第100話 あの闘いの後…… ①
「っ! ゔぅっ! ごふっ!」
ドクンと脈打ち、次の瞬間吐血するリーズレット!
その技の反動は想像以上に凄まじいものであった!
「はあ…… はあ…… 流石に強化術の重ね掛けはきついね…… 正直…… もう意識がとびそうだよ……」
「つか…… 下手したら死んでる…… からな…… はあ…… はあ……」
「雷遁の方にしたって…… それなりに負荷のかかる技だしな……」
「あの手の類の技は…… 重ね掛けなんて、もってのほかだ……」
「せめて片方だけにしときな…… 先に使った術は、特に力の制御と負荷がきついんだろ?」
「ぐっ! がはっ! はあ…… まあ、ここまでせざるを得ない状況だったからね♪」
「君もさっき似た様なレベルの無茶をしたみたいだし…… 出し惜しみしてたら確実に僕の方が殺られてたからね……」
「はは…… ったく、大したもんだな……」
レオンバルトの身体が光輝く!
彼の魂魄が消滅しようとしているのだ。
「! あー、ちょっと、待って待って!」
リーズレットはPSリング…… 武装収納用ではなく、アイテムの個別保管用のリングを使い収納空間から術式の書かれた札がついてるクナイを取り出した。
そして、それを地面に突き刺す!
すると彼女とレオンを、その中心に入れる様に薄いドーム状の光の障壁が発生する!
「! これは?」
「これは陰陽術の術式が施されてるクナイで、消滅しそうな魂魄を短時間だが形を留め、身体の傷も…… ぐっ! 多少なりともだけど…… 回復させる結界を張る代物だ」
「焼け石に水もいいとこだけど、僕も少しでも回復したいし、何より…… 君の魂魄が消えてしまうまでの時間を、はあ…… はあ…… 少しでも稼ぎたかったからね……」
「事前に…… ぐっ…… 用意してたんだよね♪」
「そう…… だったのか……」
「まあ、あくまで時間稼ぎにしか過ぎないし、傷の回復も即効性というよりも…… ぐっ! じわじわ少しずつ回復していくって感じだから…… 正直使い所は選ぶけどね……」
「あー! もう説明するのもしんどい!」
「まあ、説明はこんなとこかな……」
痛みに耐えながらもゆっくりと、雷帝の方へと身体を向き直し、楽な姿勢で座り込むリーズレット。
「さて、雷帝…… 君が消えてしまう前に……」
「勝者の特権として…… 一つ教えてもらおうか♪」
「あ? 何をだよ?」
「勿論…… 一二〇〇年前の事だよ……」
「君とアルテミス殿が災厄とやり合い、最後に上空へ飛び立った後、空間移動をしたって聞いたけど……」
「てっきり敵を道連れに、異空間で自爆に持ち込んだのものかと
「普通に考えたら、君も彼女も、まず助かるはずがない…… 特に君は、その時既に死亡していて魂魄体のはずだ……」
「その状態で更に死んだら、完全に魂は消滅…… 転生すら不可能になって、完全にその存在が消滅してしまう…… 永遠に……」
「だけど君は今も存在している……」
「話してもらうよ…… 雷帝…… あの後…… 何があったのか……」
「…… ああ…… そうだな……」
「あの時…… 『奴』を道連れに、上空から異空間へと飛んだ時…… 俺もあいつも覚悟を決めてた……」
「だが……」
* * *
一二〇〇年前――
前大戦 決戦の場 上空にて……
「本当に…… 馬鹿な
「ったく、最期位、素直になれよな!」
「ふふ。 余計なお世話です。 仕方ないですね…… 最期まで共に逝きましょう」
「おうよ!」
「やめろ! 貴様ら! こんな事をして! 貴様らとて無事では済まんぞ! やめろおおぉぉぉ!」
「はああああああああああああああ!」
皆を巻き込むまいと、
そのまま全ての力を爆発させて自爆に踏み切ろうとした!
その時!
突如、アルテミスの胸元から別の光が漏れ出し始めた!
そしてその光は、はたから見ればアルテミスとレオンバルトの身体を優しく包みこむ様に覆っていく……
実際には身体だけでなく魂魄もだが……
これは……
強力な守護の霊力を宿しているというペンダント……
持ち主の生命の危機に反応している?
まさか…… 私を守ろうとしているのか?
! いけない! このタイミングでは!
「…… くく…… どうやら運は我に味方したみたいだな……」
「! くっ! はああああああああああああああ!」
もう、このままいくしかない!
アルテミスはそのまま強引に、空間一帯に大きな爆音と共に、光の超爆発を引き起こした!
…… アルテミスの命を燃やしたその爆発は三人共、世界からその存在を消滅させた……
はずだった…… そう…… 本来なら……
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