閑話 用語解説(天命の魔剣編)
〈最初に〉
■ 五十音順に記載しています。
■ 解りやすさを重視するために、度量衡および外来語の制限を解禁します。
■ 作中と表記や内容に若干の差異があるものがあります。
■ 随時更新します。
■ ネタバレあり。まずは天命の魔剣編を読むことをお勧めします。
■エリム古流ベルイマン派【剣術】
ベルイマン伯爵家に古代から受け継がれる秘伝の剣術。
旧約ではベルイマン古流と記載されていた。
原則として、伯爵家に所縁のある者にしか伝授されないため、有名ではあるもののその遣い手は全国的にはとても少数。
その源流は、エリムという古い部族が〈神〉を倒すために編み出した戦闘理論。
古代において人間の敵は人間ではなく、人間を襲う動物たち。
中でも竜、狼、熊のような荒々しい動物は〈神〉と呼ばれ、原初の自然の守り手として、生活圏の拡大を目指す古代人の前に立ちはだかっていた。
――が、対〈神〉戦闘理論の完成によって、人の手でも〈神〉を倒せるようになったことで、人間は未開の土地から様々な資源を獲得できるようになり、現代まで続く文明の基礎を築き上げることに成功した。
そういう背景であるため、古代において実際に使われた武器は剣ではなかったとされる。さもありなん。剣というものは、人間の敵が人間になった時代に産声を上げた最後の武器なのだから。
それを剣術……対〈人〉戦闘理論にまで格落ちさせたのが、ベルイマン派である。
ベルイマン派では対人技法を表の技とし、エリム古流に由来する対〈神〉技法を裏の奥義として継承している。
そのため奥義を授けるに値しない、もしくは奥義に対する適正がない門人には流派の核心を伏せているおり、正体を知らない門人も存在する。
ちなみに、エリム古流セリカ派という流派もあるが、こちらを語ることはないのではないかと思われる。
■〈オーベルテール〉
物語の舞台となる異世界のこと。
由来は仏語の「
この物語では語られることがない、地球を知る誰かが、この異世界に抱いた感動。
■〈
エリム古流ベルイマン派の裏の奥義。対〈神〉戦闘理論の一つ。
硬質の外骨格を持つ〈神〉を倒すための技。
端的に言えば、全力全霊を込めた一撃。
え? 力任せにぶった斬るだけ?
と思うが、残念ながら、これはそう簡単な話ではない。
太刀という武器は、正しく刃筋が立っていないと切り込んだ時に平打ちの力が生じ、最悪の場合、刀身がぽっきり折れてしまうことがある。これは刀剣の構造上どうしようもないことで、実は力任せにぶん殴ることには適していない繊細な武器だったりする。
その太刀を使って、何かを全力全霊でぶん殴るというのは、一周巡って凄まじい技術の集大成なのである。
■
チーズのこと。
■
バターのこと。
■
RPG風に言うならブレスト・アーマー。
内臓が収まっている胸部、腹部を重点的に防護するための鎧。
それ以外の部位については
自分の戦闘スタイルに合わせて専用カスタマイズできるということで、多くの冒険者に愛されている。
■〈切り落とし〉【技】
エリム古流ベルイマン派の表の奥義の一つ。
これだけ実在する剣技の名称にしているのは、対〈神〉戦闘理論ではないから。
■元服の儀【文化】
成人すること。また、そのための儀式。
レスニア王国では16歳で成人と認められる。
■
とある鍛冶師が『究極の一振り』を作る過程で生まれた試作品。
過去作「せめて炊き立てのご飯を」にも登場し、後続の作品(未発表含む)でも継続して使われた、作品同士を繋ぐアイテムの一つ。
旧約においてはローザリッタの初期装備だったが、灯篭斬りの試しの時に折れてしまった。
■下着【文化】
この物語に「性的描写あり」のセルフレーティングである理由の一つ。
細かい説明はファウナの庭の用語集で書いているので、興味があったらそちらをどうぞ(?)
