第87話 開戦!
閻魔の城とグランゼウス要塞の管制室通信システムにコンタクトをとる敵の男。
すぐさまモニターに映すエレイン、そして諜報部室長 久藤雫。
常に連携がとれる様に、閻魔の城とグランゼウス要塞も別のモニター通信で随時繋がっている状態だ。
二つの拠点のモニターから、敵の姿が映し出される。
「!」
「!」
「ヤッホ~! 天界が誇る二大拠点の責任者さん達♪」
「映像では何度かお互いに、一方的にだけど顔を合わしてる方もいるのかな♪」
「一応名乗っておくよ♪」
「僕の名前はキース・マドック」
「半年前に君達の事務所の…… え~っと…… 二十八番? 支所だったかな?」
「挨拶代わりに潰させてもらった者だよ~♪」
「まあ、他にも退屈しのぎに一杯潰させてもらったんだけどね〜♪」
笑顔で挑発するキース。
挑発的な言葉を一方的に叩きつけられるがエレイン、マクエル、久藤、三者全員冷静さを欠いたらこちら側が不利になるのは承知済み。
実際はハラワタ煮えくり返っていたが、ここは抑えていた。
「それでね~、そっちが仕掛けてきそうな感じだったから、こちらとしても、そろそろ応えてあげようかなと思ってね♪」
そう言って、キースの笑顔は狂気に満ちたものへと変わり、その本性と危険性をますます露わにしていく!
「さあ! 楽しい楽しいお祭りの始まりだよ!」
「血で血を洗う! 狂気と恐怖にもがき苦しみ! 踊り狂って! 派手に逝ってくれるといいよ!」
「ハハハハハハハハ!」
「あ~…… まずは挨拶代わりだよ♪」
「頑張らないと、『これ』で一気に全滅しちゃうよ~♪」
「!」
「!」
二つの拠点、双方から警戒信号が鳴り響く!
「室長! 先程出現した塔の座標から、桁違いの高エネルギー反応を探知!」
「しっ! 信じられないエネルギー量です! エレインさん! 」
「なんですって!」
「くっ!」
即座に指示をとばす久藤とエレイン!
「最大レベルの障壁を展開! 急いで!」
「フルパワーで防御にまわしなさい! 耐ショック! 備えて!」
慌ただしく巨大障壁を全開で展開する閻魔の城とグランゼウス要塞!
そして敵の拠点から、二つ同時に、巨大なエネルギー砲が発射された!
そのエネルギー砲は容赦なく閻魔の城とグランゼウス要塞を襲い、障壁に直撃する!
凄まじい轟音と衝撃が、辺りを襲う!
「ぐううう!」
「くっ!」
「なっ!」
「なんて威力だ!」
次の瞬間! 両拠点からバチィィィン! と、障壁が弾ける音が鳴り響く!
かろうじて、敵の主砲を防ぐ事に成功した両拠点!
「た…… 助かった…… のか?」
「とっ! とんでもない威力だ! 最大パワーの障壁を、たった一撃で相殺だと!」
「巨大霊子砲の比じゃないぞ!」
「落ち着きなさい!」
「落ち着きなさい!」
「各箇所、被害報告!」
「はっ!」
冷静さを取り戻し、被害状況を確認する部下達!
「障壁のフルパワー充電、発動が間に合い! 第一~第八ブロック! 被害、損傷はありません!」
「第十三、十四ブロック! 異常ありません!」
「第十八ブロック! 異常ありません!」
次々と報告される被害状況。
両拠点共、ほぼ無傷で済んだ様だ。
「あはは! 凄い凄~い♪ よく頑張りました~♪」
「大したもんだよ〜♪ うちの最強の主砲を最大パワーで発射したのに〜♪」
「でも言い忘れてたけど…… うちの主砲は『もう二門』あるんだよね〜♪」
「向こうの空間にいる間に、実はもう一発分ずつ、エネルギーを充電済みなんだよ♪」
「!」
「!」
「なっ!」
「そんな!」
「ハッタリではありません! 再び敵拠点から先程と同等のエネルギー反応が二つ!」
「……」
「……」
「はは♪ もうお終いかなあ? あっけなかったね♪」
「閻魔大王達はもう先に逝ってるかなあ?」
「まあ、まだだったらすぐに後を追わせてあげるよ♪」
「じゃあね~♪ 無駄な努力、ご苦労様♪」
天界側をあざ笑い、馬鹿にするかの様な態度をとり続けるキース・マドック。
だが彼のその態度が、結果的に二人の女性指揮官の怒りに火をつけてしまう事となってしまうのであった……
「ふう…… やれやれ……」
「まさか、いきなりお手を煩わせる事になるとは……」
遂に久藤とエレインが動き出す!
