第3話 『第六天魔王、絶対悪と邂逅』





 太宰と芥川のあと、すぐに前の席に座っていた男が教卓に走り出た。




「おう、遅れてすまんかったのう。 わしは第六天魔王、織田信長である。よろしく頼むぞ、人の子らよ!」




 高笑いするのは、学生服の上から軍装をまとった織田信長だった。

 クラスメイトたちの何人かは、その姿に驚きを隠せなかったようで、うちの一人が声をあげた。




「拙者は坂本、坂本龍馬だ。 信長、その服、どこで手に入れた?」


「これか! ある秘密結社の者が譲ってくれてのう。奴ら利用できるってんで、仲間の振りして養分にしてやろうと思ってな、こういう格好をしているというわけだ。 威厳あり気に見えるもの気に入ってな」


「秘密結社かあ、何とも大仰じゃのう」





 その会話を聞いていたヒゲ面の男が、奥の席から立ちあがった。





「秘密結社だと?」




 スマートな軍服に身を包んだ男、アドルフ・ヒトラーは聞捨てならんという様子で口出しをした。

 対して信長は、




「それはもう、まあ、色々とあってな……」




 と、言い淀んだ。





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