第43話 昔話 ③
そこでは凄まじい戦いが行われていた……
一人のアッシュグレーの髪、人で言えば五〇代後半位の年齢を感じさせる顔立ちの男を強固な障壁を張って、守りに徹するは女神三姉妹が三女、イステリアである。
銀髪の長く、美しい髪を後ろで束ね、二〇代前半頃に見える程に若く、綺麗な整った顔立ちの女性は二人の姉に『あれ』の対処を任せ、逆に自分は最高神様をお守りする様、守りに徹しろと姉達に命じられていた。
そして姉である長女アルテミスと次女アルセルシアは二人で連携して敵を追いつめる。
黒い瘴気に覆われている…… いや、意思を持った人の形をした、『悪意に満ちた瘴気そのもの』 ともいえるその怪物は、自身の眷属と化した兵隊達で天界各地を襲わせている隙に、最高神を狙いこの塔へ攻め入っていたのだ。
元々誰かに憑依していたその怪物だったが、あまりの瘴気で、もう宿り主は身体の原型はなくし、いい様に作り変えられたその姿は人の三~四倍位の背丈の黒い人型の化け物と化していた。
「はあ!」
巨大な大剣を振るっているとは思えない程の、超スピードからなる常識外れの重い一撃を連続で叩き込むアルセルシア!
一撃一撃が天をも揺るがす衝撃のこもった攻撃を後退しながらも両腕で上手く捌く怪物。
四撃目を捌くと同時に、後ろへ大きく飛び、距離をとろうとする怪物。
巨大な女神の闘気を纏った斬撃を飛ばし、追撃するアルセルシア!
怪物は空中で体制を崩しているにも関わらず、その強力な一撃を右手で横へ弾く!
だが、金色の髪をなびかせた、もう一人の女神が怪物の後ろをとる。
女神三姉妹が長女、アルテミスであった。
「終わりです」
「
神々しい金色の闘気を纏った、その一撃は巨大な十字状に怪物を切り伏せ、凄まじい轟音と共に地面に叩きつけた!
その衝撃で辺りは土埃が舞い、敵の姿は視認できないが、女神達は敵の気配を見失わない様に補足している。
アルテミスはアルセルシアのもとへ着地して敵の様子を窺う。
余程強力な相手でも、本来なら塵一つ残らない程の一撃……
だが相手も到底、普通ではない存在だった……
土埃が収まり、怪物の姿が確認できる様になってきた。
「ふむ…… これでも仕留めきれませんか……」
「中々頑丈な奴だな」
「ぐっ! はあ、はあ……」
「流石にそう一筋縄にはいかないか…… 死ぬかと思ったぞ…… この化け物共が!」
「化け物に化け物と呼ばれる筋合いはありませんよ」
「全くだ。 年頃の女性に対して礼儀を知らんな!」
かなりのダメージを負ってはいるが、それでも全然動けるといった様子の怪物。
「しかし参りましたね。
「しかもあの様子……」
「ああ。 傷口が再生しているな。 姉者」
二人の言う通り、怪物はアルテミスの攻撃で受けた傷口が瘴気で再生を始めている。
「手強い上に、そういう能力持ちですか…… これは厄介ですね。」
「全く! 面倒極まりないな!
「それはこっちのセリフだ…… さっきから邪魔ばかりしおって!」
「お前は一体何者だ?」
イステリアに守られている、その男は怪物にそう尋ねる。
「最高神!」
「イステリア!」
「はい! 姉様!」
「父上! お気を付け下さい!」
最大限の警戒を二人に促すアルテミスとアルセルシア。
「答えろ! 天界を混乱の渦に巻き込み、
「どのみち我に支配される事になるのだから説明する必要などないのだが…… まあいいだろう……」
「我はお前達に…… 天界の住人達に生み出された存在……」
「天界に
「!」
天界史上最悪の災厄…… その正体と目的が明かされる……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます