第2話 舞台に登場するのは?

 先ず、物語の主な登場人物を簡単にご紹介しましょう。筆者の感想も加えさせてください。



●落窪の姫君


 中納言・源忠頼の娘。物語スタート時点で17歳くらい。

 インペリアルな血筋。七歳のころに亡くなったママンは皇孫(天皇の孫、某親王の娘)だった。


 寝殿造りの邸宅の端っこ、落窪の間と呼ばれる、床がちょっと低くて殺風景な部屋で寝起きさせられている。継母に女中同然にこき使われ、十二ひとえどころか、着ている着物は一枚きり。袴もぼろぼろ。真冬はふるえている。裁縫仕事をどんどん押しつけられ、寝るひまもない。


 虐待は辛い、死にたい――でも誰も恨みはしません、という呆れるほどの優等生。親孝行が趣味。


 ママンから三条殿という古い屋敷を相続している。この屋敷が物語の後半で重要なポイントとなる。



●道頼――物語の主役


 青年貴族。物語スタート時点の身分は右近衛の少将。19歳くらい。このころはチャラい。実家は超名門。姉は今上の女御で、甥っ子が後の新帝となる!


 落窪姫を虐待していた中納言一家に、徹底した復讐戦を仕掛ける。


 悪魔的にサディスティックで頭はイカレているが、超美形のスパダリ。男盛りを迎えると、そこはかとなく悩ましい色香をかもしだす。おお……♡

 


●あこぎ=衛門――準・主役

 

 落窪姫の忠実な女童めのわらわ(侍女)。童といっても落窪姫より年上。物語スタート時点で18歳くらい。


 落窪姫のママンが存命のころから姫に仕えていて、姫と一緒に中納言邸へ移ってきた。最初は後見うしろみと呼ばれていた。後に一人前の女房となり衛門と呼ばれるようになる。


 頭がいい。気立てがいい。帯刀という聡明で誠実な若者を、苦もなく手に入れる。怒り、泣き、よく笑う。



帯刀たちはき惟成これなり――準・主役


 道頼の乳母子(帯刀の母親が道頼の乳母だった、という関係)。物語スタート時点で20歳くらい。


 明るく真面目な好青年。出会ってすぐのあこぎを妻としてゲットする。道頼よりはるかに常識的。正論を吐いて、たまに道頼からデコピンをくらう。



●北の方=継母――準・主役


 中納言・源忠頼の正室。落窪姫の継母。

 死ぬまで反省しない鬼ババ。大した根性の持ち主。

 高齢の伯父に落窪姫を襲わせようと画策する。

 頭、おかしい。



●中納言・源忠頼


 北の方とのあいだに三男四女あり。

 皇孫だった女性に少しのあいだ通い、落窪姫をもうける。

 実母を亡くした落窪姫を引きとったものの、ぜんぜんかわいがらない。

 なぜか北の方のいうなりになっている。

 物語の最初から終りまで、情けない父親。

 ダメ親父なのに、無駄に長生きする。



典薬助てんやくのすけ


 好色な60歳。

 北の方の伯父。

 貧乏で中納言邸に居候している。

 


●三の君


 継母腹の三女。物語スタート時点で15歳くらい。

 蔵人の少将と結婚するも、道頼の計略で仲を引き裂かれる。あたしの人生、どうなっちゃうの?



●四の君


 継母腹の四女。物語スタート時点で14歳くらい。

 ハンサムな道頼と結婚した、と思いこんでいたのに、気づいたら別人が横に寝ていた。あたしの人生、どうなっちゃうの?



面白おもしろこま


 青年貴族。道頼の遠縁。引きこもりニート。

 とんでもなくブサイクで、和歌が詠めない。

『源氏物語』の末摘花の原型か?

 道頼の復讐戦の道具として利用される。まろの人生は、いかに?



●太郎君・景純かげずみ


 継母腹の長男。最初は越前守として登場。

 母親が異母妹の落窪姫を虐待してきたことを知り、母親を諫める。

 両親に似ない常識家。



●三郎君・景政かげまさ


 継母腹の三男。物語スタート時点で10歳。

 異母姉の落窪姫にしょうの琴を習い、懐いている。

 いい子。



●蔵人の少将


 青年貴族。物語スタート時点で20歳くらいか。

 最初、三の君の婿となるが、三の君を捨てて道頼の妹と結婚する。



●あこぎの叔母さん


 裕福な受領の妻。あこぎを全面的に支援してくれる。

 すごくいい人! 



●道頼の乳母=帯刀の母親


 やさしくて気のいいお母ちゃん。

 養いぎみの道頼かわいさのあまり、勝手に縁談を進めてしまったりもする。

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