第173話 本物の喧嘩!!!
黒き塔 最上階エリア――
遂に対峙した黒崎と『災厄』――
両者睨み合いの末……
遂に! 『災厄』が動き出す!
黒崎の前から姿を消す『災厄』!
気付けば『災厄』は黒崎の背後にまわり! その魔手は黒崎の首のすぐ横まで来ていた!
「!!!!!っ」
咄嗟に態勢を低くしてギリギリで何とか躱した黒崎!
そしてその後、右へ跳び、大きく距離をとる!
「! ほう!」
シリウスの力を解放し! 全神経を回避と防御に集中させていた黒崎!
そんな彼を以ってしても後一瞬! 反応が遅れていたら、その魂は消されていた程の超スピードであった!
~~~!!!っ 冗談じゃねえぞ!!! なんだ今の馬鹿げたスピードは!!!
速えなんてもんじゃねえ! 桁がちがう!
あまりにも規格外過ぎる脅威度レベルに驚きを隠せない黒崎!
そのスピードには女神アルセルシアすら驚愕する程であった!
速い……
当たり前だが前大戦時とは比較にならん!
これは思ってた以上にまずいかもしれんな……
! いや……
ここで『何か』に気付くアルセルシア!
だがそれを知っても敢えて『災厄』の観察と自身の回復に集中する!
…… これは私も奴のスピードに目を慣らしておかんとまずいな。
姉者にやられた左目は眼球ごと斬られている…… これは流石に再生できんか……
慣れん距離間だが、まあこれは問題ないか……
シリウス! 何とかもう少し! 粘ってくれ!
アルセルシアの祈りに応えるかのごとく、必死に彼女が回復するまでの時間を稼ごうとする黒崎!
だがそんな彼を『災厄』はじわじわと嬲り楽しんでいくかの様に容赦なく彼を追い詰める!
怒涛の波状攻撃を繰り出す『災厄』!
もはや呼吸する暇もなく一心不乱に攻撃を躱し、捌いていく黒崎!
僅かな…… ほんの些細な判断ミスはそのまま自身の消滅に直結する!
瞳孔を大きく見開き! 必死に躱し続ける黒崎!
そんな彼を徐々に追い詰め『災厄』はひときわ重い一撃を彼の頭上へと叩き込む!
「ぬうううううううううん!」
「!!!!!!!!!っ」
ヤベエっ!!!!!
ズドオオオオオオオオオンっ!!!!
強固な空間! それで出来た地表すら大きく音を立て、崩れ! めり込む程の衝撃!!
まともにくらえば塵も残らぬであろう程の一撃!!!
「ぐっ~~~~~っ!!!!!!!」
辛うじて宝剣の柄と剣先の部分を両手で支えて、切っ先を地に対して水平にする形……
「!! はは! 我相手に二秒以上もつとはな! どうやら口だけではないようだ!」
「へっ! そりゃどうも! 逆にこっちは拍子抜けだがな! まさかそれが精一杯かい!?」
必死に歯を食いしばりながらも相手に余裕を見せつけ、挑発する黒崎!
「そいつは悪かったな。 安心しろ! まだ三割も力を出しておらん!」
「!!!!!!!っ」
半分以下! マジか!
冷静に敵の戦力分析を怠らない様にする黒崎だったが、予想以上の相手の力量に焦りを隠し切れずにいた!
「では、次はもう少しだけ速く動こうか」
「!!!!!!」
「はあああああああああああああ!!」
「~~~~~~~っ!!!」
鍔迫り合いを弾き! 一段階スピードのギアを上げる『災厄』!
ぐっ!!! 洒落になってねええええええ!!!!!
驚異的な先読みの眼と勘! そして反射神経を以ってしても追い詰められていく黒崎!
そして再び『災厄』の重い一撃! その右手の魔手が黒崎に襲い掛かる!
ガキィィィィィィィィィン!!!
「ぐっ!!!」
またしても間一髪!
宝剣でのガードに成功する黒崎!
「! ふふ!! 本当にやりおる!! だがまあ――」
次の瞬間!
黒崎の宝剣を両手の高速打で弾き飛ばし! 左の蹴りを黒崎の胸部を叩き込む『災厄』!
「がはあああああっ!!!」
ズガアアアアアアアアアアアアン!!
遥か後方に吹き飛ばされ、崩れた壁の爆煙に姿が埋もれる黒崎!
「あくまで元死神にしては―― だがな」
妙な手応えを感じたが…… まあ、いい。 流石に今の一撃でくたばったか……
勝ち誇った顔で黒崎の吹き飛ばされた方向を見据える『災厄』……
だったが!
「!!! なに!!!?」
ガシャアンっ!!!
何か金属物が地に落ちる音がした!
