第77話 手紙と贈り物 ①
屋上へと到着する面々。
「皆! 全員いるね! レストランだとスタッフの片付けや撤収に迷惑が掛かるだろうし、僕ら以外には聞かれたくない話だしね…… ここは移動させてもらった」
「大体気付くが、どこに小型偵察機が飛んでいるかわからないからね」
「確かにな……って事は」
「ああ」
黒崎の言葉に
すると屋上全体に強固な遮断結界が展開される。
「遮断結界…… なるほど…… これなら敵方に情報が洩れる事はないか」
「その通りだ。 では話を始めたいところだが、その前に! 忘れないうちに、先にこれを渡しておかないとね!」
「霧島君! カエラ君! 前へ!」
「え? は、はい!」
「! はい!」
大王は二人にそれぞれに小さい箱、中身はPSリングだ。
それと手紙を渡した。
「これは……」
「PSリングの様ですが……」
「ああ。 霧島君のは恭弥氏、サアラ氏夫妻から、カエラ君のはメアリー君から頼まれ、預かってきたものだ」
「
「メアリー司令…… まさか」
「使いこなせれば君達の大きな力になってくれるはずだ」
「時間はないが説明書をもとに、二人共確認しておいてくれ」
「はい!」
「はい!」
「それと説明書と一緒に手紙も預かってきている。 読んでみるといい」
「! 本当だ!」
「私の方もです!」
リングを受け取り、一緒になっていた手紙を広げ、目を通す霧島。
「久しぶりだな、達也。 元気にしてるか?」
「こっちは一連の騒動でサアラとの二人っきりのイチャイチャラブラブタイムを邪魔されて、今すぐにでも敵を一人残らず殲滅してーところだよ」
「 ったく、はた迷惑な連中だぜ」
「まあ、それはそうと、実は俺達も今回色々動いててな…… お前の成長も大王様づてにちょこちょこ聞かせてもらってるぜ」
「メアリーちゃんのとこで大分頑張ってるみてーじゃねえか! うん! 感心、感心!」
「そんな可愛い
「そのPSリングには、昔サアラが愛用していた特別性の鎌が入っている」
「あいつは今は、昔と戦闘スタイルを少し変えているから、その鎌を一度調整して、いつかその時が来たら、お前にくれてやろうって思っていたみたいでな」
「お前が普段使っている鎌と同タイプ、同サイズの型の物が入っている。 だが、持ち主の霊力を鎌に破壊力や強度として変換する能力が、今使っている物よりも遥かに上だ」
「簡単に言っちまえば、桁違いに攻撃力と強度が上がるって事だ」
「ただし! その分霊力消費量も当然増えるから、まだ渡していなかったんだがな」
「元々霊力の総量が、かなり多い部類に入ってたお前だ。 大王様からも直近の死神の身体測定で、それがさらに上がっていて、むしろ『武器の方がついていけてなさそう』と、仰っていた位だ」
「本当はもっと早く、お前の顔も見てえから、俺らで直接渡すつもりだったが、こっちもドタバタして厳しそうだから、今回大王様に頼んだ次第だ」
「基本的な使い方は、今お前が使っている鎌と全く同じだが、一応説明書も渡しておく」
「恐らく今のお前なら十分に使いこなせるだろうが、ちと重量が増すから、決戦の時に備えて慣らしておけ」
「それからもう一つ!」
「最近手合わせしてやれてねえから、今はどうなってるか知らんが一応言っておく」
「達也。 お前の死神としての潜在能力は相当なもんだ。 はっきりいって、それは俺やサアラにも匹敵する程だろう」
「だが最後に俺が見た時には、まるでそれを活かしきれてねえ」
「まあ、俺とお前とじゃ、潜ってきた修羅場の数と経験値に差があり過ぎるのと、俺が天才的な戦闘センスの持ち主……」
「そして何より! サアラとの愛♡! の力が! 俺を絶対不敗の最強イケメンへとしてくれているのだから、まあ、俺に勝てないのはしょうがないのだがね〜!」
少しイラっときたのか、手紙を持つ手に力が入る霧島。
「あ〜、それはさておき……」
「戦場において、経験値以外にお前に足りないもの…… それは……」
「覚悟だ」
「!」
先程とは別の意味で手に力が入る霧島。
引き続き、彼は手紙に目を通す……
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