第114話 二人の絆 ④
「しっかしアメリアさん! あんな連中が来てるんなら、すぐにでも連絡下さいよ! しかもさっきのやり取りを聞く限り、前にも来てたみたいだし!」
「ごめんなさいねえ。 あなたも忙しいだろうし、余計な心配かけたくなくて……」
「水臭い事は言いっこなしですよ。 ったく! たまたま用事があったから、今日来れたけど、俺らが来なかったら、またあの子が暴走してさらに話をややこしくしてたんじゃないすか?」
「連中も頭に血がのぼってた上に大分…… というか、滅茶苦茶あの子も煽ってたし!」
「何かあってからじゃ遅いんすよ!」
「次からは何かあったら一人で抱え込まないで! ちゃんと! すぐに連絡して下さいよ!」
「ええ。 反省してるわ…… でも…… ふふ…… まさかあなたに、そんな事言われる日が来るなんてね」
「大きくなったわね。 シリウス」
「アメリアさ~〜〜ん!」
いつまでも子ども扱いしないでくれと言わんばかりに睨むシリウス。
「はいはい♪ わかってるわ。 ありがとう。 シリウス」
やれやれ…… 大戦の頃に比べて、随分とフランクな感じになったというか……
まあ、あの時は俺も大分迷惑かけてたし、大戦時は天界中がピリピリしてたからなあ……
もしかしたら、こっちが彼女の本来の性分なのかも……
それはそれで良い事なんだろうが、帰る度に毎回イジられたり、子ども扱いされてもねえ……
まあ、昔に比べて平和になったって事かね……
あくまで昔に比べれば…… だが……
「それでシリウス。 あなたの用事って?」
「ああ、そうそう。 実はこのマセガキ王子様が、生意気にもあの子にホの字らしくてね! 気になってたみたいだから連れてきたんすよ!」
「あらまあ♡」
「って、シリウス殿! だからそんなんじゃないって!」
「テレるなテレるな♪」
「テレてないし!」
「王子もお年頃なんですね~♡」
「ってアメリアさんまで!」
「本当にそんなんじゃないですってば!」
「はいはい♪ わかりました♪」
「もう~~~!」
「ふふ…… でも真面目な話、それはそれでありがたい事ですけどね……」
「見たところ王子と彼女は年も同じ位ですし彼女はここでは一番お姉さんですから、年の近い王子が彼女の話し相手にでもなっていただければ、どんなに良い事か……」
「ですが見ての通り、あの子は周りを遠ざけようとする傾向があって、話し方も少しキツイというか……」
いや、キツイどころじゃねえだろ……
いや、キツイどころじゃないよね……
二人して心の中でツッコミを入れるシリウスと王子であったが、あくまで心の中に留める。
「本当は優しい子で、口ではなんだかんだ言いながらも、私達の手が塞がっている時なんかは彼女が他の子達の面倒を率先してみてくれてるし、簡単な家事なんかも手伝ってくれるんですよ」
「ただ、王子のお気持ちは非常に嬉しいことですし、できればお願いしたいとも思っているのですが、もしかしたら王子が不快になってしまうやも……」
「ああ、いえ、それは先週初めてお会いした時に、これでもかという位に理解していますし、それは別に全然構わないのですが……」
「王子、フォローになってませんよ」
「ふふ、いいのですよ。 本当の事ですから」
「はは、すいません。 ただ……」
「それよりも気になる事があるのですが…… お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「気になる事?」
「ええ…… 先程の連中が彼女に言っていた言葉…… 『呪われた子供』……」
「あれはどういう意味なんですか?」
「! それは…… そうですね…… いつまでもこのままというわけにもいきませんし、先程のやり取りを聞かれてしまったら、隠すわけにもいきませんね……」
「シリウスには先日、軽くお話しした事なのですが……」
「エレイン…… あの子の祖父は……」
「かつて大戦で…… 瘴気によって異形の者に変えられてしまった者なんですよ……」
「!」
アメリアの口から、エレインの抱えてしまった事情が語られる……
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