第96話 友の魂の解放…… 託されし想い……
剣神と雷帝が死闘を繰り広げている中……
天界各地でも戦いが更に激化していった。
天界 天国エリア 北西部――
黒き塔へ、超高速で移動していく女神アルセルシア。
「レオン…… まさかここまで腕を上げていようとはな……」
「この勝負…… 本当にどう転ぶか…… 死ぬなよ…… リーズレット!」
天界 天国エリア 東部――
「やれやれ……、我が妹ながら派手にやってくれているね……」
こちらは閻魔の城へと急ぐ大王……
「頼むから霊圧の余波で近くの空挺とか落とさないでくれよ。 リーズレット」
天界 駅エリア 南部――
互いの刃が激しくぶつかり合い、辺りをこだまする衝撃音!
ここでは、ある一つの闘いが終止符を打たれようとしていた……
「おおおおおおおおおおお!」
「はああああああああああ!」
二人の漢が互いに渾身の一撃を交差させる!
片や激しく右肩から鮮血が吹き出す!
零番隊 アイオス・ルーベルトである!
今の一撃で右肩に大きな負傷を負い、それ以外にも身体のあちこちが傷だらけであった……
「ぐっ! …… 流石…… ですね…… 見事な一撃でした…… カール殿!」
「ふふ…… 瘴気によって身体機能が強化された上で、やっとここまで…… といった感じですがね」
「やはりアイオス殿には敵いませんな…… その若さで素晴らしい槍の腕前だ……」
「お見事…… でし…… がはあ!」
元第三十六番支部 司令 カール・ライデン……
彼の胸元から、アイオスが負った以上の大きな傷から激しい鮮血が飛び出した!
それは致命傷であった……
それと同時にカールの膝が地に折れ、その身体が薄い光にぼんやりと包まれ、段々と透けていく……
「カール殿!」
声をかけるアイオスを制するカール!
そして、しっかりと立ち上がり、自身から最期の言葉を彼に託す……
「いいんだ、アイオス殿…… ありがとう……」
「貴殿に止めてもらった事…… 『人』として死なせてくれた事……」
「そして、いち武人として最期に貴殿と手合わせできた事…… 友として…… 深く感謝する……」
「カール殿……」
「武運を! アイオス殿…… どうか天界に平和を……」
「後の事はお任せします……」
「…… 承知しました!」
「このアイオス・ルーベルト…… 同胞達と力を合わせ、必ずや! 敵を討ち! 天界に平和をもたらす事を約束します!」
「ですので、どうかご安心召されよ……」
「ああ…… ありがとう…… アイオス殿……」
そうしてカール・ライデンの魂はアイオスに引導を渡され、看取られる形で消滅していった……
アイオスに看取られたカールの最期の表情は、それは穏やかなものであった……
「友よ…… どうか安らかに……」
自身の胸に手を置き、友の誇り高き魂に冥福を祈るアイオス……
そしてアイオスは、カールの死に報いる為にも、ここで立ち止まるわけにはいかない!
すぐさま通信で自身の乗っていた空挺 ガリアスに連絡をとる。
カールとの闘いで、連絡がしばらくとれなかったアイオスの通信に、ガリアスの管制室が応答する。
「おお! アイオス殿! ご無事でしたか!」
「ええ! 連絡が滞ってしまい、申し訳ない!」
「しかし、かなりの傷を負ってしまった」
「一旦帰艦し、傷の手当てをお願いしたいのだが……」
「了解致しました! すぐに伺います!」
…… さらばだ…… カール殿……
友の魂を瘴気の呪縛から解放したアリオスは、一度傷を癒し態勢を立て直す為、空挺ガリアスに自身を回収してもらい、帰艦するのであった……
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