MAIN STORY 4-1 天才と女優の家族 堺家編 side雄太
翔=
美=
悠=
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放課後デートの翌日の土曜日、AM8:30
高校一年生であれば多くの学生が惰眠に充てている時間だろう。
だが、俺は既に起きている。なぜって?天才だからだ!
・・・嘘です。違います。今日の9:00から、俺と俺の弟と優斗とたっきーの4人でスプラをするからです。
今は朝食のピザトーストを頬張っている。
あっちちちちち・・・がぶ・・・はふはふ・・・うん、美味い
翔「あつつ、あーー・・・はふはふ・・・美味し。」
こっちは俺の弟の翔太。1つ年下で、髪と眼の色は同じ焦げ茶だけど俺とは違って優しさがにじみ出た顔をしている少年である。身長は168cmとのことで、今ぐんぐん伸びているらしい。俺が追い付かれるのも時間の問題だろう。
因みに桜ちゃんが言うには、『炎柱とその弟』らしい。俺、一口一口『うまい』とはいわないんだけどなぁ・・・
まあそんなことは置いといて、俺からしたら兄思いの非常にできた弟である。
ん?なんで『兄思い』だとわかるんだって?あー、それは翔太が小2の時に起きた事件が理由で、俺に助けられたらしくてな。まあ、覚えてないんだけど。
いや、だって俺、その時9歳だぞ?俺が生まれて10年の記憶がないってこと忘れてないか?・・・忘れてた?だろうと思ったよ。全く。
・・・お前に行ってるんだよ『そんなことも覚えてないで天才とか自称してんじゃねえよカス。』って思ったアンチ!!
(そんなこと思ってない人は気にしないでください。人は生存に必要なこと以外は忘れる生き物です。こんな一小説の設定なんか忘れて当たり前です。読まなくても問題ありませんが、もし気になった人はPrologue1を読んでください。)
翔「ねえ、兄さん。その優斗さんとたっきーさんとはボイチャ繋ぐの?」
雄「ああ。繋ぐつもり。・・・イヤなら言ってくれよ?」
翔「違う違う。ヘッドセットいるかどうかの確認だよ。」
ああ、なるほどな。
雄「ブキ何使う?」
翔「無難にボトルガイザーかなぁ。兄さんは?」
雄「ドライブワイパーデコだな。」
翔「ジムワイパーじゃないんだ。浮気?」
違うんや・・・最近のアプデでめっちゃ弱体化したから得意な戦法がとりにくくなってもうたんや・・・
雄「インク消費30%増加はエグイて・・・」
翔「たしかに縦切りブンブンが難しくなったもんね。」
雄「ホントそれ。あれ強かったんだよなぁ・・・」
翔「いや、兄さんのエイムありきでしょ、あれ。あんな弾速遅い攻撃、普通は最大射程で移動中のショクワンダーになんか当てられないからね?」
ふふん、なんてったって置きエイムには自信があるからな!
まあそれは置いといて、そろそろチャットつなげるか。
え~っと、これで良し。
雄 《お~い、聞こえるか~~?》
優 《大丈夫だよ~~》
瀧 《聞こえてますよ~》
雄「おっけ。ほら、翔太。」
二人とも翔太のこと知らないもんな。
・・・知らないよな?
知っててもおかしくないなぁ・・・特にたっきー。
翔 《堺翔太と申します。よろしくお願いします。》
瀧 《これはご丁寧に。神宮寺瀧雅と申します。よろしくお願いします。》
優 《九条優斗です。よろしくお願いします》
ここで翔太が軽い爆弾をほうり込んだ。
翔 《いつもうちの兄がお世話になってます。》
雄 《おかんか!》
優 《あははははははははは!言われてるよ雄太!》
雄 《うっせえ!》
瀧 《にしても、中学生とは思えないくらいしっかりしてますね。》
お、たっきーもそう思うか。そうなんだよ。
雄 《だろ?俺の自慢の弟だ。》
優 《雄太より精神年齢高いんじゃない?》
雄 《否定できない。》
優 《認めちゃってるじゃん!あははははははははははは!!あ~お腹痛い。》
いや、本当に。翔太は人生2周目感が半端ないんだよ。
あと優斗はちょっと黙っとけ!!
