第109話 死闘! エレインVSキース!
中層階の壁をぶち破る二つの影!
そのまま空中で銃剣を連射するエレイン!
対してその攻撃をナイフで捌くキース!
外壁に着地した両雄はそのまま互いに距離を詰めつつ、地上へ向かって走りながら高速で剣撃を交わし合う!
そのまま地上に着いて、目にも映らない超スピードでぶつかり合う両者!
そして互いの重い一撃がぶつかり合ったところで、鍔迫り合いの形で両者の姿が周りにも視認できる様になる!
「? エッ エレインさん!」
「キッ キース様!」
凄まじい衝撃音をまき散らしながら、突然姿が現れた両者に驚きを隠せない両陣営の戦士達!
そしてエレインとキースは今度は足を止め、超スピードの剣撃を繰り出し合う!
「はあああああああああ!」
「はあああああああああ!」
両者の肘先が見えない程のスピードで攻撃を繰り出し合う二人!
その様相は、現時点でほぼ互角であった!
なるほど…… 口だけではないですね!
ブランクがあるとはいえ、私の動きにここまでついてこれるとは!
ちっ! 化け物女が! まさかここまで速いなんて! この僕がついていくのがやっとだなんてね! しかもまだまだ余力がありそうだ!
何とか『仕掛ける』隙を作りたいんだけど…… そう簡単にはいかないか……
流石、『神速』の名は伊達じゃないね……
「君達! ぼさっとしてないで援護しろ!」
「! はっ はい!」
「はっ! はい!」
「! くそ! させるか!」
「エレインさんを援護しろ!」
「下がっていなさい!」
「! エレインさん!」
「どうして!」
「あなた達は目の前の敵に集中なさい!」
仕掛けてきた雑兵十数人を一瞬で斬り刻みながら、仲間の死神達に指示を出す!
この男…… 確かに大した強さですがそれ以上に、何か言葉で言い表せない危険な匂いを感じる……
味方の多い地上で長時間この男と戦闘するのは避けるべきだと私の勘が言っている……
それが何なのかまではわかりませんが……
ただの勘とはいえ、やはりここは私一人で、なるべく人口密度の少ない場所で闘わないと!
「ちっ! 瞬殺とは! 使えない駒共だな!」
雑兵を一瞬で始末されたといっても、その一瞬だけでも注意を反らせたエレインの隙をついて一旦距離をとろうとするキース。
「! 逃がすか!」
スピードのギアを一段上げ、即座に追い込みをかけるエレイン!
キースに追いつき、横薙ぎの形で斬りかかるエレイン!
それを飛んで躱し、壁伝いに高速で走って上層へ駆け上がっていくキース!
それをエレインが銃撃で追い打ちをかけながら追いかけるが、それはエレインがあえてギリギリでキースが躱せてかつ、その方向もコントロールして味方の気配がない上層屋外エリアに誘導していく!
「っ! 鬱陶しいね! 本当に!」
最初にもっと大勢を巻き込みたかったが、そんな余裕はないか!
いいだろう…… まずは君一人を確実に
エレインの誘導には最初から気付いていたキースだが、ここは敢えてそれにのる!
上層屋外の広いエリアに辿り着いた二人はまたも接近戦でぶつかり合う!
またも剣撃を繰り出し合う二人!
「くっ!」
「あまい!」
だが、スピードで勝るエレインがキースを後方へとはじきとばす!
そのまま追い打ちをかけるエレイン!
「はああ!」
次の瞬間!
エレインの斬撃により、キースの首が宙を舞う!
そのまま前に倒れるキース・マドックの胴体部分!
飛んだ首から先は地に落ち、そのまま黒い霧となって消滅していく!
「はあ、はあ…… さて…… どうなるか……」
流石に少し息を切らしているエレイン……
呼吸を整えながら敵の様子を伺う彼女に対し、キース・マドックの胴体は彼女の前にゆっくりと起き上がる……
そして、なくなった本来、首がある方向に向かって黒い瘴気を勢いよく発生させる胴体部分!
そのまま黒い瘴気はキースの首から先を形作る様に再生する。
「…… ふう…… あぶない、あぶない……」
「全く、とんでもない強さだね。 君……」
「それはどうも……」
先程の…… そして今の再生…… 人でいう丁度、心臓部分か……
そこから多量の瘴気が再生箇所へと流れていった……
流石にフェイクの可能性もなさそう…… 即ち……
奴の『
ちっ! 流石に『核』の場所がバレたか……
できれば、もう少しだけ時間を稼ぎたいところなんだけど……
「どうやら気付いたみたいだけど、当然『そこ』はかなり固いよ♪」
「君の剣で届くかな?」
少しでも時間を稼ごうとするキースだったが……
! おいおい…… 容赦ないねえ…… 本当に!
