第34話 対策会議 ①
皆が席に着くと、閻魔大王から一連のやり取りに説明が入る。
「え~、まず先程も自己紹介してもらったが、彼女は私の妹リーズレット・アルゼウム。 そして先程の彼も、ほとんどの者がご存じ、マクエル・サンダース氏だ」
「彼らは所属的には諜報部に属し、一騎当千の腕利き達が集まる『零番隊』と呼ばれる死神、天使の混同部隊だ」
「少数精鋭で一〇名から成っている部隊で基本的にその存在は秘密裏にされていたが、もはや使える手は全て打っておいた方が良いと私が判断させてもらって一連の事件解決の為、投入させてもらった!」
「一応その存在自体は噂程度で囁かれてはいたが、皆にとっては真偽のほどは定かではなかっただろうから、驚いていると思うが、まず、そこは理解してくれると助かる」
おおよそ霧島が言っていた通りだった。
リーズレットは時折自身の通信機をチェックしながら辺りに目を配っている。
先程のメールの指示出しの結果が来るかもしれないからチェックしているのだろう。
話の進行はほぼ兄である閻魔大王に任せている様子だ。
「我らは第一一七支部からの昨夜の一件の報告を受け、 例の組織の『怪物』が我らの姿に擬態する能力と、体内に遠隔操作が可能な爆薬を仕込んでいる事が判明した」
「爆薬についてはおそらく我らの警戒網に、奴らが操作している姿が引っかからないところをみると怪物達全員に仕込まれているかは怪しいが……」
「かなり遠距離から操作している可能性が高い。 あれ程高い性能を持つ爆薬を大量生産できているとは考えづらいが、一応サンプルも手に入れ、今後の役に立つ情報も手に入るかもしれないから、今解析班に調べてもらっている」
それでさっきの副長さんは最後の一人だけは直接爆薬を抜き取ったってのか……
ったく、本当にチート揃いだな。
黒崎達は引き続き、大王の話に耳を傾ける。
「そして我らは、幾つかの仮説をたてた……」
「もし、奴らが我らの仲間に化け、こちらに潜入して情報を得ようとしているなら、考えたくはないが、既に奴らの手に落ちている者達がいるかもしれない……」
「最悪、どこかの事務所ごと乗っ取られていたら情報の
「我々も馬鹿ではないからね。 あらゆる手を使って、これまで連中の足取りを追ってきたが、常に後手にまわされる…… 『不自然な程に』 ね……」
「そこで念の為、私とエレイン君は諜報部と連携して、ここ最近の各支部から上がっている報告に、不自然なところや
「非常に細かいレベルだが、我らは幾つかの違和感を見つけ、先程の彼らを中心に、そして、これはあくまでも可能性の一つとして…… 諸君らの気分を害するようで悪いが、君達全員の支部にも、必要最低限レベルの人員を各事務所の近くに配し、警戒をしかせてもらった」
「何ですって!」
「そうだったんですか!」
驚きを隠せない各支部の司令達。
メアリーや霧島も例外ではない。
「全然気づきませんでしたよ」
「ええ。 一体いつの間に……」
俺はもちろん、メアリーや霧島も気付いていなかった。
本当に、いつの間にそこまで……
「もし、奴らの手に落ちている事務所があるなら、そこの死神達は全員殺されているか、先程の彼らの様に瘴気に自我を乗っ取られて、正気を失って洗脳状態の可能性が出てくる」
ここでリーズレットが話に入ってくる。
「その通り。 だけど全員死亡している可能性の方は限りなく低いと判断させてもらった。 もしそうなっていたら、必ず閻魔の城に魂は導かれる様になっているし、我らが気付かないはずがない。 連中にとっても足が着く可能性がその分増えるだろうから、おそらく操って手駒にしている可能性の方が高いだろうとふんでたんだ」
「その場合、我らの仲間達は生存していて、まだ事務所に監禁されているかもしれない。 何としても救出しつつ、怪物達を捕縛、もしくは滅して、情報も可能な限り手に入れる!」
「そこで私は状況打開の為に、君達全司令達と私が個人的に招集した者達を一同に集め、連中のスパイをあぶりだす事にした」
「もしも司令
「おい。 大王様の『能力』って……」
小声で霧島と話す黒崎。
「ええ。 心を読み取る大王様の『眼』の能力の事ですね」
大王の能力…… そういえば以前話していたな……
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