瀧 《皆さんは何使います?僕はN-ZAP85にします。》
雄 《ドライブワイパーデコ。》
翔 《ボトルガイザーにするつもりです。》
優 《リッター4Kかな。》
前線がたっきー、中衛が翔太と俺、後衛が優斗か。
割と後ろ目か。もう一人くらい前線が欲しいな。
雄 《翔太、.52ガロンにしてくれないか?前線がたっきーだけだから、もうひとりくらい前線が欲しい。》
翔 《了解です。》
雄 《ありがとな。んでスケジュールは・・・チョウザメとアマ美のホコか。》
両方長射程が強いステージだな。
優 《リッターが輝くステージだね。》
瀧 《そうですね。すごい人数キルできそうですね!》
優 《あ、あんまりハードル上げないでよ・・・》
瀧 《あ・・・すみません。》
優 《謝らないで・・・》
よーし頑張るか!
雄 《みんな部屋入ったな~?》
翔 《はい~》
優 《入った~》
瀧 《入りました~》
ぎゅううぅぅぅぅぅぅん、じゃんじゃんじゃかじゃああぁぁぁぁぁぁぁぁん、
じゃかじゃんじゃんじゃか、じゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん
ステージはチョウザメ。相手の構成はクーゲルシュライバー、スパッタリーヒュー、ヴァリアブルローラー、バケットスロッシャー、か・・・クゲのジェッパに注意だな。
武器にはそれぞれメイン、サブ、スペシャルがある。メインは基本のブキ、サブは飛び道具やトラップなど、スペシャルは必殺技のようなもので、メイン一つにつき、サブ一つ、スペシャル一つが固定されている。詳しい説明をするとものすごい時間がかかるから、YouTubeで見てくれ。
今回の俺のギア構成は、【スぺシャル増加量アップ】が大1つと小2つ、【イカ移動速度アップ】が大1つと小2つ、【サブ性能アップ】が大1つ、【スペシャル減少量ダウン】が小1つ、【相手インク影響軽減】が小1つ、【サブ影響軽減】が小1つ、【スーパージャンプ時間短縮】が小2つとなっている。
これは、俺が昨日の夜に風呂の中で考えたものだ。
とりあえず強そうなギアパワーまとめましたみたいな構成だから、特に深い意味はない。
ギアパワーとはスプラのアタマ、フク、クツの装備につく効果のことで、大きいギアパワー(メインギアパワー)が1つ、小さいギアパワー(サブギアパワー)が1~3つ付く。また、その構成をギア構成という。
因みにメインギアパワー×1≒サブギアパワー×3である。
READY? GO!
スタートしたらとりあえずマップを開いて、相手のギアを確認する。
スプラトゥーン3ではマップの右上に相手のメインギアパワーが出てくる。
今回は、クーゲルシュライバーが【ヒト移動速度アップ】2つと【受け身術】、スパッタリーヒューが【イカ移動速度アップ】3つ、ヴァリアブルローラーが【スペシャル増加量アップ】1つと【イカ移動速度アップ】1つに【イカニンジャ】、バケットスロッシャーが【復活時間短縮】1つと【リベンジ】に【ステルスジャンプ】だ。
実は味方のメインギアパワーもマップの右、下、左の端に出てくる。
優斗は【インク効率アップ(メイン)】1つと【スーパージャンプ時間短縮】1つに【デスペナルティアップ】で、たっきーは【スペシャル増加量アップ】1つと【イカ速度アップ】1つに【カムバック】、翔太は【イカ移動速度アップ】2つと【対物攻撃力アップ】である。
雄 《ヴァローラがイカニン、スパヒューがイカ速ガン積、バケツがリベンジステジャン、クゲが受け身。》
翔 《了解です。優斗さん、スパヒューのホコ運びとバケツの曲射注意です。》
優 《おっけー。》
瀧 《スパヒューさんは早めに処理したいですね。》
初動はホコバリアを割る。迅速に。
と言いたいところだが、相手の方がたぶんホコ割りが強いので敢えてあまり攻撃せずに割った後すぐキルできるように構える。
バリア割れた!スパヒューが持つかもだから段差下でセンプクする。
〔ガチホコをうばわれた!〕
持った!タメ切り構えて・・・一閃!
キュゥィィィィィィィィン、ズバン!