キースの言葉を無視して即座に決着を着けようとするエレインが、一旦左手の武器を地に投げ刺し、空いた左手で印を結ぶ!
「雷遁! 瞬撃特化!」
バチバチと雷光を纏い、強化術をかけるエレイン!
「!っ その術は!」
雷遁忍術の奥義! スピード含め、諸々強化するという!
思い切り良すぎだろ! このクソ女!
…… いや…… 待てよ…… 確かこの術は……
くく…… いいだろう…… 勝負だ♪
そのままエレインは地に刺した剣を拾い、自身の持つ雷の闘気を二刀に纏わせ、キースに向けて一直線状に突く様な形で構えをとる。
くっ! 久々に使うと本当に身体に負荷のかかる術ですね!
だけどこの闘い…… 長引かせない方がよさそうです…… 出し惜しみは不要!
これで決める!
「これで終わりです…… 『
終撃殺…… 『神速』のスピードを最大まで発揮して『全く同じ軌道で寸分の狂いなく一点を集中砲火する十連撃の突き』!
例えどれ程固い装甲でも関係ない!
その名の通り、これを受けた者の絶命は必至! エレインの最強技である!
狙いは勿論キースの『核』!
しっかりと狙いを定めるエレイン!
対するキースは自身の全オーラを全身から凄まじい勢いで発生させる!
そしてそれを胸部と前方、そのガードする両腕に集中させる!
そのうえでエレインが正面からと見せかけ、他方向からも仕掛ける可能性もあるとし、全方向に警戒を敷く!
「いいだろう♪ きなよ!」
受けてたつキース!
対して、キースの警戒心に気付き、正面からの一点突破にかけるエレイン!
「はあああああああああはああああ!」
「あああああああああああああああ!」
次の瞬間!
エレインの姿が閃光の様に眩く光り、キースの身体と交差する!
ドンっという、音がついて来れてない程の超スピードで発生した大きな衝撃音!
「ぐあああああああああああああ!」
叫び苦しむキース・マドック!
その姿は両腕の肘先を失い、右半身も半分近く抉れて大量の血飛沫が舞っていた!
「はあ! はあ! ぐぅっ! 」
だが瞬撃特化の術に加え、超スピードの反動をもろに受けるこの突き技は、エレインの身体にも深刻なダメージを与える!
しかし、それだけではなかった……
この手ごたえ…… まさか…… そんな……
「はあ…… はあ…… はあ……」
「…… く、くくく……」
「正直、君の今の技を受けるのは賭けだったが……」
「どうやら僕は助かったみたいだねえ……」
「…… 外した? この私が……」
信じられない…… 六撃目から身体を流し致命傷を避けられた……
如何に奴のスピードでも今の私のスピードにはついてこれないはず……
今まで手を抜いていた? いや! そんな素振りは……
というより…… 私が『途中で失速した』?
何故…… !!!!!!!
「うっ! ごふっ! がはああっ!」
考えを整理しているエレインだったが、次の瞬間! 大きく吐血してしまう!
いや! それどころか、全身からも血管を突き破って出血している!
思わず膝をつくエレイン!
「ぐううっ! はあ! はあ!」
「これは…… まさか……」
そんなエレインをあざ笑い、そして安心したかの様に見下しながら、キースは損傷した部位を再生していく!
「危なかったよ…… 本当に……」
「軽く『核』にもかすってたしね! 勘弁してよ! 本当に……」
「まさか、ここまで化け物じみた強さだったとはね……」
「正直ガチで死ぬかもしれないとも思ったけど…… 残念だったね♪」
「さて♪ ここで問題です♪」
「本来、君の放った技は僕なんかじゃ躱せる代物ではありませんでした♪」
「多分もう気付いていると思うけど、それができたのは勿論僕が速くなったからじゃない」
「君が『体内からのダメージ』で『勝手に失速』したんだ♪」
「それは何故か?」
「ヒントをあげようか♪」
「長い世界の歴史の中…… 愚かにも完全にはなくならない戦争といった争いの中で……」
「もっとも凶悪で残忍で、それでいて確実に人の命を、相手の強さなんか関係なく奪える素敵な代物って何だと思う?」
「それは……」
「毒だよ♪」
そう狂気じみた笑顔で告げるキース・マドック……
二人の周りには、どす黒い瘴気が渦巻いていた……
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