第3話 ホームルーム〜漢たちの戦い〜

俺はどこか聞いたことがある声に違和感を感じていた

そして、ありえないような仮説まで考えてしまっている、それはこの転校生”如月 陽菜乃きさらぎ ひなの”がSTARSの”ひな”なのでは?というものだ


「いやいや、あり得ないだろ…」


しかしこの仮説には致命的な欠陥がある、そもそも”ひな”は黒髪で転校生は金髪なのである


「てか名前はバリバリ日本人なのに金髪ってすごいな」

「ハーフなんじゃない?ていうか しょうま 重要なのはそこじゃないだろ?」

「どういうことだ?」

「強がっても無駄だ!転校生に興味ないって言葉撤回すれば陽菜乃ちゃんファンクラブに入会させてやってもいいぞ」

「そんなもん入らねーよ、てかいつの間にファンクラブが…」


少し見直した途端に…と拓馬の言動と行動力に呆れる


「先生…陽菜乃様の席は…」


ある男子生徒のこの言葉を皮切りにクラスの男子達が新井先生に激しい交渉戦いを始めた


「先生!2万出すので僕の隣の席に陽菜乃さんを!!!!」


え?


「「いや3万!!」」

「4万!!!」

「7万!!!!!!」

「おいおい、7万って…そもそも市場じゃないんだから先生が許すわけ無いだろ」

「ふふふ、しょうま それはどうかな?先生の顔を見てみろ」


その言葉を聞き新井先生の顔を見ると清々しい顔で頷いている…


「あのクソ教師!賄賂とか教育者失格だろ!」

「しょうま…社会とはそういうものだ…」

「拓馬、お前だけは社会語るな!」

「しょうま…お前財布に余裕はあるか…?」

「お前!まさか!俺は絶対に貸さんぞ!」

「利子ありだと言ったら?」

「トゴな」


その瞬間拓馬はクラス全体に響く声で叫んだ


「15万だああああ!!!!!」


その値を聞いてクラスの男子は戦意を喪失した


「いきなり15万出さなくても良かったんじゃないか?」

「漢は黙って一撃だ!それよりさっきのトゴってどういう意味だ?」

「ったく…利子はいいから早く返せよ?」

「心の友よ〜」


拓馬が目を潤わせて抱きついてくる


「離れろ!それより転校生に変なことするなよ?」

「ああもちろんだ、ファンクラブNo.1としてしっかりとお守りする」


拓馬は謎の決意をしたようで漢の顔をしている


「では如月の席は高山の隣で決定でいいか?」

「「「…はい」」」


先生はぐったりと意気消沈している敗者だんしに最終確認をする、皆疲れているようで返事に先程の元気が全くない

この様子を終始無言で見ていた如月本人は男子達の本気っぷりを見て引いたのか苦笑いをしている


かくして男たちの戦いホームルームは終わった



「如月ちゃんよろしくね!」

「はい!よろしくお願いします」

「なにか分からないことがあれば何でも聞いてね!」

「はい、親切にありがとうございます」


先程のホームルームでの戦いに勝利したことが余程嬉しかったのかいつも以上に拓馬のテンションが高い


「拓馬、嬉しいのは分かるが声のボリュームを少し下げてくれるか?」

「嬉しさが溢れ出てしまっていたか、すまん」


いつもなら文句を言う拓馬だが、金の貸しがあるからか素直になっている…現金な奴め


「そうだ、如月さん!俺の大親友紹介するよ この暗い雰囲気のイケメンは” はやみ しょうま”だ確か如月さん勉強が苦手って言ってたよね?分からない所があれば しょうま に聞くと良いよ! しょうまはだからね」

「…おい、俺はイケメンじゃないし勝手に変な紹介するな」

「わかりました本当に勉強だけは苦手で…早見さんよろしくお願いします!」

「よろしく如月さん、拓馬の相手をするのに疲れたら無視してもいいからね」

「酷いぞしょうま!如月さんはそんな子じゃないぞ!」

「フフフッ 本当に仲がいいんですね!」


クラス全体が見惚れる天使の微笑みに思わずドキッっとしてしまった

あまり色恋に興味がない翔真でもドキッっとしたということは…


「その笑顔は反則だろ///」

惚れかよ…」

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リベンジドーム @kobashiri000

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