2回なら18号が9年目の後の方?」

 「うん。魔石で召喚出来るって、最後の1年は調子にのって、月1で。」

 「月1……」

 「うん。それで、いちごは30号。」

 

 

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