第7話 白蛇

目を覚ますとそこは私の自室で、窓の外は暗くなっていた。

はぁ…、どうやら寝てしまったらしい。

彼らの前で弱い所を見せまいと気を張ってきたが遂に倒れてしまった。


今の私では彼らにどうこう言えない。

私はおもむろにお酒を取り出した。

倒れた時に飲むのは良くないのは知っているが、今日は飲めずにはいられなかった。

星空を見上げ歌っていると一匹の白い蛇が部屋の中に入って来た。


「私のお酒につられて来たのですか?」


白い蛇は赤い舌をチロチロと出すだけで返事は返ってはこない。

それをいいように解釈し、盃にお酒を注ぎだした。


「どうぞ。その代わりと言っては何ですが、私の独り言に少し付き合って下さい。」


白い蛇は赤い舌を盃に付け味わうかのように何度もそれを繰り返した。


「実は今日やらかしてしまいました。彼らに健康面で忠告したばかりなのに…情けない限りです。」


蛇は私の話そっちのけでお酒に夢中な様子だ。

ここにいる彼らの反応に良く似ている。

お酒を夢中で飲む蛇を横目に独り言を続ける。


「ここで倒れている訳にはいかないんですがね…。私にはやりたい事があるんです。それはこの場所でしか、彼らにしか出来ない。もし出来れば…この国が変わるきっかけになる。」


蛇は可愛らしく首を傾げる。

その仕草はまるで人のような仕草だった。


「知りたいですか?いいですよ。貴方にだけ教えてあげます。獣人族も人も等しく生活出来る未来を作りたいんです。その為に彼らには獣人族と人の架け橋になってほしい。だか…ら………すぅ。」


独り言の途中で私は寝てしまった。

蛇は女が寝てしまったのを確認すると、姿を変え黒髪の青年へと変貌した。

青年は女をベットに運んだ後、静かに部屋を出て行った。

そして彼女の独り言は白蛇だけではなく耳の良い彼らにも聞こえていたのだった。


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