金魚の見た夢
ミハナ
金魚の見た夢ネタ 二次創作
★蜜のあわれっぽい金魚パロ。
天童に淡い思いを抱くが言い出せない若様が赤い金魚(出目金?りゅうきん?)を一目惚れで飼うことになって、その金魚が天童に似た姿をとって若様の前に現れての交流…。天童本体は普通にマブダチのまま。
パロは蜜のあわれ的なパロ。
金魚との出会いはペットショップで、他の動物を飼い始めた沢メンに連れられて行った先で懐かれたから。沢メンの誰か「お、こいつ覚に似てないか?なんかこうなんとなくさ、ずっと若利のこと見てるし。寄ってきたな、ひらひらしてキレイじゃね?」
「そうか」はなれがたくなり若様が購入。初めて生き物を飼うことになり、天童に連絡入れる。「金魚を飼うことにした、赤いやつだ」「へえー!!若利くんが金魚!!これはびっくりだなー可愛い?どんな種類の?名前とかつけた?」「名前はまだだ…気になるのなら見に来らいい」「若利くん一人暮らしだっけ?住所送ってよ、時間出来たら遊びにいくから」「ああ、楽しみにしてる」→金魚との生活スタート。初めは慣れなくて慎重。色々設置したりする。
数日後ぐらいの夜に若様が寝ていると何かがのし掛かっているのを感じ目が覚める。すわ幽霊かと手元のリモコン操作で部屋のライトをつければそれは天童にしか見えなくて、体には何も纏っていなくて混乱→とりあえず体を離そうと腕を掴んだら肌にざらつく感覚。鱗だった。
「…人では、ないのか?」「飼い主さまは人?」「飼い主?」「おれ金魚。世話ありがとう」金魚と名乗る天童ににた何かはにこっと笑うがそれは稚気に満ちていた。天童はこの笑い方はしない。天童はもう社会人である。ならば金魚というのを信じるしかないだろう、だが何故→その姿なのだ。天童に瓜二つにも見えるがよくよく観察すれば全身薄い鱗に覆われていて足がある部分は赤いヒレ、耳もまた形が違う。呼吸の仕方も違う。肺にあたる部分が動いていない。若様は金魚なのだと理解する。
これが最初の夜。
これから昼間は金魚、夜は人の形になる金魚との交流が始まる。さすがに裸じゃあれだからと若様は金魚にジャージの上着を与えれば嬉しそうにその場で器用にひれを使ってくるくる回ったりもする金魚。名前をつけてないことに気づいて若様は金魚をさとりと呼び始める。自分が
この世で一番美しいと思う響きで。
「さとり?」「そうだ」「さとり!!オレさとり!!」嬉しくて堪らないと全身で表現する金魚が若様に抱き付く。微笑ましいがこれは自分が求めるものではない、気づいていながらも若様は可愛いがることを止められない。それから暫くして 金魚が無邪気に笑って言う。
「オレは誰かのかわり?」「……っ」「初めて目があったとき飼い主さまかんがえてた形、だからこの形、オレ。元ある」「………確かにその姿は天童だが…俺は天童の代わりにしたことは、ない」「これ、オス。飼い主さまもオス。番なれないよ?」
動物はオスメスが基本だ。そんなことは理解している。だが知られないように愛することは可能ではないか。元より天童は女が好きだ。到底言えるはずもない。お前のことが高校生だった時から好きだなどと。黙り苦しそうに顔をしかめる若様に寄り添う金魚。見た目は、思い人。
段々と金魚との距離が狭まっていく。毎夜ごとに抱きしめて鱗の肌を撫でても朝には金魚に戻る。それを水槽に移しかえて餌をあげる、これが日常になってきた時若様に遠征時の臨時コーチの話が入る。金魚の世話をその間誰かに頼まなければならない。苦悩する若様。
一度だけ宣言通り金魚を見に来てくれた天童が思いうかぶ。事情を説明し、その間だけ預かってくれないかと相談。金魚の秘密だけは伏せて。
