きゃいのきゃいのと湧きあがる黄色い声。

目線の先には机2、3列挟んでぎっちぎちに女子が群れをなしているせいで解放感はどこへやら息が詰まる思いしかしない。


おいおいいくら女子が群れたがりの生き物だからって固まりすぎだろ!


ってそういう事でもない。


この群衆ができた原因は、折角偵察に来たってのにここからじゃ全く姿が見えない“奴ら”のせいだ。


少し様子見したかったけど様子がみえないんじゃあしょうがない。飲みかけのカフェ・ラテを片手に、私は意を決して立ちあがった。


「あのぉ…お隣いいですか?」


やっことさずらりと取り囲むように並ぶ女子の間をすり抜け、目標の目の前まで辿り着くと口元に手を当て気恥ずかしそうな子を演出する。


途端に張り詰める空気。


話しかけられるなんて思ってなかったのかきょとーんと間の抜けた顔を晒す6個の目玉と、ぶわっと集まる鋭い視線。


ああ、視線が痛い。快感。(決してマゾ的な意味ではなく)


「お隣、いいですか?」


未だにぽかーんとしている彼らに愛想のいい微笑みと共にもう一度言葉を投げかける。

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