第99話 全てを込めた一撃! 剣神VS雷帝 決着!
廃鉱山跡――
剣神と雷帝の闘いは熾烈を極めていた!
「はあああああああああ!」
「らあああああああああ!」
互いに高速の剣技を繰り出し合う二人!
両者互角の剣撃だったが、その軍配はレオンバルトに上がった!
「おらああああああああ!」
「ぐっ!」
激しい一撃を、紙一重で自身の剣で受け、致命傷を避けるリーズレット!
だがその身体は遥か後方へと吹き飛ばされ、岩山に叩きつけられる!
「! うあっ!」
ガラガラと崩れ落ちる岩山。
「はあ、はあ…… どうした! もう終いか!」
とはいうものの、レオンバルトもかなり息を乱し、疲弊している。
その身体も傷だらけであった。
「ふふ…… まさか♪」
岩陰の誇りに紛れて、既に印を結んで忍術を発動しようとするリーズレット!
「水遁!
嵐の様な激しい水流がレオンバルトとその周辺を襲う!
「! ぐっ! 何だ! いきなり!」
「こんなもので俺を…… !」
強力極まりない水圧だが、両腕でガードしながら重心を落とし耐えるレオンバルト。
そしてそれと同時に違和感を覚える……
確かに強力な水流だが、こんな術で自分にまともなダメージを与えられると思っているのか?
いや、そんなはずはない!
だとすると狙いは……
水の勢いが弱まってきたところで、レオンバルトはリーズレットの姿が先程吹き飛ばした場所にない事に気付く!
! いない! そうか! この水は俺の注意を反らすため?
…… ! まさか!
「雷遁!
気配を消してレオンバルトの遥か上空に上がっていたリーズレットが、彼と水浸しになっているその周囲に雷を走らせる!
「! ちぃぃぃぃぃぃ!」
「やっと隙を見せたね♪」
水を通じて感電させ、一瞬、彼の動きを止める事に成功するリーズレット!
さらに自身が感電しない様に薄い膜の様な障壁を纏いつつ、レオンバルトの背後にまわっていた!
! やべえ!
そこから彼女が回旋する形で渾身の一撃をお見舞いする!
「ぜあああああああああああああ!」
避けられないと悟り、全身を闘気で包んで少しでもダメージを軽減しようとするレオンバルト!
だがリーズレットの一撃は、そんなものお構いなしといった感じで、問答無用で彼を吹き飛ばす!
「ぐううううおああああああああああ!」
凄まじい衝撃音と共に彼も岩に叩きつけられる!
またも岩が崩れ、土埃が大きく舞う。
「ふう…… さて…… どうかな?」
レオンバルトだけでなく、リーズレットの方も額から血が滴り落ち、全身が傷だらけであった……
その様子は二人の闘いが如何に激しいものであるかを物語っていた……
彼を吹き飛ばした先を見るリーズレット……
そして、それを確認後、溜息交じりに口を開く。
「…… 本っ当に頑丈だね…… 普通なら木端微塵なんだけど……」
「いや…… 流石に今のは肝を冷やしたぜ…… かろうじて急所を外すのが精一杯だったぜ……」
崩れた瓦礫の中から姿を現すレオンバルト……
間一髪反応して、致命傷だけは避けた様だ。
それでも相当の傷を負っているが……
「いつまでも楽しんでいたいところだけど、生憎と
「このまま『普通にやってたら』二、三日は決着がつかなそうだ……」
「欲を言うと何もない時に、時間も気にしないで君とやり合いたかったけど……」
「はは…… 確かにな!」
だが、二人がそう話していたその時!
突如、二つの強大な霊圧が黒き塔の方から発せられた!
その強大さは天界中を覆い尽すかの様な規模であった!
「!」
「!」
「これは……」
「ああ…… どうやら姉御がアルテミスとぶつかったみたいだな!」
「なるほど…… これが、かつての天界最高にして最強の騎士殿の霊圧か……」
「…… 確かに底知れないね…… 師匠と同じ位に……」
「師匠に譲ったけど、本気の彼女とも
「やめとけやめとけ! いくらお前さんでも、あまりおススメしねえぜ!」
「あいつ、結構容赦ねえとこあるからな!」
「まあ、同じ剣を極めた者同士…… 話してみたら、武人として少し位は気があったりするかもだけどな……」
「ふふ…… それは楽しみだ♪ これから君を倒して、彼女に会いに行く予定だからね♪」
「まあ、師匠がその前に
「ほう、言ってくれるねえ…… だが、俺としては二人の邪魔はさせたくねえんだよな」
「て事で! もうちっと、俺に付き合ってもらうぜ! 剣神!」
「ありがたいラブコールだけど、色々状況を考えると、そうもいかないんだよねえ♪」
「だからさ…… 雷帝……」
「次の一撃…… 君の最高の一撃を放ってきてくれ……」
「君の魂のこもった一撃に…… 僕も全力で
「決着をつけようか…… 雷帝!」
そう言うとリーズレットは全身に気を纏い始めた!