■〈空渡り〉【技】
エリム古流ベルイマン派の裏の奥義。対〈神〉戦闘理論の一つ。
翼を持つ〈神〉を倒すための技……ではない。
その実態は〈神〉が生息するあらゆる地形を走破するための移動法。そう、あくまで移動法である。
空間に存在するあらゆるものを足場にして跳躍する準三次元機動。
ぶっちゃけるが、元ネタはMTGのキーワード能力である「渡り」と、漫画版ロックマンX(岩本佳浩著)の三角蹴り、およびエアダッシュ。
特に後者の、「今の俺は、空だって飛べる!」というセリフとともに宙を駆けるエックスの勇姿は、幼少期の私に多大な影響を及ぼした。
ベルイマン派の鍛練は最終的にこの習得を目指すものであるが、肉体的な資質がめちゃくちゃ問われるため、これが習得できない、または習得できる見込みがない剣士は古流の核心を教えてもらえない。
■〈
異世界〈オーベルテール〉の大陸にある平野部。
北の山岳地帯から海にかけて広がる
大雑把に北部平原、中央平原、南部平原と三つに分けられる。
現実で言えば日本列島の総面積に匹敵し、十を超える国家が点在する。
物語の舞台であるレスニア王国は北部平原の最果てに位置しており、大平原の国々の中では山岳地帯を擁する数少ない山国である。
■「潰した芋に挽肉と牛酪を練り込んで油で揚げたもの」【文化】
コロッケのこと。
リリアムはたいそう気に入り、旧約ではイモ狂いになっていた。
■灯篭切り【剣術】
皆伝の試し。
その本質は
与えられた難題に対して「これは無理ゲー」と素直に認め、己の限界を悟ることがクリア条件。
「お前にはもう教えることはないけど、上には上がいるんだから、免許皆伝を受けたからって傲慢になるなよ」という、師の最後の教えである。
今回の石灯篭に限らず、試には刀で斬ることが不可能なものが用いられる。
師範代の時は水面に映った月だったとか何とか。
■
文字通り、
なめしただけなので柔らかく、体の動きを妨げない。
金属鎧と違ってがちゃがちゃ音もしないので、隠密活動をする盗賊や狩人には必須の防具と言える。
とはいえ、防御力に関しては金属鎧と比べるまでもない。
リリアムがソフトレザー・アーマーなのは彼女の戦法には防御力よりも、可動域と機動力が重要だから。決して、ボディラインを際立たせたいからではない。
ちなみに、革にワックスを塗って硬くした鎧は
こちらはRPG風に言えばハードレザー・アーマー。防御力が上昇した分、ソフトレザーに比べ、可動域がやや狭くなっている。
皮革鎧は値段も手ごろな上に魔改造しやすいため、いつかそういう防具話を書きたいなと思っている。
■ベルイマン伯爵家
建国史に登場する英雄を持つ古い家柄の貴族。武家。
旧約では男爵家であったが、設定を考えたら「男爵よりも伯爵の方が無難」と指摘を受けたので、改稿に当たって変更された。
■魔剣【技】
ローザリッタが灯篭斬りの試しの時に放った謎の斬撃。
旧約では『魔法』に関わるものだったが、今回はその文章が削られている。
■無念無想【技】
剣術遣いの理想とする境地。
〈幻惑〉〈恐怖〉〈魅了〉〈重圧〉などの精神干渉系のデバフを無効化する。
また、無念無想の境地に立つということは無意識になることと同義なので、筋力のリミッターが外れてバフもかかるのでは、とリリアムは考えている。
■モリスト地方【地理】
ベルイマン伯爵領。レスニア王国の東の果て。
深い森と豊かな田園地帯が広がる、のどかな土地柄。
■モリスト詣で【文化】
一旗揚げることを夢見た剣士たちが、〈王国最強〉マルクスの威光にあやかろうと始めた聖地巡礼……に
旧約では観光名所となっていたのはベルイマン邸であったが、もっとシンボリックなものを用意した方が参拝しやすいだろうとの考えから、新約では新たにマルクスの石像が建てられた。
神域の腕前を持つ彫刻家の作であり、その完成度は〈王国最強〉の威厳を余すことなく存分に再現し、当のマルクスをして「やだ。
剣の道を志す者たちからは言うに及ばず、『言うことを聞かない悪い子のところには伯爵像が頭をかち割りにやって来る』と脅せばどんな駄々っ子でもビビり散らかすので、しつけの最終奥義として世のお母さまたちには大人気である。
ちなみに向いている方向は南。
これはレスニア王国が〈大平原〉の最北に位置するため、他国が攻めてくるとしたら南側しかないから。今日も〈王国最強〉の剣士は、敵国に睨みを利かせているのである。まさに仁王像。
■レスニア王国【国家】
物語の舞台となる王国。
大平原の北部に位置する最古の王朝で、背後に大山脈を擁する数少ない山国。
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