「上部ハッチを開けなさい!」
「それと屋上に、霊子フィールドを展開!」
「敵エネルギー反応方向への最前方ポイント! そこからさらに! 前方五百メートルまで足場を構築!」
「十秒で済ませなさい!」
「イっ! イエス! マム!」
次々と指示をとばし、ハッチの自動昇降口へと乗り、屋上へと上がっていく久藤。
そして携帯通信機で、ある二人の人物に連絡をとる。
「早速出番よ! あなた達!」
「あいよ!」
「はいはい~♪」
通信を切った久藤は自身の気を高め、その身に纏い、力を高めていった。
そしてその両の瞳の色は、金色へと変化していった。
凄まじい霊力、いや、魔力である!
一方、閻魔の城サイドもエレインの指示により久藤と同様、敵エネルギー反応に向け、霊子によって足場を構築させていた!
そしてエレインも通信で、ある人物達に連絡をとっていたのである!
「すみません! お願いします!」
「うむ!」
「ええ!」
閻魔の城 屋上――
そこに立つは先代閻魔夫妻!
グランゼウス要塞 屋上――
こちらに立つは霧島恭弥 サアラ夫妻!
屋上に到着した久藤!
そしてそこから、少し離れた所にいる霧島夫妻に右手を向ける!
そのまま彼女は、ある魔術を発動する為、呪文の詠唱を唱え始めた!
そして閻魔の城屋上でも、先代大王が同じく閻魔の力を解放すべく、呪文の詠唱を唱え始めていた!
「我が閻魔の血に宿りし業火の力よ」
「我、偉大なる魔の力を宿す絶対なる支配者なり」
「その猛き炎の息吹により、我らに裁きの力を与えたまえ!」
「我が言葉と願いに応じ、その眠りし力を解き放ちたまえ!」
「
「
「よし!」
「ふふ! 久々にきたわね!」
閻魔の力によって赤き炎の気を纏い、パワーが強化された先代夫妻!
「しゃあああ! きたあ!」
「さあ、いきましょうか!」
同じく久藤の魔術によって、青白い閃光を浴びながら強化された霧島夫妻!
四者はそこからさらに! 自身で気を高め! 力を上乗せする!
そしてその力を、各々の武器に集約させる四人!
それに対して、敵の巨大エネルギー砲が再度! 発射された!
「はあああああああ!」
「えいやあああああ!」
「おりゃあああああ!」
「はあああああああ!」
閃光と共にガキイィィィィィンという衝撃音が、大きく辺りに鳴り響く!
先代夫妻、霧島夫妻がそれぞれ二つの巨大エネルギー砲と激突! 武器で受け止めている!
「くっ!」
「ぐうううっ!」
「こなくそおおおおお!」
「くうおぉのおおおお!」
少しずつ押される四者であったが……
「あああああああああ!」
「はああああああああ!」
「らああああああああ!」
「あああああああああ!」
四者の底力が勝った!
二つの巨大エネルギー砲がそのまま『真っすぐ』敵アジトへ跳ね返される!
「なっ!」
まさか跳ね返されるとは思わなかったキース・マドック!
完全に舐めてかかったのか、二つのエネルギー砲は敵アジトの障壁を簡単に貫通!
そのまま勢い衰えずに発射元の敵主砲砲門に直撃!
轟音が鳴り響くと共に、砲門は粉々に破壊された!
その衝撃で敵アジト、管制室が大きく揺れる!
「ぐうううっ!」
「まさか…… こんな事が!」
「はは! まだまだ我らもいけるな!」
「意外と、ああいうのって跳ね返せちゃうものなのねえ! ふふ♪ 初めて知ったわ♪」
ちょっとテンション高めの先代夫妻。
「お~、痛てて! 手が少し痺れちまったよ!」
「でも、あなた♡ 格好良かったわよ!」
「だろ! ハニーとの愛の力のおかげさ♡」
「あらやだ♡ あなたったら♡」
こちらの夫婦のテンションはというと……
ちょっとどころの高さではなかったのだが……
そんな二人を無視してさっさと管制室へともどる久藤。
「くっ! 『先代』に『伝説』夫婦…… それに『魔女』の血を引く者か!」
「中々やってくれるじゃない!」
先程までの、人を見下し、コケにしまくっていたキースの態度が一変!
その怒りを露わにしだした!
そして、これまでのお返しとばかりに二人の指揮官が彼を挑発する。
「挨拶には挨拶を……」
「社会人の常識ですね」
「ああ、でも、そうね…… せっかくだから……」
「一つだけ言わせてちょうだい……」
「
「
不敵な笑みを浮かべてキースの挨拶にダメ出しをする久藤、そしてエレイン!
「勉強になったかしら? 社会不適合者さん♪」
「極めて頭が悪そうだから、続けてご教授してあげるわ…… だから……」
「潰してあげるから、かかってきなさい!」
「殺してあげるから、かかってきなさい!」
強気の返り討ち宣言!
完全に戦闘モードの久藤とエレイン。
どうやら二人共、完全にキレている様だ。
そして、それは相手も同じであった。
「くくくく…… いいねえ!」
「そうこなくちゃあ、面白くない!」
「だったら…… 本物の地獄を見してあげるよ!」
「ふふ! 上等だわ!」
「それでは……」
「開戦…… といきましょうか!」
両陣営、『挨拶』を終え……
いざ、開戦!
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