第2話

有名私立高校に君臨する3人の王子様、H2O。




成績優秀、眉目秀麗、才色兼備、イケメン等々の名を欲しいままに、おまけにキャラ被りも無しときた。


クールにお色気、キュート系


誰かしらが女子の心にクリティカルヒット、彼らを見て落ちない奴は女じゃない。むしろ人間ですら、いや、生命体ですらないのかもしれない。


そんな彼らの前に現れたのは人間の形をした美少女(自称)! どっかの星のお姫様らしいそれは、地球の男を娶ろうと画策していた!


迫る貞操の危機、どうなるH2O――――!!!




「ちょっと待ったああああ!!!」


榛名聖の持っていたお手製紙芝居を思いっきりはたき落とす。


ていうかお手製紙芝居ってなに、しかもやたら作画クオリティ高いんだけど。

てかもうどこからツッこんでいいのかわからないんだけどとりあえず。


「美少女(自称)って何!私は自他共に認める稀代の美少女なんですけど!?」

「あ、初めにツッこむのそこなんだぁ。」


腹立たしいことに、藤澤ちゃんブレないね〜、とまばらな拍手を贈られた。


「人間扱いされてねーとこをまずツッこめよ、ブス。」

「黙れキュート系」

「誰がキュート系だ誰が!」

「えっ!まさか自分はクール系かお色気担当だと思ってたの?ないわーまじないわー冗談は頭の程度と身長だけにしてよね。」


気持ち良いいほどスカーンと脳内でゴングが鳴り響き、私とキュート系によるバトルが始まる。


そもそもこいつのどこがキュートなんだ。

これがキュートならゴキブリさんだって一万年に一度のアイドルになれるわ。


「で、聖。わけわからねーこれはなんなわけ?」


散らばった紙芝居の1枚を拾い上げて、追いつかないボケ満載のそれを「わけわからねーこれ」の一言で片付けた近江涼介。


ちなみに紙芝居に対して初のまともなツッコミである。


「ん〜?女の子達のもっぱらの話題をわかりやすく纏めてみたんだけど、どうだった〜?」


満足そうに脱力した笑みを見せる榛名聖。


何、今の女共はこんなキチガイな話題で持ち切りなの?



…クレイジーね…



「あ、ちなみにドラマ性を持たせるためにかなり脚色加えちゃいました〜」


ふざけるなよ。


とても簡潔に要約すると、みんなのアイドルH2Oに最近纏わり付いてる超絶美少女・藤澤姫くたばれって話だった。

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