〔ガチホコを防いだ!〕
自カウント 100
敵カウント 98
雄 《ホコやり!》
優 《2枚抜いた!》 (~枚=~人)
瀧 《ラス1防空、バケツです!》 (防空=チョウザメ中央の橋の下)
翔 《了解・・・やりました!》
〔WIPE OUT!〕
優 《ホコ持ってきて!》
雄 《おっけ!》
状況と編成から右降りて右カンモンだな。
〔ガチホコをうばった!〕
〔カウントリードした!〕
〔カンモンを突破した!〕
自カウント 56
敵カウント 98
優 《ナイス!》
瀧 《エナスタたまりました!使います!》 (上がった=たまった)
雄 《こっちもマルミサ上がった。復帰に吐くわ。》 (吐く=使う)
優 《スパヒューやれてない!左敵高!》 (敵陣の左にある高台)
翔 《メガホン入れときます!》 (~入れる=~で狙う)
雄 《スパヒューやった!クゲも・・・やり!》 (やる(殺る)=倒す)
・・・スプラって専門用語多いよね。
翔 《バケツやったけどヴァローラにやられです!》
瀧 《ヴァローラやっときました!敵三落ちです!》(~落ち=~人が復帰中)
雄 《ホコ持つわ》
ガチホコをうばった!
優 《クゲやり!・・・ヴァローラもやった!バケツ左回転台!》
翔 《バケツやりです!・・・スパヒューどこだ?》
雄 《とりあえず進めるわ。・・・うお!スパヒューやられ!》
〔ガチホコを失った!〕
自カウント 23
敵カウント 98
優 《ガン芋してるとは・・・》 (ガン芋=長時間潜伏)
瀧 《これ以上はきついです!》
雄 《復帰来てるしいったん打開されるか?》
優 《そうだね。ちょっと下が――》
〔WIPE OUT!〕
雄・優・瀧 《・・・え?》
翔 《全員やっときました。》
・・・うそおおおおおおおおおおお!!
優 《マジで!?すごすぎる!!》
雄 《神神神神神!!!》
瀧 《さ、流石シューター最強のメイン・・・ですね。》
翔 《ホコ運びますね。》
雄・優・瀧 《・・・あ》
ピーーーーーーーーーーー!!!
てけてけてけてけてけてけてけてけてけて・・・・・・ドン!!
〔ノックアウト!〕
[勝利BGM]
雄 《勝った~~!いや~翔太が神過ぎた!》
優 《よくあの四人に対面勝てたね。》
瀧 《あそこの引かずに全員倒すとは・・・すごいなぁ・・・》
翔 《割とリスキーな賭けなんですけどね、敵陣潜伏。》
優 《でも、二人以上持ってける自信あったんでしょ?》
翔 《腐っても52ガロンですから。》
優 《かっこい~~~。》
雄 《さっすが翔太くん!》
翔 《・・・、そ、そんな褒めないでくださいよぉ》
雄・優・瀧 《はははははははは!》
翔 《ははは・・・、・・・》
そして、この日9:00~11:00の2時間で30試合全てノックアウトというとんでもない記録を出したのだった。
・・・まあ、たっきー以外XP3200プレイヤーだから当たり前っちゃ当たり前なのかもしれない。
普段はXマッチでは使わない武器を練習してるんだけど、今日はたっきーをキャリーしようと全員XP3000以上を出したことのある、いわゆるガチ武器を持ってきていたんだよな。
えー、お相手の皆様、すみませんでした。
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AM11:32
そろそろ父さんと母さんが起きてくるころである。
てことで、それに合わせて昼ご飯(二人にとっては朝ごはん)を作っている。
今日は卵とチーズのくりぬき食パンとシーザーサラダ、コンソメスープだ。
ちょっとシーザーサラダの味見を・・・うん、うまい。
美「おはよう。」
雄「ん。おはよう、母さん。」
翔「お母さんおはよう。」
この人は俺の母親の堺美里。普段はスーツを着こなす、出版社のラノベ編集長。
身長は171cmと女性としてはかなり高く、41なのに20代の体型をしっかり保っている(父親談)努力人。そのおかげで40より若く見られることが多いのだとか。普段から身だしなみ等には厳しく、もちろん自分もきっちりしているが他人にもしっかり注意する。
反抗期男子からしたらうざったくてたまらないだろう。
・・・俺は反抗期来たことないから知らないけど。
