第202話 切り札からの切り札!!!
「らああああああああああああ!!!!!」
「オオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
激しい衝突音を辺りに響かせつつ、互いの放つ霊圧の余波で嵐の様な暴風に見舞われる戦場!
黒崎の! いや! 黒崎達の渾身の一撃をその両腕と全身を以って受け止め! 跳ね返しにかかる『災厄』!
互いの力は、『ほぼ』互角といった感じの攻めぎ合いであった!
―― だが!!!
「フ…… フフフ…… フハハハハ!!!」
「どうした!? それで精一杯か!?」
「薄皮一枚分だが…… どうやらこの勝負…… 我の勝ちの様だな!!!」
「徒党を組んだとはいえ、まさかこの我をここまで追いつめるとはな――」
「よく頑張った方だと誉めてやろう――」
「だが! それでも!!! 最後にはやはりこの我が勝つ!!!」
徐々にだが黒崎の一撃を押し返し始めた『災厄』!
…… とはいえ我も、再生に使う分の力もまわし…… 文字通り! 我の残り全ての力を使い切る羽目にはなりそうだがな――
世界を我のものにするには、また時を置く事になってしまうが……
だが今は! 貴様をここで葬り! 力尽きた残りの連中も早急に葬り去る事の方が遥かに優先事項だ!
力を使い果たし、また暫く眠りにつく必要がありそうだが…… 残った連中がまた十分な戦力を再編するのには膨大な時間が必要だろう……
女神も! 閻魔兄妹も! そして貴様等を欠いた連中等、捻りつぶすのは造作もない!
然るべき時に残りの者共も始末してくれるわ!
対して劣勢の黒崎!
その頃、既にケインの他にも大王とリーズレットも回収済みのグライプスが、リリィ、霧島、カエラとも合流を果たし! 全員係で障壁を展開! 姿勢を低くして、必死に耐えながらも最後の攻防を見守っていた!
「くっ! ここまでやっても!!!」
「うん…… 後一歩―― いや! 半歩! 届かないか……」
僕等兄妹とレオン、修二の力を合わせても尚紙一重で届かないか……
『災厄』は更に力を発揮してきている!
恐らく向こうも力を使い果たす覚悟で迎撃しようとしているのだろう。
…… どうするの!? 修二!
「―― 黒崎さんっ!!!!」
「そんな…… 一体…… どうすれば!」
「もはやこれまでか……」
起死回生をかけた最後の賭けも劣勢気味で段々と絶望の表情を浮かべ始める面々!
だがそんな彼等に発破をかける者がいた!
神獣グライプスであった!
「落ち着け! 皆の者! ここまできたら腹を括らんか!!!」
「グーちゃん……」
「くだらん心配をしている暇があるなら障壁を張るのに残り全てのパワーを集中せよ!」
「彼奴を…… シリウスを信じよ!」
「アレはそう簡単にどうこうなる漢ではないわ!」
そんなグライプスの想いと言葉!
それはしっかりと他の戦士達にも届いた!
「! ふふ! そうだね…… 僕とした事が…… そうだったな――」
「いやはや全く…… モッフンの言う通りだよ♪」
「そうですね! ここまできたら――」
「ええ! あの人を信じましょう!」
「どのみちそれしかもうないですからね…… 決めて下さいよ! 元総司令殿!」
「シリウスさん…… どうか!」
信じて! 見守る事を選んだ戦士達!
そして同じ頃、アルセルシアとゼクスを回収したセシリアは二人を横にして、僅かに残った自身の力で障壁を展開していたが、その彼女もまた、もはや限界といった様子であった!
「くっ!」
「さあて…… この勝負…… どう転ぶかな……」
「後はもう見守るしかあるまい――」
「ここまでやったんだ…… あの野郎……決めきれねえとタダじゃすまさねえぞ!」
とはいえそれ以前に…… アタシも…… もう限界だ!
ちくしょう…… どうすりゃあ!!!
目がかすみ、今にも意識が途絶えそうなセシリア!
その時!!!
ブウゥゥゥゥゥゥゥゥゥン――
カッ!!!!
「! これは……」
突如として彼女達の前方の景色が歪み! 次の瞬間! その空間が光に包まれる!
そしてその光の中から二つの人影が現れる!
最高神と女神イステリアであった!
セシリアの前に立ち! 二人がかりで障壁を展開!
彼等の援護に降り立ったのである!
「!!!っお二方共! 来てくれたんですか!」
「イステリア! 父上も!」
「おいおい、マジかよ――」
「当然だ! 君達がここまで命懸けで戦ってくれているのだ! 世界の管理者として我等だけあぐらをかいているわけにはいかんからな!」
「セシリア君! よく頑張ってくれたな! 心より礼を言う!」
「後は私等が障壁を張ります! 貴方も身を低くして備えていて!」
「うす!!!」
「〜〜っ それにしても! なんという力の波! 転移術で天界にもどろうにもこれでは術式を組む為の集中ができないわ!」
「全てが決するまで守りに専念するしかないか!」
シリウス…… アルテミス!!! 無力な私を許してくれ!
