上書き
銀煤竹
上書き
念願のタイムマシンが完成した。
どうしても変えたい過去があった。私のせいで不幸になった多くの者たちがいるのだ。
だから私はタイムマシンを開発し、結果を変えるべく過去へと飛ぶ。たとえ過去への一方通行だとしても、自分がどうなろうとも。
上手く過去へ到着することが出来た。もう取り壊されてしまったはずの昔住んでいた家がまだ存在している。
まず過去の私に会おう。引っ越すときに返し忘れた鍵を持ってきていてよかった。家の自分の部屋へ入る。玄関のすぐ近く、足元に脱ぎ散らかしたというより、まるで着ていた者だけが消えてそのまま下へ落ちたという感じの服が落ちている。
推論でしかないが、私が過去へ来たことにより、この時代に存在していた私が消えたのだろう。いや、正確には今の私に上書きされたのか。
予定は少し狂ったが、自室へ向かい、コンピューターを起動する。ローカルに保存してあるソースコードを修正し、研究所にある開発室のサーバーへアクセスし上書きする。
これでいい。これで多くの者が救われる。もう、あの愚かで野蛮な人類が生まれてくることはないのだから。
上書き 銀煤竹 @Ginsusudake
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます