第3話 始まりの町『スナーム』

 俺は初心者アドバイザーのマックスの後に付いて行き、始まりの町「スナーム」へと向かった。


「トオル様、『コロンブス・ディスカバリー』のルールについてはご存知ですか?」

「いや、知らない。」

「そうですか。ならば説明しましょう。このゲームはまだ誰も見たことのない新大陸を発見することが最終目標です。このゲームには通貨があり、モンスターを倒すことで手に入れることが出来ます。特に各チャプターごとにボスが存在します。それを倒すことで、大金を得ることが出来ます。また、このゲームはオンラインゲームの為、対人戦なども存在します。チャプターはあるプレイヤー又はチームが討伐することで、次のチャプターへと移行されます。チャプター1は『古龍の巣』とされており、セムヴィク半島北部にあるマナリー山脈に生息する古龍を討伐していただきます。」

「へ〜、チャプター制か。ちなみに、セーブってどうやるの?」

「キーボードのTABを押していただければよろしいです。」 

「ちょっと待って。俺って今どうやってプレイしてるの?」

「パソコンのモニターでしょう。」

「でも、俺が振り向いたら背景がちゃんとあるんだよ?」

「すいません、私では分からないので、運営に連絡しておきます。」

「いや、おかしいでしょ。」

「見えて来ましたよ。」

「えっ。」


見ると、町は中世の街並みをモデルにしているようで、立派なものだった。多くの住居は煉瓦造りで、町の周りは5m程の壁で覆われていた。


「この町には、多くの初心者プレイヤーが集まっているおり、上位プレイヤーは侵入出来ない為、安全です。」

「それは良かった。」


 町の門をくぐると、そこには200人を超えるプレイヤーがいた。


「すげぇ。」

「早速ですが、町の中を案内しますので、付いてきて下さい。」

「うん。」

「まず、手前に見える建物は、宿場です。ここでは、戦闘から帰ってきた際に休憩をすることでHPを回復することが出来ます。」

「右手に見えるのが、町の受付です。ここでは、その町の半径10km以内で発生したクエストを受注することが出来ます。」

「クエスト制なのか。ちなみにもうクエストは出来るの?」

「はい。しかし、その前に武器を選択する必要があります。」

「武器は何処で貰えるの?」

「武器屋は町の外れにあるので、早速向かいましょう。」

「うん。」


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「着きました。」

「ここか。」

「では、入りましょう。」


中に入ると、熱気が一気に吹いて来た。


「熱!」

「マスター!」


マックスが『マスター!』と呼ぶと、奥の暖簾から老人が顔を出した。


「おう、マックスか。」

「はい。」

「ん?新人か。」

「はい、トオル様です。」

「武器選択は初めてだな。まぁ、適当に選んだら、俺を呼んでくれ。」

「分かりました。」

 俺は、そう答えると武器のサンプルが置いてあるショーケースを見た。


大剣:攻撃力に優れるが、動きが遅くなる

短剣:攻撃力が大剣よりも劣るが、動きやすい

長剣:平均的なもので、大剣と短剣の中間的 

戦斧:攻撃力に特化し、扱いやすい

長弓:装填に時間が掛かるが、攻撃力に長ける 


「少なくない?ゲームってもっと武器の種類多いと思ってたんだけど。」

「ここは、始まりの町なので武器の種類は少ないです。新しい武器を解放するにはボス討伐を討伐し、設計図を手に入れることにより、手に入れることが出来ます。」

「そう言えば、このゲームってレベルアップはあるの?」

「はい、敵・プレイヤーを倒したり、クエストをクリアすることにより経験値を得ることが出来、1レベル上がるごとに、攻撃・防御・速さ・閃き・ラッキーの5つの項目の1つをのステータスを1上げることが出来ます。」

「了解。とりあえず、短剣にするよ。」

「はい。マスター!」


マックスがもう一度、男を呼ぶと、男は嫌そうな顔をしながら、出て来た。


「おいおい、そんな早く決めて良いのか?まぁ、良いが。で、どれだ?」

「短剣でお願いします。」

「あいよ。」


すると、マスターはまた奥に戻ったかと思ったら、短剣を持って戻って来た。


「ほれ。」

「ありがとうございます。」


俺は、鞘に入った短剣を受け取ると、その意外な重さに驚いたが、腰に短剣を付け、店を後にした。


「これで、武器は手に入れましたね。」

「あぁ、これでクエストを受けられるのか?」

「はい、なので受付に向かいましょう。」


そして、俺は初めてのクエストを受注しに案内まで向かった。




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