第40話 元女神

「さて、話をする前に皆、さっさと席につけ! そんな所で密集されても暑苦しいわ!」


 女神に促され席に着く死神達。


 閻魔大王達は女神の横に着く形で席に着いた。


「先程、大王も言ったが奴らが別空間にアジトの類を用意しているなら、いくら天界中を探しても見つからないのは当然だ。あの辺りには監視カメラの類も付いていないからな」


「そして『空間を操る』…… もっと言ってしまうと『別の空間を作ってしまう』すなわち、それはある意味『別の異なる世界を創造してしまう』事でもある」


「世界創造ができるのは、女神と最高神様だけだ」


「最高神様は『現在仕えている二人の、我ら女神』のうち、どちらかが常に必ず付いている事になっている」


「あの方がその様な事をする可能性は万が一にもない」


「当然我ら女神もな」


「我らにも大王の『眼』に宿っている能力が備わっている。 失礼は承知だったがあの方にも許可を得て、互いに確認済みだ」



 女神だが最高神だが、また半端なさそうなワードが出てきてんな……


 空間をも創造できるとか、ハチャメチャな事あっさり言いやがって……


 チートキャラ連続で出すぎだろ!


 しかし大王様の『眼』の能力が、女神共にもあって、それで確認済みって事は三人の中に裏切者、もしくは偽者がいる事はまずないか……


 しかし一つ気になる言い方をしていたな。


『現在仕えている二人の女神』だと……


 まさか……


 考えを巡らす黒崎に女神がその考えを肯定する。


「その通りだ。 黒崎修二。 『以前は別にもう一人、女神がいた』のだよ」


「なるほど。 そういう事ですか」


「…… ってすいません! 何も言わずに勝手に心読むのやめてもらっていいですか!」


 思わず流してしまったが黒崎が女神に物申した。


「何か前にもこんな事があった様な……」


「はは! いや~、まだ全然日が経っていないのに懐かしく思えるよ~ 黒崎君!」


 ああ、そうだ。 初めて大王様と会った時だ……


 本当いい性格してるな。 天界の有権者共は……


「それ程でもないさ!」


「だから勘弁して下さいよ!」


「黒崎さん! 本当に! マジで! お願いですから! 大王様の前でもそうですけど、女神様の前で、その態度はマジで洒落にならないから!」


「そうよ! あなた本当に口を慎みなさい!」


 霧島とメアリーがもはや切れ気味で黒崎に注意する。


 霧島にいたっては若干涙目になっている。


 二人の圧力に黒崎がたじろぐ。


「かまわんかまわん! 私も大王と同じく堅苦しいのは苦手だ! 細かい事は気にするな!」


「で、ですが!」


「かまわん、と言っている……」


 進言するメアリーに凄みをきかせる女神。


「は、はい! 申し訳ありません……」


「何、わかればいいさ」


 気まずそうにするメアリー。


 何か可哀そうな事をしてしまった……


 申し訳ない。 メアリーさん……


 霧島も本当にすまん……


「えーと、つまるところ、その元女神様が別空間を創造して連中のアジトにしている…… というか、連中に加担しているって事ですか?」


「ああ。 その可能性が限りなく高い!」


「名前は女神アルテミス。 私の姉で女神三姉妹の長女でもある」


「女神様は全員姉妹なんだよ。 ついでに言うと、僕ら閻魔一族の武術の師にもあたる方々で、女神様のもそうだけど、代々の大王が先代から受け継いでいる『眼』の力も元々は初代の大王が最高神様から授かった能力なんだよ」


 黒崎にそう説明するリーズレット。


「! そういう事だったのか…… だから同じ能力を」


「そういう事♪」


「だけど『元女神』ってのはどういう事です? 何故今、それ程の方が敵側に加担しているのですか?」


そう問い質す黒崎。


「敵に加担している理由はわからん、が! 何故姉上が我らと最高神様のもとから、いなくなったらのかは話しておこう……」


 女神アルセルシアから、姉である女神アルテミスについて、そして過去に天界に何が起こったのかも、彼女の口から語られようとしていた……



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