読者に歩み寄り再構成された瑞々しい少女剣士達の物語

少女剣聖伝という剣客小説が、今回のコンテストを機に新約少女剣聖伝として生まれ変わりました。

元々この小説は作者の趣味全開な良い意味でも、悪い意味でも古臭い文体で描かれていた小説でした。
おそらく参考にしているのが時代小説であり、作者が好んで読んでいるのもあってか、
そのような文体を読み慣れていない人からすれば、非常に難解であり、すぐにブラウザバックされてしまうような、人を選ぶ小説であったことは間違いありません。

しかし、そんな難解であり人を選ぶ(作者もそれを良しとしていたはず)「少女剣聖伝」が、
戦闘の緻密な描写や、主人公である少女剣士の瑞々しい表現など、素晴らしい点はほぼそのままに、
現代風な文章で再構成されたものが本作となります。

作者のエッセイにもありますが、この作品を再構成する上で色々な葛藤があったのは想像に難くないです。
それを乗り越えてまで読者に歩み寄った作品として生まれ変わった本作は、
読者の負担を軽減し、物語の面白さをそのまま伝えることに成功しています。

過去のとある出来事から強さを貪欲に求める主人公のローザリッタ。
彼女と同様に過去の贖罪から主人公に付き従うヴィオラ。
二人は過去を悔いながらも先を進むキャラクターであり、自分なりに力との向き合い方を模索しているキャラクターです。
そんな二人の。ローザリッタのアンチテーゼとして出会うのがリリアムという女性です。
彼女も女性の剣士ながらその立ち位置はローザと逆。
過去の出来事からの反応がローザとリリアムでは正反対であり、
力への回答も真逆な二人の物語。
非常に先が気になる展開です。

そんな主人公たちの冒険活劇が、読者に歩み寄った読みやすい文章で再構成された今作。
非常にお薦めとなりますので、是非1話目だけでも読んでみてください。