第196話 最悪の展開!? 剣神VS鬼神!?


 レオンの発した名前、そしてその姿を確認し、突如として自分達の前に現れたその漢の正体に気付くリーズレット。


「ゼクス…… それにその顔…… 諜報部のデータベースで見た事があるね♪」


「確か…… 鬼神 ゼクス・ヴォルカノンだったかな? 僕の前任者か――」


「前大戦の後、謎の失踪を遂げ、千年以上もの間、それっきりだったらしいから、公式上は死亡扱い―― いや、消滅扱いになっているけれど――」


「なるほど、『真なる選別者』側そっちサイドにいたか♪」


「想像していた通り、いや、それ以上に只者ではなさそうだ♪ まさかこんな形で『僕が今、闘いたい強者ランキング』第二位の人と出会えるなんて♪」


「はじめまして♪ 『先輩』殿♪」


「クク、ああ! はじめましてだ! 『後輩』殿!」


「一位はアルテミスあたりか?」


師匠先生と同率でね♪」


「くく、俺もお前等兄妹の事は興味があったぜ! 特にお前の方はな! 剣神!」


「あの雷帝レオンを倒したっていう剣神―― まさか俺や女神以外にもそんな事ができる奴が存在するとはな!」


「こんな時じゃなければ、ぜひとも手合わせ願いてえとこだが…… って――」


 改めてリーズレットの顔をまじまじと見るゼクス。


「? なに?」


「ああ、いや、『災厄』の中からも見てて思っていたが、その顔…… 昔のミリアに本当そっくりだな。 お前」


「! 母上を知ってるの?」


「ああ、ちっとな―― ん?」


「テメエエエエエエエエ!!!!」


「!」

「!」


 ズガアアアアアアアアアアアアン!!!!


 突然二人の間に割って入る形でゼクスに斬りかかってきた影が一つ!


 セシリアであった!


 ケインも彼女の後を追いかけてくる!


 凄まじい斬撃ではあったがそれは躱され、地を抉るだけの結果となった!


「はは! まだまだ元気そうじゃねえか! セシリア!」


「セシリアさん!」

「止めんな! ケイン!」


「なになに、知り合い!?」


「少し前まで遊んでもらってたんだよ」


「へえ♪」


「うるせえ! んな事より! テメエ! 天国エリアにいた筈のテメエがなんであんな所から出てきやがった!?」


「いや! そんな事よりも!!!」


「『先代』様はどうした!?」


「!」


 怒りに燃えるセシリア!


 しばらく前にやり合っていた最悪級の敵が突然目の前に現れたのだから無理もないのかもしれない。


 だがそれ以上に自分の闘いを引き継いでもらう形で先代大王がゼクスと対峙!


 その上でゼクスが今こうして目の前に降り立った――


 先代の身は!? まさかられたのか!?


 そんな焦りと怒りの感情がセシリアを襲っていたのである!


 だがここで!


 そんな彼女の様子を見て、ある程度状況を察してしまうリーズレット――


 それてそれは結果的にリーズレットに火をつける結果となってしまったのであった。



「―― そうか、その気配―― 色々立て込んでたから放置してたけど、少し前に突如として天国エリアに現れたあのレオン級の化け物霊圧の持ち主は君だったのか――」


 ビシィッ! ビシビシビシビシ!!!!


 リーズレットの放つ殺気にそれだけで地表が悲鳴を上げて崩れていく!!


セシリア彼女や父上らしき霊圧と派手にぶつかってたみたいだけど、いつの間にか収まってたみたいだから忘れていたよ♪」



「それで――」



 次の瞬間!!!



 ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!



 信じられない程の霊圧を解放し! その余波である巨大な風圧を辺りにまき散らし始めるリーズレット!!


「!!!!っ なっ!!!」

「!!!!っ 総長!!!」

「! へえ…… こいつは思ってた以上だな!」


 そのあまりの霊圧に吹き飛ばされない様にと踏ん張るのが精一杯のセシリアとケイン!


