チャプター1 古龍の巣

第2話 ゲームスタート

 どれだけ、寝ていたっけ。。。いや、俺は『コロンブス・ディスカバリー』をダウンロードしたんだった。って、もう朝!


俺が目を開けるとそこは、既に知らない場所だった。目の前には、草が生い茂った草原が見えた。俺は、周りを見渡しながらゆっくりと立ち上がったが、暫く何が起こったのか理解出来なかった。


「『コロンブス・ディスカバリー』にようこそ。初心者アドバイザーのマックスです。」


突然、人の声が聞こえたため、俺は周りを見渡した。すると、背後に男が立っていた。男の身長は180cmあり、黒髪でラテン系の身なりをしていた。


「うわ!」


俺は驚き、後ろ向きに倒れ込みそうになった。しかし、男は俺の後ろに回り込んで俺が倒れないように支えてくれた。


「あ、ありがとう。って、日本語通じる?」

「はい。私はマックスです。まずは、ユーザー名を決めてください。」

「いや、その前にここは何処なの?」

「ここは、ガルティア大陸・セムヴィク半島です。」

「えっ、日本ですらないの?ごめん、俺地理とか全然知らないから何処らへんか教えてくれない?アメリカとかさ。」

「セムヴィク半島はガルティア大陸北東部にあり。。。」

「ごめん、話が通じないわ。」


俺は、質問に一切答えないマックスという男に呆れて、歩き始めた。しかし、彼はずっと俺に付いて来ていた。痺れを切らした俺は振り向いてマックスに怒鳴った。


「おい、お前!俺に付いて来んな!」

「危ない!」


俺は、前方から飛び込んで来たマックスに覆われるようにして突き飛ばされた。


カーン


金属と金属がぶつかる男がしたが、俺らは地面に転がり込んだ。


「おい、何すんだ!」

「下がっていてください。」


顔を上げるとマックスは右手で俺を隠しながら左手に短刀を構えていた。マックスの視線の先には3人の男が武器を構えて戦闘態勢を取っていた。


「はっ、初心者かよ。経験値にもならなぇな!」


経験値。。。


「ゲームのルールで開始から2時間を満たないプレイヤーを襲ってはいけない

知らないのですか?」

「あぁ、知ってるとも。だが、目当てはそいつじゃねぇ、おめぇだよ。」

「そうですか、ならば戦闘開始です。」


俺には、3人が話している内容が理解出来なかった。


「お前等、行け!」

「うっす。」


ボスらしき奴が予想通り手下を繰り出すと、マックスに斬りかかった。マックスは、1人の攻撃を短刀で防ぎ、もう片方の攻撃は右手で押さえていた。


「流石、初心者アドバイザー、しっかり戦闘が出来るな。」

「初心者プレイヤーを守るのが、私達の役目です。」

「貰った!」


突然、飛んで来たボスが大剣をマックスに向かい振った。その瞬間、3人の体が崩れ始めて、砂の様に風に吹かれて消えていった。俺は、突然の出来事に驚き、さっきまでいた敵の姿を探した。しかし、奴等は俺等の前から消えていた。


「な、何が起こった?」

「運営からアカウントをBANされました。初心者を襲撃することは、ルール違反のため当然の報いです。」

「。。。」

「さあ、アカウント名を決め、始まりの町へ向かいましょう。」


俺は、既に仕事の事など忘れてしまいこのゲームに夢中になっていた。


「アカウント名。。。『Toru』で良い。『トオル』だ。後、今はお前に付いて行くよ。」

「では、トオル様始まりの町『スナーム』に向かいましょう。」

「あぁ。」


こうして、俺の『コロンブス・ディスカバリー』での長い旅が始まった。








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