第2話 やりたい事…

そして次の日。

また、広間に全員を集めた。


「今日から暫らくの間、閉店します。」


私の一言に驚く事はなく、どちらかといえば私の話に興味がないと言ったほうが正しい。


「理由としてはお客さんが来てないことが大きい理由です。これからお店の方針を一緒に考えていければと思っています。後ほど一人一人にお話して、新しいお店でやりたい事を聞いて行きますのでご協力お願いします。」


こうして、私のインタビューの旅がはじまったのだが、それは案の定、簡単にはいかない旅だった。

私が話しかけようとすると全員遠ざけ、質問どころではない。


「残るはあの人か…。」


皆に様付けで呼ばれている謎の美青年。

扉の前で深呼吸してから、扉をノックした。


「劉鳳さん?いらっしゃいますか?」


「入れ。」


部屋に入ると輝羽さんと牙狼さんもそこにいた。

劉鳳さんは部屋の真中にゆったりと座っていた。


「幾つかの質問をさせて頂きます。良かったら輝羽さんと牙狼さんも一緒に答えて下さい。」


牙狼さんは舌打ちをし、輝羽さんはわざとらしい笑顔を浮かべていた。

二人の反応から返答に期待は出来ないが、やっとまともに質問が出来そうだ。


「お店でやりたい事とかありますか?踊りを重心的に売り込みたいなど…。」


「………お前らはどう思う?」


劉鳳さんは答えず、近くにいる二人に私がした質問を投げた。

最初に答えてくれたのは牙狼さんだった。


「人間全員苦しませて殺す。」


物騒な答えに続いて輝羽さんも答えてくれた。

どうやら私の質問でも劉鳳さんづての質問には答えてくれるようだ。


「それは、僕も賛成。出来る事なら触れずに人間を殺したいな。」


………物騒だ…。

私を見ながら言わないで頂きたい…。

物騒で貴重な意見を一応メモに書き記した。


「劉鳳さんは?」


「…特にない。お前が俺達を買ったんだ。勝手にすればいい。」


この人はこの人で完全に放置か。

私だけやる気を出しても皆がやる気を出してくれなきゃ私だって救いようがないのだが…。

劉鳳さんの部屋から出ると輝羽さんの話声が少し聞こえた。


「劉鳳様、今、窓を開けます。空気を入れ替えましょう。」


私は菌か何かなのだろうか?

でも、意見が貰えただけでよしとするか。

それに一時的とはいえ閉店すると言ったが、稼ぎが無いと皆を路頭に迷わせる事になる。


「仕方ない…。売るか。」


自分の喉を撫でた。

私が一人でお金を稼ぐ方法は一つ。

あっちの世界でもこっちの世界でも褒められた私の…。

夕方になると私は馴染みの女妓楼に行き、頼みこんで仕事をさせて貰った。



一方その頃、男妓楼は…。

ブロンドの髪を持つ青年は大きな黒い翼を奮い立たせていた。


「劉鳳様、今日は夜風が冷たいですね。窓をお閉めします。」


「いやそのままでいい。もう下がれ。」


ブロンド髪の青年は不服そうな顔をしながら、部屋を出て行った。

黄金の瞳を持つ男は窓の外を見つめたまま、呟いた。


「お王女よ、何故そこまでする…。」



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