第128話 二人の絆 ⑱
それから傷が癒えていない二人をしっかり休ませる為にシリウス、グライプス、大王夫妻、ハニエルは席を外し、部屋を出る。
正確には本当はエレインも別室で寝かさないといけないのだが、まだ心身が不安定……二人で話したい事もあるだろうと三十分後にまた来ると言い、一同は外へ出ていったのだ。
そして病室に残された二人……
「ごめんなさい……」
王子のベッドの横の椅子に座っている彼女は彼の目を見れないまま謝罪する。
「? 何がだい?」
「あんたから預かってたペンダント…… 守れなくて……」
申し訳なさそうに、俯いたまま謝罪するエレイン。
「何を言うかと思えば……」
「君が無事ならそれでいい…… 人の命には変えられない」
「っ、でも!」
「というかもう2度と! あんな無茶はしないでくれ! 僕にはペンダントより君の命の方が遥かに大事だ!」
「! 王子……」
「ペンダントは必要ならまた作ればいいし、そもそも御守りがわりに渡したのもある……なのにそれのせいで君が危険な目に遭うのは僕には耐えられない!」
「本当に…… 無事でよかった……」
「!!! うぅっ! 」
たまらず、また泣き出すエレイン。
先程からそうだが、ここまで心身弱っている彼女を見るのは王子は初めてであった。
よせ……
何故君が泣かなくてはならない……
何故君がそんな辛そうにする……
そんな
君を悲しませない為には僕はどうすればいい……
君を守りたい……
「うぅっっ! うぅっ!」
気づいたら王子は泣き止まない彼女を、そっと無意識に自身の方へと抱き寄せていた。
あばらの痛みなんて感じなくなっている程に、今は彼女の事しか考えられない。
ただ彼女を抱きしめたい……そう思ってしまったのであった。
「!!!」
突然の出来事に、彼の胸に顔を埋めたまま驚きを隠せないエレイン。
そんな彼女に王子は優しくこう告げる。
「だからもう泣かないでくれ……」
「大丈夫だ」
「何があろうと…… 君は僕が守るよ」
「!!!」
「…… うん」
「私も…… 私もあなたを守るわ」
「あんたの敵は…… 私が全部叩き潰す」
「これから先…… ずっと……」
「それは頼もしいな……」
僕は決めたよ……
私は決めたわ……
君は……
あなたは……
僕が絶対に守る……
私が絶対に守るわ……
何があっても……何者からも……
互いが、かけがえのない存在へとなった二人は、傷付いた身体を癒すかの様に、そのままゆっくりと眠りについたのであった……
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