第3話 松のやの定食を食べる
今日も一日の仕事が終わり、帰宅中
ただ今、21時過ぎ
一日4万歩以上も歩く私の仕事は、かなり体力を食われる。そのせいなのか濃いものを体が欲しがる
さてどこに行こうか?
意外と狭い選択肢に困る
都会ならともかく、田舎では21時過ぎで普通にやっている店というのは貴重だ
22時閉店でラストオーダーは30分前などというのは曲者で、建前上営業中ではあるが、閉店に向けて片付けているところへ来店するという事になる
店も断るわけにはいかないが、注文をしても片付けを始めているので提供に時間がかかるとなったり、売り切れです、となりかねない
全ての店がそうではないだろうが、何度かそういったことを経験した
そんな面倒な心配をしながら閉店時間近くの店に行くくらないなら、普通に営業時間の店の方が気楽でいい
そこで松のやに行く。田舎でも24時間営業なのがありがたい
私が行く松のやは、牛めしの松屋と両方取り扱っている店なので、選択の幅が広いのはうれしいのだが……
大学が近いので、大学生が複数名で来ていて話し声がうるさいことが多い
ともかく、店に入ったが、今日は時間が外れているのか店内はガラガラ。大学生はいないようだ
よしっ、静かに食べられるな
安定のぼっちは、カウンターの端に座る
メニューは席の前に備え付けられたタブレットを使うタイプ
今日は、かなり疲れてお腹も空いたので、とんかつとからあげの定食でごはんは特盛、それにとろろを追加する
メニューを送信して注文が通ったのを確認すると、おもむろに立ってセルフのお冷を取りに行く
お茶やお水ではなく、あえて白湯
ぬるいお湯を選択してコップ半分くらい入った後、自分で押した分だけ出る熱いお湯を入れてコップを満たす
これですぐに飲める白湯の出来上がり
熱いのがそこまで好きではないが、冷たいのも好まない我儘な嗜好。少し熱いくらいが丁度いい
これを手に席に戻りTwitterのTLを確認
別に大した用はないが、なにか面白いものはないかとチェック
すると、一人の男性客が入ってきて隣の席につく
いや、待って
どうして隣なの?トナラーなの?相手は別にこっちを気にしていなくても、こっちはすごく嫌なんですけど
突然のトナラーの登場に動揺し、テンションダダ下がりのなか、さも気にしていないようにスマホを触りTwitterのTLのチェックを続ける
あと、U字型のカウンターに座るときに反対側に座るやつ、個人的に「対面ズ《トイメンズ》」と呼んでいる
トイメンズというのは自作の言葉だけど、この対面に座る人も苦手だ
「どうして、何が悲しくて知らない人の顔を見ながら飯を食わないといけないの?」
などと考えているうちにタブレットから「ご注文の商品が出来上がりました」
とアナウンス
フードコートのように自分の頼んだ商品を取りに行くスタイルなので、席を立ってトレイを取りに行く
「お支払いはあちらのセルフレジでお願いします」
いつもの言葉に「はい」と小声で返事をして、トレイを抱えてフロアを見る
私ともう一人、他に客はいない
やっぱりトナラーだ
黙って席について、食べることにする
まずはキャベツにドレッシングをかけるのでチラと目をやる
2つのドレッシングのうち胡麻はほぼ空っぽでフレンチの方はまだある
夜に来るとこの店ではこういう事がよくある。ごまドレッシングが良かったが、仕方がない
フレンチドレッシングを手に取り、キャベツへ少なめにかける
沢山かけると酸味がキツイし、他に思いもあるのでほどほどに
そしてキャベツを一口頬張る
昔はもっとキャベツが甘かったような気がしたし、実際に何もかけていなかったが、今はドレッシングをかけないと味気ない
続けてご飯を一口
そしてからあげを食べる
一口で食べるにはやや大きなからあげが、自分好みの味でうまい
キャベツとからあげ、そしてごはん。この三角移動だけでご飯が無くなりそうだが、忘れてはいけない味噌汁
ドレッシングの酸味やからあげの肉汁をリセットしてくれる大切な存在
そしてこの定食のメインのとんかつ
特製ソースを肉の半分ぐらいにかける
私はグルメではないので、カラシをつけない。付ければまた違う味が楽しめるというのは分かるが、その味があまり好みではないのだ
はしの方から一口
やっぱりとんかつは美味いなぁ
調子に乗ってもう一切れ
ここで勢いに任せてとんかつを食べてもまだからあげがある、キャベツもある。そして何よりとろろもある
ごはん、どんと来い状態
そんなことをしているうちにトナラーさんも注文を取ってきて、さらにはお客さんも何人か入ってきたようだ
口の中のとんかつのソースをキャベツでリセット
とろみのあるフレンチドレッシングはかけても下の方には簡単に流れないので、上の方を食べた今はほぼ何もかかっていない状態
味気なくはあるが、ソースの口をリセットするには逆に丁度いい
この為にドレッシングは少なくしていたのだ
そして改めてからあげに味噌汁、そしてごはんにとんかつと、トレイの上を慌ただしく箸が動く
ご飯が少なってきた
ここはご飯のおかわり無料なのだが、そこまで食べる必要はない
少しご飯を残しておかずを楽しむ
一通りおかずを食べきると、最後にシメのとろろ登場
残ったご飯にとろろをかけ、少し多めに醤油をたらす。
この醤油はあまり塩辛くないので、少し多めにかけるのがいい
それを軽くご飯と混ぜて、一気にサラサラとお茶漬けでも食べるかのように流し込むように食べる
最後に白湯を飲んでホッと一息
チラと隣を見る
トナラーさん、丼ものを食べ終わったみたいでスマホを触ってる
こういったお店の安さは、お客さんの回転率の良さも込みの事
別に混んでいるわけではないが、長居をする必要はない
トレイを返却口に返し、セルフレジで精算したら退散だ
ごちそうさまでした
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