第2話 10年前の召喚者
「あー、めんどくさ。」
久し振りに王宮に呼び出されたわたしだが……
見てはいけない系のものを見てしまった件。
キイ(開ける)
……
バタン(閉める)
……
キイ(開ける)
2度見案件だよ、これ‼️
召喚の間で、ナースが大福(王様)に、腕ひしぎ十字固めをかけていた。
……
え?
誰得なの、この光景?
特殊な趣味の重ね掛けだ。
大福(王様)、Mだっけ?
ナース服と言うことは、彼女が召喚者なのだろう。
召喚、即関節技とは?
いい性格してる。
ナースは細身だが、均整のとれた体つきをしていた。
顔立ちも整っていて、キレイ系。
ブリーチしているのか、完全な金髪。
少しつりぎみの目が気の強さを表している(召喚即関節だしね)。
背は……
大福と絡み合ってる(文字通り)から分かりづらい。
でも、多分大きい方だ。
さて、めんどうだ。
バタ……
逃げようと扉を閉めかけたが、大福に見つかってしまった。
「あーっ‼️千夏ちゃん、いたぁ‼️」
千夏ちゃん、言うな。
「なんで逃げるのぉ⁉️」
逃げてないわ‼️
3度見しようと思ったんだ‼️
「助けてぇ‼️千夏ちゃん‼️この子、乱暴だよぉ‼️」
巻き込むな、この、大福餅‼️
「はぁ。」
とは言え、このままでは埒が明かない。
って言うか、なんでまた召喚してんだ、この大福は‼️
確か18号が24号と25号と協力して、結界システム造り上げなかったか⁉️
もう、要らないだろう、召喚者。
この子、何号だ⁉️
「ぎゃあぁぁぁっ‼️」
「説明しろし‼️」
「痛い痛い‼️」
大騒ぎしている大福を締め上げるナース(←カオスだ)の肩を、
「まあ、ちょっと落ち着いて」と、軽く叩く。
「誰⁉️」
凄まれた。
血の気多いなぁ。
「まあ、ちょっと弛めてやってよ、腕。
大福、話せる状態じゃないし。」
大体、召喚勇者にマジ切れされたら、腕がもげ……
???
もげてないな。
え?
おかしい。
自分が召喚された当時を思い出すと、絶対に腕がもげる。
もげる筈だ。
もげた上に天井まで飛ぶぞ。
「え?なんで……」
理解が出来ず立ち尽くしていると、今更ナースの『誰⁉️』に反応したらしい、大福が胸を張った。
「彼女は千夏ちゃん‼️幸田千夏(コウダチカ)ちゃん‼️
我がアルスハイド王国、初代の召喚者だ‼️」
「ふーん。」
「反応薄いなあ。」
「何がスゴいか分からん。」
「えー⁉️千夏ちゃんは10年間も王国に尽くしてくれた、功労者だぞぉ‼️」
「10年⁉️」
ナース、超驚く。
わたしは展開に不安を覚える。
ナースは、ギリギリと軋む音が聞こえそうに、ギクシャクした動きで振り向いた。
「え?何歳で来たの?」
そこ聞くかぁ⁉️
とは言え、隠す程でもないから、
「26」と素直に言うと、
「うっそだろ⁉️じゃ、今36‼️
えっ⁉️超ロリババ……」
ドーン‼️と大きな音がした。
皆まで言わせない。
殴られたナースと、まだ極っていたらしい、腕が繋がっている大福が壁に叩きつけられた。
瀕死になっていたから……
回復魔法くらいかけてやった。
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