第105話 炸裂! カエラの新兵器! ①
天国エリア 黒き塔から南のポイントを爆走中の黒崎チーム……
黒崎達の車に向かって、わらわらと集まってくる飛行型の魔獣や軍事車両にて武装して追跡中の大多数の敵の勢力!
「見つけたぞ! 撃て! 撃てえ!」
その車に向かって敵勢力はエネルギー砲や弾薬の嵐を容赦なく打ち込みまくる!
無数の攻撃だったが、常識外れのドライブテクにより、難なく躱しまくる黒崎!
「あっ! 当たらないだと! 一発も!」
「何だあれ! 車の動きじゃねえぞ!」
「しかも速え! 何キロ出した状態で躱してやがる!」
実際に黒崎の車は無機質の車の動きのそれを遥かに超えていた。
そう、まるで生き物の様に自然でいて、それでいて超スピードで動いているのだ!
加えて黒崎はただ攻撃を躱しているだけでなく、相手の位置や攻撃の軌道を先読みして動き、事前に安全圏へ常に先に動いて攻撃を躱している為、敵方にとってはより一層速く感じているのである!
「へっ! こんだけ数集めて、揃いも揃ってどこを狙ってんのかね!」
「すっ 凄い! とんでもない運転技術ですね!」
「カエラさんより凄いんじゃないですか!」
「う~~~! 悔しいですけどその通りです!」
霧島は数年前に、任務でカエラとバディを組んで、たった二人で二百人の暴徒を制圧した事があった。
その時も今回に似た…… といっても、流石にここまでのレベルの状況ではなかったのだが、敵に囲まれていたにも関わらず、その時にカエラの運転技術で颯爽と敵を躱しては翻弄! そのまま車両に乗ったまま霧島が斬撃を飛ばし、敵の大多数を倒してから降りて一気に殲滅! 解決した事件があったのだ。
その時もカエラの運転技術に驚いていた霧島であったが、黒崎の技術はその彼女のレベルをも遥かに超えていたのだった。
「私でも、これ程までには上手く立ち回れませんよ!」
「面白くないですけど…… 面白く! ないんですけど!」
同じセリフを二回…… 相当悔しいのか二回目は大声で黒崎に向かってその言葉を投げかける!
こんな所で黒崎に対する負けず嫌いが久々に露わになってしまうカエラ。
元々彼女はプライベートでも車両の運転が好きで、それがこうじて任務にも活かせる程の運転技術を身につけ、その事に自信を持っている。
だがその事でちょっと黒崎の運転技術に嫉妬してしまっていたのであった。
「いや! こんな時に張り合ってくるなよ!」
「黒崎さん! 今度私と勝負して下さい! 何かこう…… レース的なもので!」
「それ、こんな時に言う事か!」
「して下さい!」
「わーった、わーったよ! 天界の交通法的に問題ねえ場所でなら付き合ってやるから、今はとにかく集中しろ!」
「絶対ですからね! 私負けませんよ!」
「しつこい! ったく、どんだけ負けず嫌いだよ!」
「いや~、弾薬の嵐の中でも二人の微笑ましいやり取りを久々に見れて僕も嬉しいですよ」
「微笑ましくねえよ!」
「微笑ましくないです!」
同時に霧島にツッコむ黒崎とカエラ。
「! く~! 懐かしい~! このやり取り!」
ニヤニヤする霧島。
カエラさんが黒崎さんに構ってほしくてツンツンするこの感じ…… いいですねえ!
まあ、連続で見ると飽きてくるのですが、やっぱりたまに見る分にはいい!
「カエラ、こいつ調子にのってるな」
「ええ、この人調子にのってますね」
「霧島、お前後でぶっ飛ばすから」
「霧島君、後でぶっ飛ばしますから」
二人から殺気をぶつけられる霧島……
「…… スミマセン…… 調子に乗りました。 許してください!」
やばい! からかい過ぎた! 二人して怖いよ! こんな時まで息ピッタリでなくてもいいのに!
「ったく! 馬鹿やってないでそろそろ準備しろ! 二人共!」
「そろそろ『仕掛ける』ぞ!」
「! はい!」
「! ええ!」
敵の攻撃を躱しながら冷静に辺りを見回す黒崎!
開戦日前に諜報部と映像カメラを使って巡回のついでに、この辺りの地形を調べさせていた黒崎。
確かこの辺りに…… あれか!
敵の追いかけてくる方向も後方と左右…… 前方には少しだけになったか……
よし! 良い感じに偏ってきたな!
「いくぞ! お前ら!」
「はい!」
「ええ!」
黒崎は合図と共にハンドルを右にきり敵軍を引き連れる形にスピードを上げる!
そして向かう先の前方は少し高めの崖の様な形になっている地形が見えてくる!
黒崎は左手で緊急用装置のロックを外すと『それ』はハンドル左下に出現する!
「しっかりつかまってろよ! お前ら!」
「いっくぞおおおおおおおおおおおおお!」
ものすごいスピードで崖に向かって突っ込む黒崎!
「
現れたボタンを押し、超加速をかける黒崎!
凄まじいGが三人を襲う!
「おおおおおおおおおおおお!」
「おおおおおおおおおおおお!」
「おおおおおおおおおおおお!」
その超加速を利用して崖を大きく飛び越え、バランスをとりながら着地し、スピードを殺さずに前方へ走り抜け、敵軍との距離を大きく引き離す黒崎達!
「なにいいいいいいいいいいい!」
「とっ! 飛びやがったあああああ!」
「あんなのアリかよ!」
「逃がすな! 追え! 追えぇぇ!」
度肝を抜かれる敵の大軍勢達!
敵の大軍が、ほぼ黒崎達の後方一箇所へと誘導されている!
そしてある程度の距離を開いたところで車を止め、迎撃態勢に入る三人!
両手が空いた黒崎は自身の宝剣デュランダルをPSリングから取り出し、準備をする!
霧島は最初から大戦前に恭弥とサアラから送られた新しい鎌を既に出している!
そしてカエラの新武装がここで本格的に火を噴く事になるのであった!
「カエラ! 準備しろ!」
「ええ!
カエラは自身のトンファー型機関銃を前方真っすぐに構え、内側の持ち手同士をくっつけると左右のトンファーが持ち手含め、数か所が連結する様に変形、融合する!
砲身の部分は前へ少し長く伸び、伸びた部分が一つの大きな砲身として姿を変える!
そんな事とは露知らず、三人に迫ってくる敵の大軍勢!
黒崎達の反撃が始まる!
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