第72話 見届け隊!♡ ①
「…… 落ち着いたか?」
「…… うん…… ぐすっ」
シリウスと京子は近くのベンチに座っていた。
先程まで号泣していた京子も、涙をぬぐって鼻もかんで、ようやく落ち着きを取りもどしてきたといったところだ。
積年の想いをぶつけて、すっきりしたといった感じの京子……
彼女にようやく『本当』の笑顔がもどったのだ。
…… だが実は、この二人の成り行きを文字通り見守っていた? 盗み見ていた者達がいたのだ……
時は京子が部屋を出て、シリウスの所へ向かった後のところまで遡る……
* * *
「…… 総長…… あなた、まさか……」
「ふふ♪ ここからはお楽しみタイムだ!」
リーズレットは笑顔でそう答える。
それを見てマクエルは、呆れた様に溜息をはく。
「え? え? なんなんですか? 一体?」
「リーズレット様?」
何が何だかわからないといった様子の霧島とカエラ。
「ふふん♪ 実はさっき京子の肩に手を置いた時に、超! 小型の最新式の盗聴器を仕掛けておきました~♪」
「……」
「……」
「え~~~~~~!」
「え~~~~~~!」
「さあ! 皆で覗きに行こう!」
「いやいや! ダメですって! つか何やってるんですか、リーズレット様!」
「そうですよ! そんな盗み見て聞くなんて真似! そういうの良くないと思います!」
「趣味が悪いですよ、総長」
「なんで~! 別にこれ位いいじゃない! 今回は僕! これだけ! 彼女の背中を押してあげたんだから♪」
「今回の事の結末を盗み見…… 見届ける権利は僕にはあると思うね!」
「そんなムチャクチャな!」
「いけません! そんな事!」
「じゃあ聞くけど三人共、二人の事、気にならないの?」
「本当に~~~? 僕は気になるけど♪」
「それは……」
「…… 正直、気にはなりますけど……」
「まあ、私も愛弟子のこじれた恋愛事情が解決するか否か気にはなりますが……」
「でしょ♪ だったら今回の二人の結末を見届ける義務があると思うんだよね! 僕は!」
大分メチャクチャな事を言っているリーズレット。
「まあ、嫌なら無理にとは言わないけど♪」
「僕一人で楽しんでくるから~♪」
「ちょ! ちょっと待って下さい!」
頭を悩ませながらもリーズレットを一旦止める霧島……
だが彼の心も、好奇心という名のものに折れるのであった。
「わかりました! リーズレット様がこれ以上暴走しない様に見張る為にも! 僕は同行しましょう!」
「霧島君!」
「~~~~っ!」
「しっ 仕方ありませんね! あなた達がこれ以上! おかしな真似しない様に! 私が! しっかり監視しなくては!」
「やれやれ…… 仕方ありませんね~」
「まあ、正直面白そうではありますし、皆さんの保護者兼監視役として私もご同行させていただきますね」
「皆、素直じゃないね~ 正直に面白そうだからって言えばいいのに♪」
「ま、いっか♪」
「それじゃ、皆行くよ!」
「はい!」
一同返事をした後、リーズレットの荷物をいくつか取り出して、彼らの姿が確認できるポイントまで移動するのであった……
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