第75話 友との再会…… そして……

「いやはや…… でも真面目な話、二人共こういう形でだが、無事、再会させる事ができて本当に良かったよ」


「大王はん……」


「ふっ…… 『シリウス』としては、お久しぶりです…… と言った方がいいんですかね?」


「そうかもね…… そして悪いが、今は『シリウス君』として、話させてもらうよ」


「本当に久しぶりだ…… また会えて…… 本当に嬉しく思うよ……」


「おかえり…… よく帰ってきてくれた。 シリウス君」


「まあ、黒崎君としても死んでしまった上に、この様な形で帰ってきたのに、素直に祝辞を述べるのは、いささか不謹慎なのかも知れないが……」


「それでも…… 僕は無二の友人と再会できた事を…… この運命に感謝させてもらうよ」


 閻魔大王も感慨深くなったのか、本当に嬉しそうで優しい表情をしている。


「ありがとうございます」


 それはシリウスも同様であった。


 シリウスとしての生前は、治安部の総司令という事もあり、閻魔大王とも業務上の関係で、顔を合わす機会も多かった上に模擬試合等で、互いに剣を高め合ったりもしていた。


 プライベートでも大王の破天荒というか、自由な性格というか、よくシリウスは振り回されていたりもしたが、何だかんだでウマが合い、親交を深めていた。


 それを考えれば、シリウスにとっても閻魔大王は上司であると同時に、戦友でもあり、立場関係なしに、気の置ける友人でもあるのだ。


 色々大変な状況だが、九十年ぶりの再会を素直に喜び合う二人であった。


「ふふ。 とはいえ、君は今は解決屋 黒崎修二でもある…… いや、黒崎修二である…… と言った方がいいのかな?」


「ああ…… 記憶が戻ったとはいえ、シリウス・アダマストは死に、黒崎修二の魂に溶け込んでいたって感じだしな…… まあ、今も死んでる状況なんだが……」


「あくまで今の俺は解決屋 黒崎修二、そんでもって、シリウスだった頃の俺がやり残した事…… 『あいつ』をどうにかするって事も含めて、事態を解決していくだけさ」


「まあ、呼び名は黒崎で通してほしいが、旧知の連中には強制はしねえよ」


「…… 今のあんたは、天界治安部総司令やのうて、解決屋としての流儀で、事に当たるつもりなんやな……」


「まあ、どっちの名でも、あんたはあんたやしな!」



「ウチの惚れ抜いた……」


 そう言おうとした割には、途中で照れて、小声になってしまい、結果、上手く聞き取れなかった黒崎。



「ん? 最後の方、なんだって?」


「な! なんでもないわ!」


「おやおや~ 京子君ったら~ …… ぐふっ!」


 京子のリアクションにニヤニヤしていた閻魔大王だったが、即座に京子からの肝臓打ちリバーブローが突きささる!


「オッホン! わかったわ! そんならウチも! 今のあんたについていくわ! 修二!」


「慣れへんうちは、たまにシリウス呼びしてまうかもやが、それは勘弁な!」


「ああ…… それでいいさ」


「ふふ…… ではここからは解決業務を依頼した閻魔大王として…… そして何より『もう一人の僕の友人』でもある、今の君…… 『黒崎修二』君と、話をさせてもらうよ」


「責任者に許可をもらってレストランフロアを貸してもらっている」


「そこで食事がてら、今後の話をしようか……」


「ええ。 そうですね」


「それでは皆! 移動しようか!」


「はい!」


 こうして、一同はレストランフロアに移動するのであった。





 もう、目前にまで迫ってきている、大きな戦いに備える意味でも……


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