地に落ちたのは…… 黒崎が宝剣を手にする以前に使用していた白銀の
粉々に砕け散った装甲手袋……
塔の前にてガランに砕かれた右手側とは反対側の、左手に纏っていた装甲手袋で間一髪! 攻撃を受け止めていた黒崎!
ガランの時と同様、ステルス機能をかけ、万が一の緊急時に備えていたのであった!
「はあ、はあ…… へへ、どしたい? もう終わりかい?」
血塗れになりながらも立ち上がる黒崎!
「…… なるほど、瞬間的にその武具に高密度のオーラを一点集中させ! 僅かながらでも我の一撃の威力を殺したか……」
「あの一瞬で…… それ程の密度のオーラを一点に移動させ、尚且つ我の一撃にも反応するとはな…… 本当に大した男だ」
「だが同じ手はもう通用せんぞ」
砕けた装甲手を指し、次はないと死刑宣告をする『災厄』!
「死ね!」
ボロボロになった黒崎に向かって超スピードで突っ込んでいく『災厄』!
だが!
「!!!!!っ」
突如として動きを止め! 慌てて視線を変える『災厄』!
彼に向けられた以上極まりない程の殺気!
そして彼が今! 世界で最も警戒しているであろうその殺気の持ち主へと警戒を移す!
「!!っ アルセルシア!!!」
「ふん!」
上手く『災厄』の注意を反らす事に成功し、更なる隙を作る為に挑発的に、そして見下す様に笑みを零す女神アルセルシア!
「!!!っ 貴様~~~!!!!」
次の瞬間!
アルセルシアに気を取られた一瞬の隙を、黒崎が見逃すはずもなかった!
先程吹き飛ばされ、煙の中に自身の姿が埋もれていた隙に、こっそりとPSリングから閃光弾を一つ取り出し、上着の内ポケットに忍ばせていた黒崎はそれを『災厄』のいる手前の地に高速で投げつける!
カッ!
辺り一帯が閃光に包まれる!
それと同時に黒崎が気配を消す!
「!!っ おのれ! 小癪な真似をっ!」
完全に不意をつかれた『災厄』!
だがそんな彼の前に殺気がこもった物影が一瞬ちらつき、飛び込んでくる!
「!! 馬鹿めが! そこかああ!!!」
その殺気を右の魔手にて貫く『災厄』!
黒崎を始末したと確信―― いや!
誤認させられる『災厄』!
「!!っ なに!?」
彼の貫いた物影は先程破損した装甲手袋に黒崎の着ていたジャケットを絡めたもの!
殺気は時間差で送り込んだ疑似の殺気!
それを放つと同時に再度高速で気配を消し、閃光に備え視界に頼らず目を閉じ、気配のみで『災厄』の背後へとまわっていた黒崎はその右拳を既に大きく振りかぶっていた!
「!? なっ!!!?」
本物の黒崎の殺気に気付き、そちらへ振り返る『災厄』!
「おうううらあああああああああ!!!!」
だが時すでに遅し!
ガアアアン!!!!!!
黒崎の怒りの右ストレートが『災厄』の左頬を殴り飛ばす!!!!
「がはああっ!!!」
後方へと吹き飛ばされる『災厄』!
「なっ! 我を…… 素手で殴り飛ばしただと!?」
馬鹿な! 常人が素手でそんな真似をすれば逆にそいつの手が砕けるというもの!
黒崎の拳は皮が破れ血が滴り落ちている。
だが同時に『災厄』の口からも黒い血が滴り落ちていた!
これは如何に相手が強固な肉体を持っていたとしても、やりよう次第でいくらでも傷つける事が可能な事を示していた!
「はあ、はあ…… やっと…… テメーを一発ぶん殴れたぜ――」
ゆっくりと目を見開く黒崎――
「アルセルシアからの依頼…… シリウス・アダマストとしてアルテミスに思いの丈をぶつけて『ついでに一発ぶちかましてこい!』――」
「流石にアルテミスをぶん殴るのは気が引けるから、まずはテメーをぶっ殺す前に
…… こいつ……
霊圧が上がっている!? 何故!?
驚きはしつつ、ゆっくりと立ち上がる『災厄』!
対して静かにその怒りと共に霊圧を高めていく黒崎――
「とりあえず、これで一つは依頼達成だが――」
「あんま調子くれてんじゃねえぞ。 テメエ……」
「女神なんてチートな最強スペック手に入れてあたかも自分の力かの様に誇示してるがよ、結局のところテメーは自分で鍛えたりもせずにただ優れた依り代に隠れ、頼る事しかできねー陰湿寄生虫野郎じゃねーかよ!」
「なんだと!!!」
「常に安全圏に隠れて大物気取って他人を見下し! その
「ガチの喧嘩ってのは覚悟と覚悟のぶつかり合いなんだよ……」
「こいよ! クソ野郎!! 本物の喧嘩ってやつを教えてやるよ!!!」
怒り! 猛る! 黒崎!
最後の戦いが遂に始まった!!!
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