基本的なことに関しては自分にも相手にも厳しいひとである。
ただ、理不尽なことは言わないから決してうざったくはない。
・・・まあ、理由はもう一つあるんだけど。
雄「また朝方まで徹夜したな?」
美「あーうん。編集が終わらなくて・・・」
翔「原稿届くの遅かったの?」
美「そうなのよ。20時に来たわ。」
雄「うっわ朝5時コースだなそれ・・・」
そういえば、母さんの『校正・リライトは7時間』て、スピード的には他の編集者と比べてどうなんだろ。『社内では早い方』って言ってたけど・・・俺は相場なんて知らんしな・・・
美「・・・お、今日の朝ご飯は私の好きなくりぬき食パンだ。」
悠「ほんとかい?」
雄「ほんと・・・って父さんいつの間に。」
悠「おはよ~う」
翔「お父さんおはよう。」
美「悠さんおはよう。」
悠「みーちゃんおはよう。」
この人は俺の父親の堺悠哉。大企業で働く一流ゲームクリエイター。
ぽっちゃり体系で我が家のマスコット的存在。全体的にふっくらしているが身長は何気に180cmある。
そしてこの人は何よりもまず甘い。人に迷惑をかけないことに関してはめちゃくちゃに甘い。他人に甘く自分にも甘く、という感じで母さんとは正反対な性格をしている。実は、母さんがうざったく思わない理由その二がこの父さんの存在なのだ。つまり、我が家の両親は母親が鞭で父親が飴なのである。
因みに、
なぜかと聞くと、『惚れた弱み』らしい。詳しいことは知らない。
しかし、父さんは『他人に迷惑をかけること』には人一倍厳しい。
ぶっちゃけ母さんよりもずっと厳しい。
だから、『期限』や『約束』は必ず守れと教わってきたし、父さんもいくら自分に甘いといっても締め切りと約束だけは守っている。
そして俺たち両親は結婚して20年近いのにラブラブである。
というよりは、どちらかといえば母さんが父さんにベタ惚れな感じがする。
なので呼び方も『悠さん』と『みーちゃん』で、実はこの呼び方は恋人時代から変わっていないらしい。ほんと、お熱いことで。
悠「いやーありがとね。今日僕が当番だったのに・・・」
雄「どーせまた新しいイメージでも湧いたんだろ~?」
悠「その通りです・・・申し訳ない。」
雄「んで、ふたりとも今日はどっかいくの?」
美「雄と翔の靴を見に行こうと思ってるのよ。」
悠「前、ぼくの靴を確認するついでに見たらだいぶすり減ってたからね。」
あ~、そういやそうだっけか。
悠「二人とも、ブランドはいつものAIRMAXでいいんだろうけど、成長期だから足のサイズも変わってるだろうし。」
雄「まあ俺は、もうすぐ成長も止まりそうだけどな。」
悠「わからないよ。高校卒業くらいまでは大きくなる可能性があるからね。」
そんなもんなのか。と思ったが、そういえば父さんは高校2・3年生で大きく伸びたと言っていた気がする。だからか。
悠「よし。じゃあ、お昼ご飯食べたら行こうか。」
翔「は~い。」
雄「りょーかい。」
このあと予定通り買い物に行き、無事お目当てのAIRMAX(\13000-)を買えて
ご満悦な二人なのであった。
あ、くりぬきトーストはいつも通り美味しかったです
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こんな拙作を読んでいただいている皆様、ありがとうございます。
400人も読んでくれてるってすごくね?なんてうぬぼれています。
ネコのランタンです。
この話は、自分がスプラプレイヤーなのでネタが多くなってしまいました。
反省も後悔も改善する気もありません。
実は僕は割とヘビープレイヤーで、持ち武器はスプラシューターコラボとハイドラント、スパッタリーで全て☆5バッチをもらってます。因みに好きなステージはスメーシーワールドとナメロウ金属です。
さて、この話の前半で、雄太たちが30試合連続ノックアウトしていましたが、この記録を達成できた方はぜひ教えてください。
もしかしたら記念SSを書くかもしれません。
今後とも『てんかれ』をよろしくお願いいたします。
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