第3話 メザシとの戦

斎藤「そうだな。塾の方の警備に暁子を当たらせたが、これが大会の生き残りの

奴らのしっぽをつかめるかどうか」

沖田「それは見応えありそうですね。僕も参戦しましょうか?」

斎藤「お前はまだ天草の戦いが残っているだろう。近藤さんと行ってくるんじゃないのか?」

沖田「はいはい」


チャキっと刀を構えて、間合いをとる暁子。空は曇天に夕日の赤が滲んで手から滲み出た紅の血のようだ。

今にも泣き出しそうな空と共に、暁子が飛び跳ねる。

シュッと剣を落として、相手に切りつけた。


(アタシの男見たいな手は、このためにあるんだ)


及川の部下、メザシが用意した資料には、

次の刀争奪大会の詳しい記録がびっしり詰まっていた。

その刀を安置している貴族の家が、

なんと晴太郎の家だったのだ。


晴太郎に見つからないように、戦いは倉庫の薄暗い中で響く。

静かな刀のぶつかり合いが、

ただ転がっているだけの酒倉庫に響いた。


 暁子にへばりつく赤い血が、勝利の印だ。

ガクっとメザシが膝から倒れて、資料を落とせば、もうメザシの息は引き取っていた。

メザシの後片付けをして倉庫から出ようとした暁子だったが、

それが晴太郎にバレてしまい、暁子は倉庫から新撰組へ戻ろうと必死に逃げた。

メザシを一刺しするより、

 晴太郎から逃げるほうがよっぽどめずらしいと暁子は思った。

(こんなオマケアクション聞いてないよ斎藤さん!)

そんなこんなで、晴太郎と暁子の追いかけっこがはじまった。





それから数ヶ月が過ぎ、

暁子は新撰組の中でめきめきと腕を上達させていた。


 暁子が所属する新撰組が警備に当たる、刀争奪戦「刀剣争奪大会」

一年に一回開かれる刀の戦いで、死者も続出することから新撰組が警備に当たっている。

「暁の刀」が今年の最高金賞なわけだ。

その一番の刀の警備を誰にするかということだが、

それが新撰組の中で、「暁子」が最適なんじゃないかという噂が広まった。

斎藤の一番弟子にして、

沖田につぐ、最強の刀センスを持つ暁子ならば、

刀剣争奪大会の警備として成り立つだろうと。


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