第194話 ピンチをチャンスに!!!
時は少し遡って『災厄』との決戦の場――
「お前らを殺す前にまず…… これ以上ない程の絶望を与えてやる!!!」
「そうだな……」
ここで辺りを軽く見渡した後『災厄』はある一点の方角へと視線を向ける――
「まずは…… そこだあ!!!!!」
その方角に対して超! 巨大瘴気砲をその右手から繰り出しにかかる『災厄』!!!
ズガアアアアアアアアアアアアア!!!!
「!!!!」
「!? なに!?」
「どこを狙って…… いや!」
「まさか! あの方向は!」
「閻魔の城!?」
「!!! そんな!! あそこにはメアリー司令や他の方々も!」
「ミリア様やエレインさんも!」
動揺する面々!!!
そしてそれは黒崎やアルセルシアも同様であった!
「!!!っ あのクソ野郎!!!!」
「いかん! あのエネルギー量…… まともにくらえば城ごと木端微塵だ!!」
「ハハハハ!!! 我に牙を向いた事を後悔するがいい!!!」
『アルセルシア様! シリウス殿も!』
『!?』
『!?』
大王の言葉に反応する両名!
そして大王の動かした視線の位置を確認すると共に三名、そしてリーズレットも『災厄』の遥か頭上! 上空を見て『その気配』の位置を正確に把握する!
「全員!! 全力で障壁を展開!!!」
「死にたくなかったら真上以外に思いっきり飛べーーーーーーーーー!!!!!」
「!!!!」
「!!!!」
「!!!!」
「!!!!」
「!!!!」
「!!!!」
リーズレットの合図と共にその場にいる『災厄』以外の全員が四方の上空へと飛ぶ!
「!? なにを!?」
不可解なその行動に一瞬隙を作ってしまう『災厄』!
そして次の瞬間――
ドオオオオオオオオオオオオオン!!!!
なんと『災厄』の放った瘴気砲が、ここと閻魔の城とを結ぶ直線状――
城から十キロ程度離れた地点に突如として発生した
そしてその門と連結してそのまま『災厄』の遥か頭上にセットされていた門を通じて今! その一撃は転送され! 『災厄』にそのまま返される!!!!
「!!!!!っ がああああああああああああ!!!!!」
自身の一撃をそのまま返され! 大打撃を被る『災厄』!!!
あまりにも想定外の事で大きく怯み! そして狼狽えている!!!
当然! 彼等はそれを見逃さない!
バキィィィィィィィィィィィン!!!!!
そのあまりの威力に上空の門が弾け飛んだが、彼等はそのまま次の行動に打って出る!
「~~~っ 大王様!!! こういう事は事前にちゃんと言っとけ!!! 間一髪だったぞ!!!」
「そうだぞ! ユリウス! 流石の私も肝を冷やしたぞ!!!」
「全くもって申し訳ない! 僕等も到着してから余裕がなくなってきてたから、言うのが直前になってしまった!」
「ったく! マジでビビったわ! にしてもまさか『こんなモン仕込んでやがった』とはな!」
「ああ、流石にこれは驚いたな! こんな芸当ができるのは天界広しといえども『奴』しかいない!!」
「ええ、実はここに来る直前、『彼女』から思念波を送られてきてまして――」
「あらゆる戦況、事態を想定して念の為、彼女が敵側に悟らねぬ様、隙を見て少し前に『保険』として仕込んでいったみたいなんです」
「ふふ! 全く! 女神顔負けのチートな行動をとってくれる!」
「へへ! 全くだぜ!」
「ああ、 本当に底が知れない方だよ! あの人は!」
思わぬ好機の訪れに、勝機を見出し始めた黒崎達!
一方、少し離れたポイントの上空――
セシリアとケインは地上に落下しながら、すぐ近くを飛んでいた霧島とカエラにこの事態の説明をしていた――
「―― ではそのレティさんとやらが!?」
「先程の転移門みたいな物を使って『災厄』の攻撃を転移空間を通してそのまま返してくれたって事ですか!?」
「ええ! その通りです!」
「アタシとケインがここに来る直前、先輩達を助けてもらった後――」
* * *
「――もし戦いの中で『さっき
「ええ、それは勿論!」
「ああ、わかってるよ」
* * *
「―― ってなわけだ」
「いやはや、本当に凄い方ですね。 あの方は。 こういった展開の可能性も考慮に入れていたとは――」
「ああ! 流石レティの姐さんだぜ!」
「姐さんって。 ふふ! すっかり舎弟気分ですね!」
「いいだろ! 別に! それより――」
「ええ! チャンスです!」
セシリア達より西寄りの上空――
グライプスとリリィもまた、この状況を把握していた。
「ふむ。 レティの言った通りになったか」
「ええ、本当に…… ですがあれ程の魔術…… 彼女の身体が心配ですけど……」
「気持ちはわかるが今は奴に集中せよ! レティの覚悟に報いる為にもな!」
「ええ! わかってます! グーちゃん!」
「このまま私が仕掛けます! グーちゃんもフォローをお願い!」
「うむ!」
そのままリリィはグライプスの分も含めて霊子鏡を足場代わりに出し、それぞれ別の角度から『災厄』へと攻め入る!
真っすぐに『災厄』の『ある部位』に狙いを定めるべく、急降下していくリリィ!
しかしそこへ!
「! リリィさん!?」
「! カエラさん!?」
セシリア達のグループも既に行動を起こしており、カエラはというと一人こちらの方へと落下方向を修正してリリィの近くにまで飛んできていたのであった!
まさかこの子…… 私と同じ事を!?
ひょっとしてリリィさんの狙いも!?
若いながらも歴戦の勇士である二人は互いの考えを瞬時に理解する!
そして――
「あなたはそのまま行ってください! 私は『反対側』を潰します!」
「! 了解しました!」
そのままカエラは真っすぐ! リリィは鏡を再度出し、それを蹴り、突入角度を変更する!
一方、セシリアとケインはというと――
「ケイン! 手を出せ! 久々に『アレ』をやるぞ!」
「! 了解!」
そう言ってセシリアは右手でケインの左手を掴みながら、逆の手で術印を結び始める!
「雷遁―― 瞬撃特化の術! 『
バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!
強烈な雷のオーラに身を包みこむセシリアとケイン!
自身の運動神経に直接電気信号を送りつける事で、スピードを勿論の事、諸々の身体強化を行う雷遁忍術の奥義!
それのセシリアオリジナルの改良版を発動!
本来は一人用の術だが、対象者に触れる事でその者にも術を伝達させ、強化状態を一人増やすというセシリアの奥の手である!!
そして――
「身体の負担も考えてとりあえず持続時間は一分に設定しといた!」
二人は身体の向きを変え、互いの両足をくっつけ合う!
「ここが正念場だ!」
「いっくぞおおお!!! ケイン!!!!」
「ええ!!!!!」
互いの両足の裏を足場に蹴り合い!
今! 二つの若き雷光も『災厄』へと襲い掛かる!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます