第201話 激突! 最強と最凶の力!!

 黒崎の宝剣に凄まじい程の霊力が集まっていく!


 その様相に度肝を抜かれる戦士達!


「あれは…… 総長と大王様の放った力を吸収しているのか!?」

「いえ…… それだけではありませんよ! セシリアさん! あれは――」




「まさか…… そのエネルギーを更に増幅させている!?」

「凄い…… 凄いですよ! 霧島君! まさか黒崎さんの宝剣にそんな力があったなんて!」

「ええ…… 確かに凄い…… いや、凄すぎる…… けど――」


 あれ程の力…… 人の魂魄体である黒崎さんが受けて大丈夫なのか……




「凄い…… 姉さん達はともかく、シリウスさんの宝剣にあんな…… グーちゃん! 知ってましたか!?」

「昔、奴と話した時に軽く聞いた事はあった…… 宝剣の力は女神の力にも耐えうり、更には『ほぼ無制限なレベルで力を集約させ、そこから更に倍にまで高める』裏技的なシステムがあると――」

「使い手の身体と魂魄に膨大な負担がかかるらしいから余程の事がない限り使う事はないだろうと奴自身一度も使った事がないらしいが……」

「これが奴の奥の手か! よもや閻魔兄妹の力を束ね! そこから更に増幅させるとは!」

「凄い…… これなら!」

「ああ…… 確実に仕留められる筈だ!」




「―― 当たれば―― だがな……」




 それに…… あの裏技は集める力が大きければ大きい程、シリウスにかかる負担が増えるとの事……


 いくら一時的にかつての力を取りもどしたとはいえ、これは……


 シリウス…… お主……


 それがぬしの覚悟という事か……


 馬鹿たれが……


 昔も今も主はいつもそうだ……


 だが、もうこれしか方法はないのか……


 ―― 主の悪運の強さを信じるしかないか……


 ならば! せめて見届けさせてもらうぞ! シリウスよ!



 主の友としてな……




「ぐうううううううっ!!!!!」


 あまりのエネルギーの集約に全身から血という血が噴き出しまくる黒崎!


 それに加えて! あまりのエネルギーのパワーと質量に、体勢を維持するのにも精一杯であった!



 ちっ!!! 想像以上にっ!!! 制御がキツイ!!!


 当然か! あの兄妹の全パワーとレオンの意地を一手に引き受けてんだからな!!!


 ぐううううっ!!! 一瞬でも気を抜くと…… 俺という存在がぶっ飛んじまう!


 それに…… 後、数秒ってところか! 早く完成しやがれ!!


『奴』が次の行動に移す前にっ!!!


 焦る黒崎!


 そしてそんな彼を『災厄』が放っておく筈がなかった!



「―― まさかこんな不意打ちを企てていようとはな…… だが!」


「それを我が! 放っておくわけなかろうが!!!」


「ハアアアアアア!!!!!」


 瘴気を高め! 切り札の発動前に黒崎を潰しにかかろうとする『災厄』!


「! くっ いけない! 奴の狙いが!」

「黒崎さんに移った!!!」



「ちっ! 誰か!! 誰か動ける奴はいねえのか!?」

「くっ! このままでは!」



 黒崎の援護に行きたいのは山々だが、ここにいるほとんどの者は、その力を使い果たしている!


 全員が身体を動かすのも難しい状態であった!



「シリウスさん!」

「ぐっ! させるかあああああ!!!」


 なんとか立ち上がり! 黒崎の援護に向かおうとするグライプス!


 だが遅かった!


 一足先に『災厄』が動き出す!


 超スピードで黒崎に向かって飛び込んでいく『災厄』!



「死ねえええ!!! 若造があああ!!!」


『災厄』が、その凶手によって黒崎に襲いかかろうとした――




 その時!




「もらっ―― !!! なに!?」

「ハアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 ズガアアアアアアアアアアアアン!!!!


「ぐうううううっ!!!!」


 横から突如! 気配を消し! いざという時に備えて最後の一振りを振り切る機を窺って飛び出してきたのは…… 女神アルセルシア!!!


 彼女の渾身の一振りが『災厄』を大きく吹き飛ばす!!!


 ズガガガガガガガガガガガガガガ!!!!


 その巨体を地に抉られる『災厄』!


 だがすぐ様体勢を立て直す!



「~~っ!!! アルセルシアっ!!! 貴様ーーー!!!」


「はあ、はあ…… させるわけないだろう! このクズが!」


「この…… 忌々しい!」


「邪魔をするなああああ!!!!」


 一旦狙いをアルセルシアへと移した『災厄』!


 その巨大な凶手が彼女を襲う!


 だが彼女もまた、今の一撃で力を使い果たし、動けないでいた!



「ちっ! これまでか……」


 死を覚悟するアルセルシア――




 しかし!




「オラアアアアアアアアアアアア!!!!」


 ガキィィィィィィィィィィィィン!!!!


 更に横から飛び込んでくる人影が一つ!


 ゼクスであった!


「ゼクス!」

「ぐううううううっ!!!!」


 自身の剣で『災厄』の攻撃を受け止めるゼクス!


 そのあまりの威力にゼクスの両足が地にめり込む!


「~~っ!! どいつもこいつも! いい加減にしろおおおお!!!」


 そのままゼクスの剣と攻めぎ合っているその手に瘴気を強く込め直し! そのまま押し切ろうとする『災厄』!



 バキィィィィィィィィィィィィィン!!!



 ゼクスの魂魄はもうほとんど力を失っていた。


 そんな彼の瘴炎でできたその剣もとうとう力尽き、その刃が砕け散る!



 ズガアアアアアアアアアアアアン!!!!


 彼の剣を押し切ったその凶手はそのまま勢い余って地面を激しく砕いていった!