しかもさらにギアを上げ、正真正銘! 全てを出し尽くすつもりだ!
「! まだ『上』があったか! 全く…… とことんチートだな!」
「わかってたつもりだったけど、まさか
「僕も『覚悟を決める』事とするよ…… 僕の全てを出し切る事に!」
「はあああああああああ!」
両手で剣を握ったまま額に構え、自身の気をさらに練り上げるリーズレット!
そして構えを中段に振り下ろすと同時に彼女は『奥の手』を発動させる!
「奥義!
凄まじい竜巻にも似た突風を巻き起こす程の霊圧を発するリーズレット!
その両の瞳は金色に変化していた!
「! 何だと!」
信じられれねえ!
なんて気だ!
いや! それだけじゃねえ!
この気は…… 本当に奴の気か?
まるで別枠の気を奴が纏って自身の気と足したって感じだが……
! 奴の胸元から大きな気の流れを感じる!
…… そういう事か!
「僕は父上の後を継がないから、代々の大王が受け継いでいく
「でも、だからといって兄上に差をつけられるのも嫌だから、僕なりに極神流一刀術を極めた後、アレンジしてさらに剣の高みへと、のぼっていったつもりだ……」
「けど、それでもまだ足りないと思ったんでね…… 兄上の力にも負けない様に……」
「そして生か死か…… ギリギリの状況に陥っても、兄上達の力にもなれるように……」
「そう思って…… 『これ』を編み出した……」
「僕は自分の胸元あたりに印を刻んでチャクラを作っておいてね……」
「常に少しずつ、己の気をそこに蓄積しているんだよ……」
「要は別枠の気の貯蔵庫みたいなのを体内に作ってあるって事かな♪」
「必要時に応じて、長年かけて溜めておいた気を引き出し、纏わせてもらったってわけさ♪」
「これが今の僕が放てる、最強の奥義だ!」
「へっ! まさかこれ程までとはな!」
「いや、まだだよ! 相手が君程の漢なら…… さらに万全を期す!」
「何だと!」
「はあああああああああああああ!」
「雷遁! 瞬撃特化の術!」
リーズレットはセシリアに伝授した雷遁の奥義である運動神経を活性化させる術も発動させる!
「なっ! 強化術の重ね掛けだと!」
「ぐっ! うぅああああああああああああ!」
金色と蒼白い光が入り混じり、バチバチと火花を散らしながら、バーナーの様な闘気を発するリーズレット!
両目の周りは血管や神経が浮き出て、力を解放している彼女自身も、その力に比例して苦しそうであった!
「馬鹿が! なんて無茶をしやがる! 確実に寿命を縮めてるぜ!」
「ぐっ! はあ、はあ…… ふふ…… 言ったろ…… 僕の全てを出し切るって♪」
「察しの通り、あまりにもリスクが高いからまだまだ改良の余地はあるんだけど……」
「君を『次の一撃で確実に』倒すには、もうこれしかないと思ったからね♪」
そしてリーズレットは一旦、刀を納刀する……
刀を納めた…… 抜刀術か?
「それに…… 『君の覚悟』にも、僕はしっかりと向き合いたい……」
「そう思ったからね……」
「! …… 泣かせてくれるな…… 剣神……」
「そういう事なら…… いいぜ! とことんつきあってもらおうかあ!」
「かああああああああああああああ!」
かつてない程に、自身の気を練り上げ、爆発させるレオンバルト!
いや! 正確には魂そのものを練り上げ、燃焼させることによって、普段以上の力を引き出そうとしている!
当然、そんな無茶をすれば勝っても負けても無事では済まない……
彼もまた、リーズレットの本気の想いに応える!
「! …… 凄いね…… いいよ…… それでいい…… きなよ!」
「ありがとよ! お前さんの気持ち! ありがたく受け取っておくぜ!」
「だが、俺とて負けるつもりはサラサラねえ!」
「最強の状態のお前さんを倒して! この闘いを終わらせてもらうぜ!」
「これで最期だ!」
「いくぜ! 剣神! いや! リーズレット!」
「こい! レオンバルト!」
「はあああああああああああああああ!」
「はあああああああああああああああ!」
気を最大まで練り上げる二人!
抜刀術の構えをとるリーズレット!
対するレオンバルトは両手で斧槍を自身の右肩に担ぐ様な形で構え、剣術でいう袈裟斬りの様な斬り下ろしを狙う!
互いの隙を伺い…… 今!
「やああああああああああああああああ!」
「はああああああああああああああああ!」
閃光と共に互いの渾身の一撃が、その身体と激しい斬撃音と共に交差する!
「僕の……」
「勝ちだ!」
キンと音を立て鞘に自身の刀を納刀するリーズレット……
「見事…… だ! がはあああああああああ!」
胸から大きく血が噴き出し、雷帝レオンバルトは遂に倒れるのであった!
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