第3話 その頃、レックスは
「レックス王子、あなたは一体何を言いたいんだね!」
マッキンデリー
すると、レックスは答えた。
「私の考えでは、あなた方から武器を買う必要はないと考えています」
「レックス王子、いけませんな」
マッキンデリー
ここは、シャルロ王国のシャルロ城、
レックス・リベイラは、シャルロ王国の王子だった。
「戦争から逃げてはなりませんぞ!」
マッキンデリー
「人間は、戦争から逃れられないのです。あなた方シャルロ王国も、戦争を起こさなければならない! 武器を手に取り、血を見なければならぬ。先人もそのようにして、平安を勝ち取ってきたのですぞ!」
「僕は、そのような暴力的なことは望みません」
レックス王子は
「国の領土を広げるために、あなたから買った武器で人を殺すのですか? 私はそんな売買に参加したくはありません」
「……なんたる腰抜けだ。シャルロ国王、これが次期国王ですか? 息子さんに言っては失礼だが、私ははっきりものを言う性格でね!」
マッキンデリー
黙っていたシャルロ国王は言った。
「レックス、マッキンデリー
「では、平和はいつ戻ってくるのですか?」
レックスの言葉に、マッキンデリー
「戦争によって、平和を勝ち取る!」
「
「もう良い! まったくたいしたお
マッキンデリー
「武器は、必ず買っていただくことになる。買わざるを得ないはずだ。泣いて、我々に飛びつくだろうね」
「レックス」
国王は腕組みをして、息子に言った。
「今日の交渉は、全てお前に任せたが──。とても今のお前には、次期国王を
「と、父さん」
「ゴホッ、ゴホッ」
国王は
「大丈夫ですか!」
レックスは父王の背中をさすった。
「すぐに医者を呼びましょう」
「いや大丈夫だ。むせただけだ。そんなことより」
国王は言った。
「レックスよ、考え直せ。戦争は人を殺す。確かにな。しかしそうしてこそ、国は
「
「自分で言っていただろう。領土、領地を広げるということだ」
レックスは首を横に振り、部屋を出ていった。
「レックス! 話は終わっていないぞ!」
父王の声が、
ああ……この気持ちをなぐさめてくれる人はいないだろうか。
レックスは部屋を出て、廊下の壁に手をついた。
そのときレックスの頭の中に、今日の昼に会った、少女の顔が浮かんだ。
(確か──ターニャと言ったっけ。雨にぬれていたな)
心の美しそうな子だった。ああ、彼女ならもしかしたら、僕の心の痛みを取り除いてくれるかもしれない。
しかし、どうやって会えば良いのだ?
いや、彼女は多分、平民だ。王族の僕が、しかも他国の少女を好きになってはならぬのだ。──きちんとしなければ。
レックスは階段横で待機していた、
「セバスチャン、そこにいたのか。父は状態が悪い。医者を呼んで、
「はっ、分かりました」
「セバスチャン」
「なんでございましょう」
「戦争は必要なのか? 人を殺さなくてはならないものなのか」
「私個人の考えでは、無いほうがよろしいかと。
セバスチャンは続けた。
「しかし、
「剣術と馬術の
「私は恋
セバスチャンは笑って言った。
おや──レックスは何も答えない。
「おや、どうなされましたか? もしかして、先程の娘が気になるとか」
「ああ──いや」
「確か、あの娘さんは、ターニャとおっしゃいましたな」
「僕は恋
レックスはそのまま、自分の部屋に行ってしまった。
するとセバスチャンは、レックスの様子を心配して見ていた
「今度の、学生
「い、いえ、今月はどの学校か決定しておりません」
ロザリナは言った。
学生
学生とシャルロ王族のほほえましい学生
「ふむ、確か、あのターニャという娘は、エクセン王国の『ルバリック学園』の制服を着ておったな」
セバスチャンがつぶやくと、ロザリナは驚いて言った。
「エクセン王国のルバリック学園ですか? 国外の学校ですよ」
「そうだが、国外の学校の生徒を呼んではならん、という規則はない。来週の学生
「はい、分かりました!」
ターニャはきっと、レックス王子と再会するだろう。
これで、レックス王子が元気を取り戻してくれると良いが……。
セバスチャンはため息をついた。
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