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「超絶美少女とか脚色入れんな」
「ちょ、近江涼介、私の脳内に勝手に入ってこないでよね!」
なんなんだこいつは。エスパーか!
「何はともあれそんなわけで、ちょっと不穏な空気漂っちゃってるから藤澤ちゃん気を付けた方がいいかもね〜。」
淹れたばかりの紅茶を啜りながら不穏なことを、呑気な口調でさらっと述べる。
てか、そんなこと言われなくてもわかってるし。
前からあったカミソリ付きラブレターに、校舎裏へのドッキリお呼びだしの数が尋常じゃないくらい増えたもんね。
もっとも、H2Oと行動する(一方的にくっついてるともいう)から直接攻撃は激減してるんだけどね。
彼らの前でリンチすれば嫌われるって自覚あるなら、影でもしなきゃいいのに。
「ほんと、これだから女って大っ嫌い。」
「お前も女だけどな。」
無表情な近江涼介のツッコミに顔を顰める。
「そうだけど、私は群れないと何も出来ない奴らと違うもん。何人かかってこようと1人でぶっ飛ばしてやるし。」
「むしろその群れを蹴散らす勢いじゃねーか。」
「うるさいチビ。」
「あっそ」と無機質な返しをする近江涼介をよそに、またも戦いの火ぶたは切って落とされようとしていた―――…
***
「お待たせしましたぁ♡用事ってなんですかー?」
翌日の昼休み、今回は久々に本当の愛の告白を受けに校舎裏にいた。
最近は同性にモテモテだったからな〜。
ファンレター(笑)もらいすぎて選別も面倒だったから、手紙系は全部読まずに捨ててたし。
ちなみに直接的なお呼出しは全部受けて立ってやったけどね!
思い出して小さく鼻を鳴らす。
「あ、あの…?姫ちゃん?」
はっと我に返って慌ててエンジェルスマイルを作る。
にしても誰だろう?有名どころじゃないとほんとわっかんないなぁ。姫ちゃん、だって。馴れ馴れしい。
藤澤様とお呼び!なんつって。
目の前の気弱そうなモヤシは、もじもじと恥ずかしそうに下を向いて口元をまごつかせている。
言いたいことあるなら言ってよね、早く旧校舎に行って金髪に一発食らわせなきゃなんだから。
「あの、どうかしまし…」
「姫ちゃんはッ!H2Oの誰かと交際してるんですか!?」
勢い良く顔を上げたかと思えば私の言葉に被せて、こんな近距離なのに馬鹿でかい声で問いかける。すぐハッとしてまた俯いてもごもごやりだしたけど。なんなんだ。
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