28(終)

『暫く観戦』ってことは、やっぱりいいタイミングを見計らってたわけだ。




嗚呼、少女漫画の見せ場のカラクリを暴いてしまったよ。


嘆かわしい、とばかりに盛大に溜息。


「それで私がブチ切れるのを待ってたってわけね…?女達全員の王子様ってのも大変ね。」

「は?何言ってんだお前。」


額に手を当てて嘆いていたところを、近江涼介にばっさりやられた。そして、近江涼介は続ける。


「俺らが止めに入ったら、お前ずっとあの気持ちわりぃ女のままだったろ。」


思いもよらない言葉に、目を見開いた。


近江涼介は相も変わらず無表情。

榛名聖も笑みを絶やさず。

金髪はふんっと鼻を鳴らしてる。


「気持ち悪い訳ないでしょ、私のぶりっこは世界一可愛いんだから!」

「言ってろ、ブス。」


…だから私も、動じてないフリをしてやる。


「今に見てなさい、姫様にメロメロですって言わせてやるんだから!」

「……。」

「無視?!」


折角腰に手を当てて指差しまでしてビシッと決めたのに。


「はいは~い、俺は藤澤ちゃんかわいーと思うよ~?メロメロはさておき。」

「おおお俺はぜってー言わねえぞ!んな気持ちわりーこと!」


榛名聖は一言余計だし、金髪は本気で気持ち悪がってるし。


「ほんと、失礼な奴ら」


でも、満更でもない私がいる。その理由は、もっと一緒にいたらわかるのかな?


それならば。


もうちょっとだけ、私の復讐に付き合ってもらうね?



――第一話Fin.

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