 他の者達は呆気に取られている者、冷静に『災厄』と含めてこの漢が敵かそうでないか見定める者達といった感じで分かれていた。


 そしてリーズレットやレオンと同じく戦闘狂の類に入るゼクスはというと、リーズレットのその強大な霊圧と殺気に喜びを感じ、笑みさえ浮かべてしまっている始末である!



「―― 父上を…… どうしたのかな? ゼクス――」


「返答次第では今…… 君を…… この場で狩らせてもらうよ!!!!」


 大きく眼を見開き! その瞳にゼクスを捉えるリーズレット!


「! くく! そいつは楽しそうだ! 思わず目的が変わっちまいそうな程になあ!!」


「さてね―― どうしたと思う?」


「今ここでり合ってみるかよ! 剣神!」


「うん、そうしようか。 鬼神殿!」


 ここでゼクスも霊圧を解放!!!


 ズオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!


 リーズレットはさらにギアを上げる!!



「!!!!っ くっ!!!」

「ぐっ!!! なんて霊圧だ! どっちも!!! ただ――」


 アタシが言うのもなんだが『災厄』がいる状況でこの二人がぶつかるのはまずい!


災厄』を倒す鍵は総長も握っている筈!


 その総長をこれ以上消耗させるわけにはいかねえ!


 やっぱりこいつだけは! アタシがどうにかしねえと! 例え刺し違えてでも!!


 そう決意するセシリアであったが、至近距離で二人の膨大な霊圧を受けている為、やはり耐えるのに精一杯であった!!


 一方『災厄』はというと――


 くっ! ここにきてまさかゼクスが我の中から飛び出し! 目の前に現れるとは!


 やはり凄まじい程のパワーだな。


 奴もこいつらに加わってくるとなると流石に厄介だ……


 だが隙だらけ…… 今なら剣神と合わせてまとめて潰すチャンス……


 だがこの傷を抱えた状態で仕留め切れなかったら逆に面倒にもなる。


 それにこれは…… くく! 鬼神と剣神が潰し合ってくれるか?


 それならそれで好都合!!!


 今のうちに我は傷を回復させてもらう!!


 今は攻撃よりも自身の回復を優先させる事を選択した『災厄』!


 そんな中、セシリアとケインは動けず、他の者達もゼクスがどう動くかわからない為、迂闊に『災厄』にも仕掛ける事が出来ずに身動きが取れないでいるという最悪の悪循環に陥ってしまっていた!


 そんな周りを無視して一触即発といった様子のゼクスとリーズレット!!


「さっきも言ったが、元々お前さんやあそこにいる当代とはぜひとも一度殺りあいたかったと思っていたからなぁ――」


「『災厄メイン』を頂く前の前菜代わりになってくれるかよ!?」


「ふふ、いいだろう♪ もっとも、喰われるのは君の方だけどね♪」


「よせ! 二人共!」

 慌てて止めに入るレオン!


 だが全く止まる様子を見せないゼクスとリーズレット!


「ちっと待ってろ! レオン! すぐに終わらしてやるからよ!」


「君の友人みたいで悪いけど、こいつ生意気だからこの場でバラバラにさせてもらうよ♪ これ決定事項だから――」


「まてまてまてまて! 落ち着けって! お前ら!!」


 やべえ! この状況でこれは流石にまずい! まずすぎる!!!


 なんとかしねえと!!!



 そんな中!!!



 離れた場所から二人が放っている殺気を上回る殺気を放つ者が一人――


 アルセルシアである!


「!!!!!!っ」

「!!!!!!っ」



「やめろこんな時に…… 殺すぞ…… お前等二人共……」


 二人、そしてセシリアとケインにも思念を繋ぎ、静かで、それでいて冷酷な怒りを以って忠告するアルセルシア……



「アルセルシアか!」

師匠先生!」


 脅しではない…… 本当にそうしかねない程の怒気と殺気を二人に放つアルセルシア!


 彼女のあまりの様相に一旦冷静になり霊圧と殺気を解くゼクスとリーズレット――



「―― 悪い、アルセルシア。 俺にも繋いでくれ」


「! わかった」


 ここで黒崎も話に加わる――


 果たして彼等を止める事ができるのであろうか?



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