 ガラガラガラガラガラガラガラ!!!!


 その余波で吹き飛ばされるゼクスとアルセルシア!


 それぞれ左右に割れ、別方向へと吹き飛ばされる!


「ぐっ!」

「がはっ!」


 絶体絶命の二人の戦士!



 その時!



 キィィィィィィィィィィィィン!!!!!



『災厄』の後方から今までとはちがう音が鳴り響く!


 そして『それ』は凄まじい質量を誇る超巨大な光の刃として天高く舞い上がる!!!


 その光の発生先は黒崎修二の宝剣であった!



「!!!!!っ しまった!!!」


『災厄』のみならず、その惑星にいる全ての戦士達がそれを確認する!



「力の増幅が…… 完了した!?」


「うむ! リリィ! 動けるか!?」


「…… なん…… とか!」


「よし! ガアアアアアアア!!!!!!」


「コオオオオオオオ――」


 傷だらけの身体にも関わらず、気合いで自身を奮い立たせるグライプス!!


 そしてそのまま彼は通常サイズの三倍程度、ただ身体の大きさを変えただけにすぎないが最後の力を振り絞り、巨大化する!!


 リリィも必死に身体を起き上がらせる!


「リリィよ! お主は霧島の者とその相棒を! 我は残りの者達を回収してすぐに合流する!」


「回収後、ギリギリまで離れ、一点に集まり障壁を全員がかりで重ねられるだけ重ね掛けするぞ!」


「! 了解!」


 各々の方向へと走る二人!




 そして――










「セシリア! ケイン!」


「! ぐの太郎さん!」


「さっさと乗れ! 急いでここを離れ…… !? おい! セシリアはどうした!?」


「それが――」




 一方、黒崎はというと……




 ちっ! あいつ!


 これじゃあ振り落とせねえ!


 準備が完了した黒崎ではあったが、その刃を振り落とせないでいた!


 何故なら彼の視界には――




「―― ちっ! あの馬鹿野郎が!!!」


「なにしてんだ! 俺に構わずとっととやれええええええ!!!!」


「ぐっ!」


 そう! このままではゼクスごと巻き込んでしまう!


 敵だったとはいえ、命を賭してここまで『災厄』を足止めしてくれた彼ごと斬るのを黒崎は躊躇っている!



「ふふ…… はははは! 詰めが甘いな! 若造! その甘さが貴様の命取りだ!」


「くっ! シリウス! ゼクス―― !!!っ」


 バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!

「失礼します!!!!」


 ガシィィィィィィィィィィィィィ!!!!


 凄まじい雷を帯びた閃光が、超スピードを以ってアルセルシアに猛突進!


 そのまま彼女の身体を左手で抱きかかえる!!!


 そう! 最後の気力を振り絞り! 瞬撃特化の術で救助に突っ込んできたセシリアであった!!!


 そしてそのまま彼女は方向を変え! 突進しながら反対側の手でゼクスも回収する!


 ガシィィィィィィィィィィィィィ!!!!


 そのまま二人を抱えながら緊急退避しようとするセシリア!


「!!!!っ なっ!?」


「テメエ! セシリア!」


「なんの真似だ! テメエが俺を助けるなんて!」


「うっせー! 黙ってろ! アルセルシア様のついでだ! それにそんな死に方されてもこっちの寝覚めが悪いんだよ!!!!」



「オラ! シリウス! これで文句ねえだろ! とっととそいつをぶっ放せ!!!」


「テメっ! 呼び捨てっ! ―― だがでかした!!!! それに免じて今までの無礼は――」






「全部チャラにしておいてやんよ!!!!」



「オウラアアアアアアアアアア!!!!!」



 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!



 あの巨体を誇る『災厄』すらも飲み込まんとする程の凄まじい程の質量の光の刃!!!


 その一刀が遂に振り下ろされた!!!



「ちいいいいい!!!!!」


 なんというプレッシャー!!! そしてエネルギーだ!!!!


 だがっ!!!


「ふん! 馬鹿がっ! くらうと思うかああああ!!!!」


 我のスピードならギリギリ躱せる!!!


 その超スピードを以って緊急回避に移行しようとする『災厄』!




 ―― だったが!!!




「ハッ! 馬鹿はテメエだ! 『誰か一人忘れてねえか!?』」


「テメエがいつまでも寝てるタマかよ!」


「いるんだろ! いい加減出てこい!」


































「アルテミス!!!!」




「!!!!っ なにいいい!!!!!?」



 次の瞬間!



『災厄』の腹部から金色の光が輝き出し! 『彼女』の声が呼応する!



「やれやれ……人使いが荒い子ですね。 全く――」


 そう! 完全に消滅したと見せかけて彼女もまた、いざという時の為! 最後の! そして一瞬の隙をつく為に、その意識を辛うじて残していたのであった!


 そして彼女の光が一瞬!


 刹那にも満たない僅かな瞬間……


 だが確実に!


 『災厄』の動きを止める事に成功する!



「くっ! 貴様! まだ消えて…… オオオオオオオオオ!!!!」


 バシイィィィィィィィィ!!!!


「ぐっ!!!!」


 無理矢理体内に瘴気を練りこみ、アルテミスの力を弾く『災厄』!


 だが身体の自由を取りもどした時! もうその刃は目前まで迫って来ていた!!!



 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!



「!!!っ ええい!!! いいだろう!!! そんなもの! 直接跳ね返してくれるわあああああああ!!!!!」


 回避を諦め! 正面から受けて立つ事にした『災厄』!


「オラアアアアアアアアアア!!!!!!」

「ガアアアアアアアアアアア!!!!!!」



 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!



 最強の力と最凶の力!!!!



 二つの超パワーが遂にぶつかりあった!!



 勝敗の行方は!?




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