二人共…… 頑張って!!!
祈る様に黒崎達に託す最高神とイステリア!
そして!!!
『災厄』は先程よりも前に出て、更に黒崎の一撃を押し返し始めていた!!!
「ハハハハハ!!! せっかく用意した切り札も無駄に終わった様だな!!!」
「もうおしまいだ!!! 観念するがいい!!!」
「このまま押し返してくれるわああああああ!!!!!」
万事休すの黒崎!!!!
と思いきや……
不敵な笑みを浮かべる黒崎!
「!!!!っ なにがおかしい!? 気でも触れたか!?」
「ハッ! だからテメーは馬鹿だっつってんだよ!」
「まだ気付かねえのか!?」
「俺はひと言たりとも『切り札は一つしか用意してねえ』なんて言った覚えはねえぞ!」
「!!!!っ なんだと!?」
そう言って黒崎は文字通り! 正真正銘『最後の手段』に打って出る!
彼は宝剣の準備をする直前! PSリングの中に隠していた『それ』を取り出し! 周りに悟らねぬ様、首にかけ、服の中に忍ばせていたのであった!
一瞬でチェーン部分ごと左手で引き裂き! 本体である『それ』を握り締めながら再度両手で宝剣をしっかりと握り直す黒崎!
新たな霊圧が彼を包み込む!!!
そしてその霊圧の気配で大王、リーズレット、霧島、カエラの四人は、ほぼ同時にそれに気付くのであった!
「まさか…… あれはっ!!!」
「はは! まさか『そうくる』とはね! ここにきてまた途方もない手を打ってくれたね!! 修二!!!」
「グランゼウス要塞の会議の後、大王様から黒崎さんに送られた武装!!!」
「白銀の
「
* * *
「これは霊力増強効果のあるパワーストーンだ。 こちらの使い方はトップの装飾部分を握って合言葉を言えば、ある程度だが、普段よりパワーアップした状態で戦える」
「だがその分、使用中は霊力の消耗が激しいので、使いどころは見極めてくれ」
* * *
「あの時の黒崎さんの戦力補強の為に渡された霊石!」
「確か発動させると一時的にパワーアップを果たしますが、身体にかかる負荷がとにかく大きいとか…… アラン戦で使ってたアレですよね?」
「そう。 だけどシリウスさんだった頃の力も短時間ですが纏う形で引き出す事が可能になった上に、引き出せる力もそっちの方が遥かに上! しかも負担も少ないからアラン戦の後から使わなくなってましたが……」
「全然見なくなってたから、すっかり忘れてましたよ!」
「しかもこの土壇場でそれを引っ張り出してくるなんて…… やってくれますね! 黒崎さん!」
「本当ですよ! 私達にも黙って…… 本っ当に性格悪いですよね! 黒崎さん! こんな隠し
黒崎の秘策を目の当たりにして驚愕と歓喜を隠せないといった様相の霧島とカエラ!
そして――
「テメーがやっとの思いで押し返しているそいつに更にオマケを付けたら、どうなるんだろうなあ!!!!」
「なっ!!! まっ! 待て!!!!!!」
狼狽える『災厄』をよそに黒崎は容赦なく発動の為の
「『解放』だあああああああああああああ!!!!!!!」
「くたばれ! クソ野郎おおおおおおおお!!!!!!!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
黒崎の放った一撃が更に強化され!
今! 『災厄』に襲いかかる!!!
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
「そんな! 我が! この我が! 滅びるというのか!?」
「それもこんな…… 下等な人間風情に!!!!」
「そんな…… そんなバカなあああああああああああああああああああ!!!!!!!」
最後の一撃にその全身ごと飲まれ! ボロボロと崩れ去っていく『災厄』という存在!
カッ!!!!
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!
ビシッ! ビシビシビシビシ!!!!!
バキィィィィィィィィ!!!!!
そのあまりの力に、流石の宝剣もその刀身が音をたてて砕け散っていく!
同様に霊石もまた、粉々に砕け散る!
それと同時に、そのまま『災厄』を一片残らず叩き潰す最後の一撃!!!
激しい爆裂音! 爆風と共に大地と空間に底なしの大穴を開け!!!
世界の悪夢ともいうべきその『災厄』を完全消滅させる事に!!!
遂に! 成功したのであった!!!
全ての力を使い果たした黒崎は白髪と化し、その両膝を折り、座り込んでいた――
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
「―― どうよ…… その下等な連中にしてやられた気分はよ……」
「あんまし俺を…… いや! 『俺達』を!!! ナメてんじゃねえよ!!!」
「まあ、なんにせよ……」
「これにて依頼完了―― だな」
最終決戦――
勝者―― 黒崎修二ことシリウス・アダマスト!
そして…… 誇り高き天界の戦士達!!!
大戦…… 終結!!!
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