「え…、と?私がH2Oの誰かと交際してるか、って?交際、交…際…」


ん?


「ばっ…」


…っかじゃないのアンタ!!!


と、危うく声を荒げそうになったのをなんとか喉で食い止める。



いやいやいや、ないから!


絶ッッッ対ないから!あんな冷血漢とヘラヘラと各所が低いやつなんか、お断りですけども!!!


はっ、待てよ?


ここで私は冷静になる。頭脳派姫さま誕生の瞬間であった。


奴らあまりに失礼でうっかり素で接してるけど、私が奴らといる意味って奴らを落として女に復讐することだったよね?

今ここで否定して噂になったら敵を喜ばせるだけ…!


それならば!


「ん、と…なんだか恥ずかしいな…。だから、ヒミツ。」


口元に手を添えて眉尻を垂らし、困った顔で上目遣い。


完璧、完璧なまでの照れてる振りです!

奴らと付き合ってるなんて口が裂けても言いたくないから、「え、まさかほんとに付き合ってんの?」と含みを持たせる作戦です!


「そ、そっか…そうだよね、姫ちゃんは可愛いから…。」


ほら、勘違いした。


額を抑えてしょげるモヤシを前に私は満足げに笑う。


さあ、存分に拡散してよねモヤシく…


「!?」


ゴッと風を切る音がして、何かが私の頭上スレスレの真横をすごい勢いで通り過ぎていく。

瞬間、ガシャンと足元で何かが大きな音を立てて砕ける音がした。


足元を見るとそこにあったのは粉々になった植木鉢。


はるか頭上ではバタバタと誰かが走り去る音が聞こえた。


「………」



つうっとこめかみに冷や汗が伝う。目の前のモヤシもなんだかおたおたとしている。


く、…




クレイジー…

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