珍しく困りきってる若様からの相談は頼られてるみたいで嬉しくて2つ返事で返す天童。日にちを伝えて「若利くんの初めてのペット大事に預からせてもらうね!」「ああ…助かる、すまない」「!オレらの仲じゃん!!頼ってくれて嬉しいヨ♪」→金魚、飼育セットごと天童の家へ。一日目、なにごともなく過ぎる。
二日目の夜。物音がして天童が起きると、自分と瓜二つの姿のものが天童を覗きこんでいた。
「うぎゃああ!!!なにこれドッペルさん!?オレ死ぬの!?死にたくないー!!!」「(無言でヒレで天童を叩く)」「ぶふぅっ!!なにこれ痛い…」「天童、」「喋った?!………つか、君だれどっかから入ったの。」混乱しつつも言葉が通じるならと会話を試みる天童。
「誰って、金魚だよ」「金魚?預かってる金魚?いやあり得ねえし。お前どう見てもオレそっくりじゃん。若利くんがわけ分かんない悪戯するわけないし」「水槽みればいいさ。いやでもわかる」金魚が天童の腕を取る、その感触は到底人の肌には思えない魚のような肌だった。
天童が水槽を置いた1LDKのリビングに入り、ライトをつける。その時に目に入ったものは水や浮草が入ったままの主役がいない水槽と光に照らされた全裸の金魚の人の形の姿だった。
「どーゆーことー!!!!」深夜に天童の叫び声が響き渡った。
「飼い主さまは信じたのに、天童はかたい」「嘘だろこんなんすんなり信じたのかよ若利くん…まじ天然過ぎんだろ…」うるさいと隣の住民から壁を叩かれつつ天童は混乱する頭をなだめようとする。今まで普通に生きてきたオレに不思議案件が出来するとは。俄には信じがたい。
だが信じないと先に進めない。天童が一番気になっているのは金魚の姿形が天童に酷似していることと、それを知って大切に扱い飼っている牛島の存在だ。不思議な話とはいえ、天童の姿のものが牛島の近くにいる……つまりそれは牛島の気持ちが天童にあると思ってもいいのか。
そうだったら嬉しいのに、と天童は思う。何人かの女性と付き合ったものの直ぐに別れてを繰り返しては牛島にやけ酒に付き合わせたりした。呆れつつも律儀に付き合ってくれる牛島が優しくて少し甘えたりもした。それが牛島が優しいからではなく好意からだとしたら。顔が熱い。
金魚は飼い主の牛島について色々教えてくれた。優しいだとか声聞けば落ち着くだとか肌に触れて「ざらついているな」とか言いながら毎晩抱きしめて眠り朝になったら水槽に戻して餌をくれるのだと。それら全てを行う牛島の姿と自分の姿をとったモノに対する行動に天童は照れたりなんだりして想いが深まっていく。牛島の想いに触れ、どうしようもなくなり金魚が喋った事も言い出せずにいる天童は三日目の夕方に思い切って連絡を入れる。
この時に金魚の事を打ち明け、牛島の想いも知ってると告げて「オレも若利くんの事がずっと好きだった」告白→両想いに。
その日の夜、金魚と話す。
金魚は面白そうにきき「良かったね、天童」と返し天童が照れくさそうに笑う。
その後、預り期間が終わり金魚を牛島に返しいい感じになって二人は体を重ねる。金魚はそれを水槽の中から見ていた。
朝になり何も言わない普通の金魚に牛島が違和感を感じ、天童は自分の家に戻る。
夜になっても金魚は姿が変わることなく天童に電話をすると「……そうゆうもんだったんじゃないかな、恋心に反応して変身するような、さ」「………」「…寂しい?」「…まあ、な。さとりは賑やかだった」
この時、名前呼ばれた金魚が水槽の中でぽちゃんと跳ねて牛島がそちらを見る。
目が合った気がした
終わり。
金魚の見た夢 ミハナ @mizuhana4270
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